企業の選び方

【2026年版】大手監査法人BIG4はどこがいい?4法人を数字で比較

「大手監査法人はどこがいいのか」。論文式試験が終わって法人選びを始めると、まずここで止まります。検索すると出てくるのは「トーマツは体育会系」「EYは穏やか」といった評判ばかりで、誰がいつ何人に聞いた話なのかは書かれていません。

そこでこの記事では、大手監査法人4法人が自分で公表している数字だけで比べ直しました。使ったのは業務及び財産の状況に関する説明書類、募集要項、監査品質に関する報告書、そして金融庁の公認会計士・監査審査会の公表資料です。

社風の評判は扱いません。裏づけがないからです。そのかわり「公表されていないこと」もそのまま書きます。読み終わる頃には、4法人のどこに自分の優先順位が刺さるかを判断できる材料がそろいます。

この記事の要点

  • 初任給は4法人とも首都圏で月365,000円前後。PwC Japanの420,300円は新卒採用(監査職・米国公認会計士試験の全科目合格者向け)の額で、月30時間分の時間外勤務手当を含みます。論文式試験合格者向けの定期採用の月額は公表されていません※1※3※5※7
  • 職員の年間平均執務時間は4法人とも1,893時間から1,948時間の範囲に収まります。差は年55時間で、月あたり5時間弱です※9※10※11※12
  • 働き方の数字をどこまで公表しているかには差があります。執務時間は4法人中4法人、有給は4法人中2法人、退職率は4法人中1法人だけが公表しています

大手監査法人(BIG4)はどこがいい?まず規模を並べます

大手監査法人は、有限責任あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、PwC Japan有限責任監査法人の4法人です。金融庁の公認会計士・監査審査会の資料では、日本にある296法人の監査事務所のうち、この4法人だけで監査業務収入の約78%を占めています※13。

大手監査法人BIG4の4法人を比較して選ぶイメージ画像
法人(正式名称)職員数事務所被監査会社数業務収入対象期間
有限責任監査法人トーマツ6,272名17か所3,201社1,425億4,800万円第59期(2026年5月期)
有限責任あずさ監査法人7,362名12か所3,255社1,314億3,100万円第41期(2025年6月期)
EY新日本有限責任監査法人6,517名16か所3,805社1,228億8,600万円第26期(2025年6月期)
PwC Japan有限責任監査法人3,660名5か所1,447社841億9,100万円第20期(2025年6月期)
表1:大手監査法人4法人の規模(業務及び財産の状況に関する説明書類より。業務収入の多い順)。トーマツだけ決算期がずれており、他の3法人は2024年7月から2025年6月、トーマツは2025年6月から2026年5月の数字です※2※4※6※8

数字を並べると、4法人が同じ形をしていないことが見えます。PwC Japanだけは非監査証明業務の収入が監査証明業務を上回ります(431億6,200万円と410億2,900万円)※8。他の3法人は監査証明業務が7割から8割です※2※4※6。

職員1人あたりが担当する会社の数にも差があります。EY新日本は6,517名で3,805社、PwC Japanは3,660名で1,447社です※4※8。被監査会社の規模や上場かどうかで必要な人数は変わるため、この比だけで忙しさは決まりません。ただし、1つのチームがどれくらいの会社を見ているかの手がかりにはなります。

BIG4という区分そのものの成り立ちや、世界のネットワークとの関係を知りたい人は4大監査法人(BIG4)の特徴と選び方を先に読んでください。この記事は「4法人のどこを選ぶか」に絞ります。

初任給と賞与を4法人で並べます

初任給の額面は4法人でほぼ同じで、違うのは金額の中身です。首都圏で365,000円が3法人、PwC Japanが420,300円ですが、この420,300円は新卒採用(監査職・米国公認会計士試験の全科目合格者向け)の額で、月30時間分の時間外勤務手当が含まれます※7。PwC Japanは論文式試験合格者向けの定期採用の月額を公表していません※7。

法人初任給(月額)固定残業代賞与昇給入所日
有限責任あずさ監査法人365,000円なし(首都圏手当20,000円とワークサポート手当(東京)10,000円を含む)年2回年1回2027年2月1日
EY新日本有限責任監査法人首都圏365,000円/地区347,000円要項に記載なし年2回(6月・12月)年1回(10月)2027年2月1日
有限責任監査法人トーマツ東京・横浜365,000円/その他事務所345,000円要項に記載なし年2回(12月・9月)年1回(能力査定のうえ決定)要項に記載なし
PwC Japan有限責任監査法人420,300円(新卒・監査職/米国公認会計士試験の全科目合格者向け)月30時間分を含む(超過分は別途支給)業績賞与/年1回年1回要項に記載なし
表2:大手監査法人4法人の初任給と賞与(各法人の募集要項より。母数4法人/確認済み4法人)※1※3※5※7

ここで押さえておきたいのは3つです。

  1. 額面をそのまま比べない。PwC Japanの420,300円は新卒採用(監査職・米国公認会計士試験の全科目合格者向け)の額です。ここから30時間分の時間外勤務手当を外すと、他の3法人と近い水準になります※7
  2. 賞与の月数は4法人とも公表していません。回数は書いてあっても「何か月分」は書かれていないため、年収の概算はできません※1※3※5※7
  3. 資格手当と家賃補助は4法人ともありません。募集要項の手当欄を1本ずつ確認しましたが、いずれの記載も見つかりませんでした※1※3※5※7

マネージャー以上になると年俸制に切り替わり、賞与という形の支給がなくなります。役職はスタッフ、シニアスタッフ、マネージャー、シニアマネージャー、パートナーの5段階で、EY新日本は採用サイトでこの5つを職位として公開しています※16。役職ごとの中身は監査法人の役職にまとめています。

初任給を準大手・中小まで含めて比べたい人は監査法人の初任給ランキング、年齢と役職別の相場は監査法人の年収をどうぞ。

働き方の数字は、どこまで公表されているか

4法人とも監査品質に関する報告書で年間平均執務時間を公表しており、職員の数字は1,893時間から1,948時間の範囲に収まります。差は年55時間、月にすると5時間弱です。

項目あずさEY新日本トーマツPwC Japan公表している法人数
社員の年間平均執務時間2,247時間2,020時間2,073時間2,110時間4法人中4法人
職員の年間平均執務時間1,935時間1,948時間1,893時間1,904時間4法人中4法人
有給休暇職員の取得率77%公表なし公表なし平均取得日数18日4法人中2法人
退職率公表なし公表なし公表なし7.9%4法人中1法人
月ごとの残業時間・繁忙期のピーク公表なし公表なし公表なし公表なし4法人中0法人
表3:働き方についての公表状況(各法人の監査品質に関する報告書2025より。母数4法人/確認済み4法人)※9※10※11※12

この表でいちばん大事な行は最後です。月ごとの残業時間と繁忙期のピークは、4法人とも公表していません。「BIG4のうちここが楽」と月単位で書いている記事は、公表資料からは書けないことを書いていることになります。

PwC Japanは他の3法人より公表項目が多く、男性育休取得率98%、女性比率35%、女性管理職比率25%、平均研修受講時間86時間、在籍スタッフの出身国数22か国まで載せています※12。公表が多い法人と少ない法人がある、という事実として受け取ってください。公表していないことが、そのまま働きにくさを意味するわけではありません。

トーマツは募集要項とよくある質問で、年10日間の有給休暇取得奨励日、夏季のオフィスクローズ期間、実務補習所の考査前は残業や出張を可能な限り避けることを公表しています※18。数字ではありませんが、繁忙期の扱いを知る手がかりになります。

働き方をもっと広く見たい人は監査法人ホワイトランキング監査法人の残業事情もどうぞ。

大手4法人の選考は、同じ日程で動きます

大手4法人の東京事務所は採用の日程を取り決めており、4法人とも同じ日に動きます。2026年度の日程は次のとおり公表されています※15。

内定から承諾までが23時間しかないのが、この日程の要点です。複数の法人から内定が出た場合、その場で決めることになります。面接が始まる前に順位を決めておかないと、当日は選べません。

選考の準備は監査法人の就活ガイド面接で聞かれる質問40選にまとめています。

有限責任あずさ監査法人の公表数字

あずさは職員7,362名で、大手4法人のなかで職員数が最も多い法人です※2。

項目公表されている内容
規模職員7,362名・12事務所。東京5,608名、大阪929名、名古屋347名※2
被監査会社3,255社。業務収入1,314億3,100万円のうち監査証明業務が990億4,700万円※2
初任給月給365,000円。首都圏手当20,000円とワークサポート手当(東京)10,000円を含み、固定残業代なし※1
働き方の公表年間平均執務時間は社員2,247時間・職員1,935時間。職員の有給休暇取得率77%※9
入所日2027年2月1日。試用期間6か月、所定労働時間9時15分から17時15分※1

KPMGインターナショナルのメンバーファームです。4法人のなかで職員数は最多ですが、事務所数は12か所で3番目になります※2。

初任給の内訳、賞与、採用人数、働き方の数字をもっと詳しく見たい人は有限責任あずさ監査法人の年収・初任給と採用の実態にまとめています。

EY新日本有限責任監査法人の公表数字

EY新日本は被監査会社数3,805社で、大手4法人のなかで最も多くの会社を担当しています※4。

項目公表されている内容
規模職員6,517名・16事務所。東京事務所だけで5,133名※4
被監査会社3,805社。業務収入1,228億8,600万円のうち監査証明業務が993億3,900万円※4
初任給首都圏365,000円/地区347,000円。勤務地で金額を分けて明記しています※3
働き方の公表年間平均執務時間は社員2,020時間・職員1,948時間・全体1,956時間。有給と退職率は公表なし※10
入所日2027年2月1日。リモート勤務制度あり、公認会計士協会の登録費用と年会費は法人が全額負担※3

EYのメンバーファームです。被監査会社数が最も多く、うち大会社等は1,125社です※4。募集要項に固定残業代とみなし残業の記載はありません※3。

初任給の内訳、賞与、採用人数、働き方の数字をもっと詳しく見たい人はEY新日本有限責任監査法人の年収・初任給と採用の実態にまとめています。

有限責任監査法人トーマツの公表数字

トーマツは業務収入1,425億4,800万円で、大手4法人のなかで最も規模が大きい法人です※6。

項目公表されている内容
規模職員6,272名・17事務所。東京4,206名、大阪603名、横浜289名、名古屋271名、福岡265名※6
被監査会社3,201社。業務収入1,425億4,800万円のうち監査証明業務が1,046億1,500万円※6
初任給東京・横浜365,000円/その他事務所345,000円。採用予定は300名程度※5
働き方の公表年間平均執務時間は社員2,073時間・職員1,893時間。有給と退職率は公表なし※11
勤務地募集要項の勤務地は「全国30カ所」。説明書類の事務所数17か所とは数え方が違います※5※6

デロイト トウシュ トーマツのメンバーファームです。1968年5月に等松・青木監査法人として設立され、2009年7月に有限責任監査法人へ移行しました※6。実務補習所費用と公認会計士協会の登録費用・年会費は全額法人負担です※5。

初任給の内訳、賞与、採用人数、働き方の数字をもっと詳しく見たい人は有限責任監査法人トーマツの年収・初任給と採用の実態にまとめています。

PwC Japan有限責任監査法人の公表数字

PwC Japanは職員3,660名で、大手4法人のなかで最も人数が少なく、非監査証明業務の収入が監査証明業務を上回る唯一の法人です※8。

項目公表されている内容
規模職員3,660名・5事務所。東京3,026名※8
被監査会社1,447社。業務収入841億9,100万円の内訳は監査証明業務410億2,900万円・非監査証明業務431億6,200万円※8
初任給月給420,300円(新卒・監査職/米国公認会計士試験の全科目合格者向け)。月30時間分の時間外勤務手当を含み、超過分は別途支給※7。論文式試験合格者向けの定期採用の月額は公表なし
働き方の公表年間平均執務時間は社員2,110時間・職員1,904時間。平均有給休暇取得日数18日、退職率7.9%※12
制度標準労働時間7時間/日、フレックスタイム制あり、年次有給休暇20日、フレキシブルワーキング手当(月額5,000円)※7

PwCのメンバーファームです。2006年6月1日にあらた監査法人として設立され、2023年12月1日にPwCあらた有限責任監査法人とPwC京都監査法人が合併して現在のPwC Japan有限責任監査法人になりました※8。「PwCあらた」「PwC京都監査法人」という法人はいま存在しません。働き方の公表項目は4法人のなかで最も多く、男性育休取得率98%、女性比率35%、女性管理職比率25%も載せています※12。

初任給の内訳、賞与、採用人数、働き方の数字をもっと詳しく見たい人はPwC Japan有限責任監査法人の年収・初任給と採用の実態にまとめています。

4つの問いで志望先を絞ります

4法人の待遇はほぼ同じなので、決め手は待遇以外にあります。公表数字から答えが出る問いを4つ用意しました。

この4つに答えても決まらないときは、順位を付けずに全部受けるのが現実的です。面接期間は12月3日から9日までで、4法人とも同じ枠に入っています※15。受けてみて話が合った法人を選ぶ、という決め方も間違いではありません。

社風やカルチャーで判断したい人は、監査法人の社風説明会で聞くべき質問25選を組み合わせて、自分の目で確かめてください。本記事で評判を書かないのは、確かめる方法がないからです。

大手以外の選択肢も、一度は見ておきます

監査法人は大手・準大手・中小の3つに分かれます。準大手は太陽有限責任監査法人、三優監査法人、東陽監査法人、仰星監査法人の4法人です。金融庁の公認会計士・監査審査会の資料には、大手監査法人から準大手監査法人または中小規模監査事務所へ監査人を変更する傾向が続いている、と書かれています※13。

区分ごとの違いを先に整理したい人は監査法人の比較ガイド準大手監査法人とは中小監査法人一覧をあわせて読むと早いです。法人選びの軸そのものは監査法人の選び方にまとめています。

2027年7月1日に予定されている合併について

三優監査法人と仰星監査法人は、「監査法人BDO Japan」の創設に向けて合併することで基本合意しました。合併予定日は2027年7月1日です。

  • 両法人は対等の精神に基づいて合併します。法令上の手続としては、仰星監査法人を存続法人、三優監査法人を消滅法人とする合併方式が想定されています。
  • 合併後の規模は業務収入 約110億円(2026年6月期見込)・人員822人(非常勤を含む)・被監査上場会社192社と公表されています。いまのどちらの法人よりも大きな規模になります。
  • 2027年に入所する人は、2027年7月1日に所属する法人の名称が変わります。初任給や待遇の条件は、各法人がいま公表している募集要項が基準です。

この記事で準大手4法人(太陽・三優・東陽・仰星)として並べているのは、2027年6月30日までの区分です。

出典:三優監査法人「「監査法人BDO Japan」の創設に向けた検討について」(2026年7月27日公表・2026年8月31日確認)

大手監査法人(BIG4)についてよくある質問

大手監査法人(BIG4)とはどの4法人ですか?

有限責任あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、PwC Japan有限責任監査法人の4法人です。金融庁の公認会計士・監査審査会の資料では、日本の296法人の監査事務所のうち、この4法人で監査業務収入の約78%を占めています※13。

大手監査法人4法人で初任給に差はありますか?

首都圏の額面はあずさ365,000円、EY新日本365,000円、トーマツ365,000円、PwC Japan 420,300円です。ただしPwC Japanの420,300円は新卒採用(監査職・米国公認会計士試験の全科目合格者向け)の額で、月30時間分の時間外勤務手当が含まれます※1※3※5※7。PwC Japanは論文式試験合格者向けの定期採用の月額を公表していません※7。固定残業代を除いて考えると、4法人はほぼ横並びです。

大手監査法人でいちばん規模が大きいのはどこですか?

業務収入で見ると有限責任監査法人トーマツの1,425億4,800万円が最大です(第59期)※6。職員数では有限責任あずさ監査法人の7,362名が最多で※2、被監査会社数ではEY新日本有限責任監査法人の3,805社が最多です※4。見る指標によって順番が変わります。

PwCあらた有限責任監査法人はどこへ行ったのですか?

2023年12月1日に、PwCあらた有限責任監査法人とPwC京都監査法人が合併し、PwC Japan有限責任監査法人として業務を開始しました※8。PwCあらたとPwC京都監査法人という名前の法人はいま存在しません。古い記事で見かける場合は、情報の更新日を確かめてください。

大手監査法人4法人の残業時間を比べられますか?

月ごとの残業時間は4法人とも公表していません。公表されているのは監査品質に関する報告書の年間平均執務時間で、職員はEY新日本1,948時間、あずさ1,935時間、PwC Japan 1,904時間、トーマツ1,893時間です※9※10※11※12。これは所定労働時間を含む1年間の合計であり、残業時間ではありません。

まとめ:待遇では選び分けられません

大手監査法人BIG4の比較を終えて志望先を決める就活生のイメージ画像

要点を3行で。初任給は4法人ともほぼ同額で、金額の中身が違うだけです。職員の年間平均執務時間も1,893時間から1,948時間に収まり、差は月5時間弱です。だから決め手は待遇ではなく、事務所の場所、監査以外の仕事の量、組織の大きさ、そして働き方の数字をどこまで出しているかに移ります。

4法人の面接期間は同じ週に集まっており、内定から承諾までは23時間です※15。順位は面接が始まる前に決めておいてください。迷ったときは、上の4つの問いに戻ると絞り込めます。

大手だけを見て決めるのは、もったいない選び方です。準大手を1法人、中小を1法人あわせて見ておくと、大手の面接で話す内容まで変わります。急がば回れ、です。

参考文献・出典