企業の選び方

監査法人の採用人数を比較|Big4・準大手4法人の公表データで見る【2026年版】

大手は何人採るのか。準大手はどれくらいの枠なのか。法人を絞り込む前に、まず「同期は何人になりそうか」を知りたい人は多いはずです。

ところが調べてみると、ネットに出回っている採用人数は「大手で1,000人以上」「各法人300名前後」といった大づかみの数字ばかり。どの法人が、いつ、何を根拠に出した数字なのかがはっきりしません。

この記事では、大手4法人と準大手4法人の募集要項と公表資料を2026年10月9日に1件ずつ開き直し、書いてある数字だけで採用人数を1枚の表にしました。数字を出していない法人は「記載なし」のまま載せています。推計で埋めることはしていません。

この記事の要点

  • 8法人のうち、募集要項に採用予定人数を書いているのは5法人。トーマツ300名程度、太陽60人程度、三優25名程度、東陽20名程度、仰星10名程度(東京事務所)
  • あずさ・EY新日本・PwC Japanの3法人は募集要項に人数の記載なし。そのため「採用人数ランキング」は正確には作れない
  • 実績の人数は監査品質に関する報告書に載ることがあり、あずさは2025年6月期の定期採用433名(学生の非常勤職員を含む)、太陽は60人
  • 2025年の論文式試験の合格者は1,636人。公表されている5法人の予定を足すと約415名で、合格者のおよそ4分の1

監査法人の採用人数は?大手・準大手8法人の公表データ一覧【2026年度】

8法人のうち採用予定人数を募集要項に書いているのは5法人で、最も多いのはトーマツの300名程度です。あずさ・EY新日本・PwC Japanの3法人は、2026年度の募集要項に人数を書いていません。

下の表は、各法人の定期採用(公認会計士試験合格者向け)の募集要項から、採用予定人数の欄をそのまま写したものです。並び順は大手4法人、準大手4法人の順で、数字の大きさとは関係ありません。

区分法人採用予定人数(募集要項の記載)数え方・範囲
大手有限責任あずさ監査法人記載なし※12027年2月1日入所の要項
大手EY新日本有限責任監査法人記載なし※2常勤職員と学生非常勤職員の2区分で募集
大手有限責任監査法人トーマツ300名程度※3常勤職員等・勤務地は全国30カ所
大手PwC Japan有限責任監査法人記載なし※42027年2月1日入所の要項
準大手太陽有限責任監査法人60人程度※5常勤職員。短答式試験合格者の採用予定も別にあり
準大手三優監査法人25名程度※6常勤職員。東京20名、札幌・名古屋・大阪・福岡で5名
準大手東陽監査法人20名程度※7採用は原則として事務所ごと(東京・大阪・名古屋)
準大手仰星監査法人10名程度※8東京事務所の常勤職員。掲載中の要項は2026年1月1日入所の募集

数字を棒にすると、規模の差がはっきり見えます。トーマツの300名程度に対して、準大手は最も多い太陽で60人程度。大手1法人の採用予定は、準大手4法人の合計(約115名)の2倍を超えます。

「採用人数ランキング」を作らない理由

大手のうち3法人が人数を出していない以上、8法人を数字の大きい順に並べることはできません。記載のない法人を推計で埋めて順位を付けると、確かめようのない数字が独り歩きします。

「記載なし」は「少ない」という意味でもありません。次の章で見るとおり、募集要項に人数がないあずさも、別の公表資料では400名を超える実績を出しています。

募集要項の採用人数はどう読む?「程度」「対象」「範囲」「時点」の4点を確かめる

同じ「採用予定人数」でも、数える対象と範囲が法人ごとに違うため、数字だけを横に並べると読み違えます。表の数字を使う前に、次の4点を確かめてください。

  1. 「程度」は目安。確定した枠ではなく、年によって上下する
  2. 対象は常勤職員だけか。在学中の合格者を非常勤で採る区分が別にある法人もある
  3. 範囲は法人全体か、1つの事務所か
  4. 時点はどの年度の要項か。次年度の要項がまだ出ていない法人もある
確かめる点募集要項で見える例読み違えやすいところ
程度トーマツ「300名程度(常勤職員等)」※3上限や確定数として扱わない
対象EY新日本は「CS職員(常勤職員)もしくは学生非常勤職員」で募集※2学生の合格者を含めるかで人数が大きく変わる
範囲仰星は東京事務所の要項に「常勤職員10名程度」※8法人全体の人数ではない
範囲事務所ごとに枠を分けている法人がある(三優=東京20名・札幌・名古屋・大阪・福岡5名※6/東陽=採用は原則事務所ごと※7)希望の事務所の枠は全体よりずっと小さい
時点仰星の掲載中の要項は2026年1月1日入所の募集※82027年入所の数字はまだ出ていない

特に見落としやすいのが範囲です。たとえば東陽は、東京事務所で面接を受けた場合、原則として東京事務所に勤務すると採用ページのよくある質問に書いています※7。勤務地を決めている人にとって意味があるのは、法人全体の人数より、その事務所の枠です。

学生の扱いも数字を動かします。2025年の論文式試験の合格者1,636人のうち、出願時に「学生」「専修学校・各種学校受講生」と申告した人は999人で、全体の61.1%でした※9。在学中に受かった人は、卒業までを非常勤で働く形が一般的です。常勤職員だけを数えた人数と、非常勤の学生を含む人数は、別物として比べてください。

各法人の初任給や事務所の数まで含めて比べたい人は、監査法人の初任給ランキングで月給と残業代の扱いを並べています。人数と給与をあわせて見ると、法人ごとの性格がつかみやすくなります。

人数の枠を確かめたら、次はどの法人の選考に進むかです。大手から準大手・中小まで、法人ごとの特徴と選び方はこちらにまとめています。

予定と実績はどれくらい違う?報告書に載る「実際の採用数」

実際に何人採ったかは、各法人が毎年出す「監査品質に関する報告書」に載っていることがあり、8法人中2法人が定期採用の実績を人数で示しています。募集要項の予定と並べると、読み方が変わります。

法人募集要項の採用予定報告書の定期採用の実績報告書の中途採用の実績
有限責任あずさ監査法人記載なし※1433名(2025年6月期・学生の非常勤職員を含む)※10314名(会計士および試験合格者等46名・会計士以外のプロフェッショナル166名・監査アシスタント102名)※10
太陽有限責任監査法人60人程度※560人(2025年6月期)※1184人(2025年6月期)※11

あずさは募集要項に人数を書いていない一方で、報告書には定期採用433名という実績を載せています。大手の1法人だけで、1年に400人を超える合格者が入っているということです。ただしこの433名は学生の非常勤職員を含む数で、常勤職員だけの数ではありません。

太陽は予定の60人程度に対して、実績も60人でした。目を引くのは中途採用の84人が定期採用を上回っている点で、入所した後に周りがどんな経歴の人になるのかを想像する材料になります。

残りの6法人(EY新日本・トーマツ・PwC Japan・三優・東陽・仰星)の2025年版の報告書には、定期採用の人数の記載は見当たりませんでした。PwC Japanの報告書には中途採用者の割合が載っていますが、定期採用の人数は書かれていません。

「記載なし」の法人の規模感をつかむ方法

人数が出ていない法人でも、法人の公表資料「業務及び財産の状況に関する説明書類」には、職員のうち公認会計士試験合格者等が何人いるかが載っています。毎年の採用数そのものではありませんが、入所したばかりの人がどれくらいの層でいるのかはここから読めます。

法人ごとの人員の内訳は、この記事の後半に並べた8法人それぞれの解説記事に載せています。職員数や事務所数で大手4法人を横に並べたいなら大手監査法人BIG4を数字で比較した記事、準大手と大手の違いから押さえたいなら準大手監査法人とは何かを解説した記事が近道です。

合格者1,636人に対して採用予定はどれくらい?数字の釣り合いを見る

2025年の論文式試験の合格者は1,636人で、公表されている5法人の採用予定を足すと約415名、合格者のおよそ4分の1です。残りは、人数を出していない大手3法人や中小監査法人、監査法人以外の就職先に分かれます。

合格者数は前年の1,603人から33人増えました※9。トーマツ1法人の予定だけで合格者の約18%にあたります。

大手の残り3法人は人数を出していませんが、あずさ1法人の実績が433名(学生の非常勤職員を含む)あることを考えると、合格者の多くが大手4法人に入る構図は数字からも読み取れます。準大手4法人の予定を合わせても約115名で、合格者の1割に届きません。

この数字の釣り合いは、選考の受け方にも関わります。大手4法人は地区ごとの協定で選考日程を揃えていて、東京事務所の2026年度は合格発表が11月20日(金)13時、面接期間が12月3日〜9日、内定通知が12月10日です※12※13。同じ地区では枠の大きい4法人の面接が同じ時期に集まるので、併願の組み方は合格発表の前に決めておきたいところです。大阪・名古屋など他の地区は日程が異なるため、受ける事務所の地区の協定を確かめてください。準大手4法人はこの協定に加わっていません。たとえば仰星の東京事務所は、2026年度の法人説明会を9月3日から開いています※8。

選考の流れを最初から最後まで確かめたい人は、合格後から内定・入所までの監査法人の就活ガイドを先に読んでおくと、どの時期にどの法人を見るかの段取りが立てやすくなります。

枠の大きさがわかったら、次は自分が受ける法人の顔ぶれを決める番です。年収や働き方も含めて候補を絞るなら、こちらから見比べられます。

採用人数の差から何がわかる?同期・事務所・倍率で整理する

採用人数から読めるのは同期の規模と事務所ごとの枠までで、倍率や内定の取りやすさは読めません。応募者数を公表している法人がないためです。

知りたいこと採用人数から読めるか理由・代わりに見るもの
同期の人数の目安読める「程度」の数字と、報告書の実績を合わせて見る
希望する事務所の枠一部の法人で読める事務所ごとの人数を出している法人がある(三優=東京20名・他4事務所5名/仰星=東京事務所10名程度)
選考の倍率読めない8法人の募集要項に応募者数の記載はない
内定の取りやすさ読めない枠の大小と、応募の集まり方の両方で決まる
配属される部署の人数読めない説明会や面接で配属の決め方を直接聞く

監査法人の倍率は公表されている?

今回確認した8法人の募集要項には、応募者数や倍率の記載がありませんでした※1〜※8。ネット上の「倍率◯倍」という数字は、法人が出したものではない点に注意してください。枠が小さい法人ほど落ちやすい、とは言い切れません。応募がどれだけ集まるかは、年や事務所で変わります。

大手の選考が思うように進まなかったときの動き方は、監査法人の二次募集・追加募集の記事で、準大手・中小への応募の続け方とあわせてまとめています。

同期の人数で法人を選ぶときの考え方

同期が数百人いる環境は、研修で横のつながりが広がり、相談相手も見つけやすいのが利点です。数十人規模なら、パートナーや上司に名前と顔を早く覚えてもらえる距離感があります。

どちらが良いかは人によって違います。編集部としては、人数の多さそのものより「自分がどちらの環境で伸びるか」を先に決めておくほうが、比べるときに迷わないと考えています。「同期と競い合って伸びたい」のか、「少人数で早く現場の中心に入りたい」のか。採用予定で見ると、トーマツは300名程度※3、準大手は法人全体の数字が出ている3法人で20〜60人程度(太陽60人程度・三優25名程度・東陽20名程度)、仰星は東京事務所で10名程度です※5〜※8。採用人数は、その好みを数字で確かめる手がかりとして使うのがちょうどいい使い方です。規模ごとの違いをもう一段深く比べたい人は、大手・準大手・中小の違いを整理した比較ガイドが役に立ちます。

採用人数が公表されていない法人はどう調べる?3つの手順

募集要項に人数がない法人は、説明会で聞く、報告書の実績を読む、説明書類で合格者等の人数を見る、の3つで補えます。大手4法人は地区ごとの協定でイベントの時期を決めているので、直接聞ける機会は限られます。受ける地区の日程を先に確かめてください。

説明会で聞くなら、「今年の採用予定は何名ですか」の一言で終わらせるのはもったいない。「そのうち、希望している事務所の枠は何名ですか」「学生の非常勤採用は人数に入っていますか」まで聞くと、表の4つの確認点がそのまま埋まります。

説明会で何をどう聞くかは、監査法人の説明会で聞くべき質問25選に例文を載せています。

8法人それぞれの募集要項を詳しく見るには

この記事の表は採用人数の欄だけを抜き出したものです。初任給の内訳、賞与、勤務地、選考の流れまで含めた募集要項の全体は、法人ごとの記事で確かめてください。

よくある質問

監査法人で採用人数が一番多いのはどこですか?

募集要項に書かれた数字の中では、トーマツの300名程度が最大です※3。ただし、あずさ・EY新日本・PwC Japanは人数を公表していないため、8法人の順位は付けられません。あずさは報告書で2025年6月期の定期採用433名(学生の非常勤職員を含む)を公表しています※10。

BIG4全体で毎年何人採用していますか?

4法人の合計は公表されていません。2026年度の募集要項で人数を書いているのはトーマツの300名程度だけです※3。実績では、あずさが2025年6月期に定期採用433名(学生の非常勤職員を含む)を報告書に載せています※10。

準大手監査法人の採用人数はどれくらいですか?

募集要項の記載では、太陽が60人程度、三優が25名程度、東陽が20名程度、仰星が東京事務所で10名程度です※5〜※8。4法人を合わせても約115名で、大手1法人の予定より少ない規模です。

監査法人の採用倍率はどれくらいですか?

倍率を計算できる公表データはありません。確認した8法人の募集要項には応募者数の記載がありませんでした。参考になるのは合格者数で、2025年の論文式試験の合格者は1,636人です※9。

採用人数が少ない法人は内定が取りにくいですか?

枠の大きさだけでは決まりません。応募の集まり方が公表されていないためです。少人数の法人は事務所ごとに採用する場合があるので、希望する事務所の枠と選考日程を説明会で確かめるのが確実です。

まとめ

「監査法人は何人採るのか」への答えは、公表されている5法人ならトーマツ300名程度、太陽60人程度、三優25名程度、東陽20名程度、仰星10名程度(東京事務所)です。残る大手3法人は数字を出していません。

  • 人数を比べるときは「程度」「対象」「範囲」「時点」の4点を必ず確かめる
  • 実績は報告書で読める。あずさは定期採用433名、太陽は60人(いずれも2025年6月期)
  • 倍率や内定の取りやすさは、採用人数からは読めない

同期の人数は、入所後の毎日の景色を左右します。表の数字を手がかりに、気になる法人の説明会で「希望の事務所の枠」まで聞いてみてください。そこで得た答えが、法人を選ぶときのいちばん確かな材料になります。

参考文献・出典