就活ノウハウ

監査法人に新卒で就職するには?試験との関係・採用時期・初任給【2026年版】

大学を卒業する年に、普通の新卒と同じように監査法人へ入れるのか。公認会計士試験に受かっていないと応募すらできないのか。「監査法人 新卒」で調べる人の多くは、まずここで迷います。

結論から言うと、会計士として監査をする職員は、卒業年度ではなく論文式試験の合格を条件に採用されます。一方で、試験を受けていない学生向けの新卒採用を別に持つ大手もあります。入り口は1つではありません。

この記事では、2026年の試験日程と各法人の公式な募集要項をもとに、立場ごとの入り方、選考の時期、初任給、大手と準大手の違いを整理しました。月ごとの細かな動き方は監査法人の就活ガイド(合格後から入所までの手順)にまとめています。

この記事の要点

  • 会計士として入る「定期採用」は、卒業年度ではなく論文式試験の合格が条件
  • 2025年の合格者の約4割は大学在学中。在学中の合格者は非常勤で入所し、卒業後に常勤へ
  • 試験前の学生向けのトレーニー枠や、試験を問わないIT監査職などの新卒採用もある
  • 2026年の合格発表は11月20日(予定)。大手の内定は12月中旬、入所は翌年1〜2月
  • 初任給は大手・準大手とも月35万〜36万5千円が中心。みなし残業代込みの額面に注意
  • 大手と準大手の差は給与より規模。担当する被監査会社は大手2,410社・準大手631社

監査法人の「新卒採用」は一般の新卒採用と何が違う?

監査法人で会計士として働く職員は「定期採用」で採られ、条件は卒業年度ではなく論文式試験の全科目合格です。大学3年生でも既卒でも、その年に合格していれば同じ選考を受けます。

大手のトーマツは、定期採用の資格を「公認会計士試験論文式試験全科目合格者」と明記しています※8。EY新日本も対象を「2026年度公認会計士試験論文式試験 全科目合格者および過年度合格者」としています※5。過去の年に合格した人も対象に入るわけです。

これとは別に、試験に合格していない学生を対象にした「新卒採用」を持つ法人があります。職種はIT監査やアドバイザリーなどで、会計士の監査チームに入る枠とは中身が違います。

項目 定期採用(会計士の採用) 新卒採用(試験合格を問わない採用)
応募の条件論文式試験の全科目合格(過年度合格も可の法人あり)※5※8大学・大学院の卒業見込み。全学部全学科を対象とする職種もあり※6
主な仕事監査業務とその付随業務IT監査、システムリスク、内部監査の支援など※6※9
選考の時期論文式試験の後から合格発表前後に集中一般の就職活動と同じく通年・卒業の前年から
入所の時期合格した年の翌1月か2月卒業後の4月

表1:定期採用と新卒採用の違い(2026年10月に各法人の公式採用ページで確認)

この記事で中心に扱うのは、会計士として監査法人に入る定期採用です。試験を受けない新卒採用は、次の章で入り口の1つとして紹介します。

立場別に見る、新卒で監査法人に入る4つのルート

いまの立場が「合格済み」「在学中に合格」「短答式試験の前」「受験しない」のどれかで、使える入り口が変わります。自分がどこに当てはまるかを先に確かめておくと、動くべき時期を間違えません。

卒業済み・卒業見込みで論文式試験に合格した人

いちばん人数の多いルートです。8月の論文式試験の後から説明会に出て、11月の合格発表の前後に面接を受け、翌1月か2月に常勤の職員として入所します。

トーマツは、定期採用について年齢などの制限は定めていないとFAQで明記しています※17。2025年の合格者1,636人の平均年齢は24.6歳で、20歳以上25歳未満が1,002人と全体の61.2%を占めます※2※3。

在学中に論文式試験に合格した人

在学中に合格した学生は、卒業までは非常勤の職員として入所し、卒業後の4月に常勤へ切り替わるのが一般的です。2025年の合格者のうち、大学に在学中の人は653人で全体の39.9%にのぼります※3。合格者のおよそ4割は「まだ学生」なのです。

EY新日本は職掌を「CS職員(常勤職員)もしくは学生非常勤職員」と分けて募集しています※5。仰星も、2026年3月以降に卒業予定の合格者とは非常勤職員として契約できると明記しています※15。

卒業論文やゼミとの両立は、法人によって勤務日数の扱いが違います。説明会で「学生の非常勤は週何日からか」を聞いておくと安心です。

短答式試験の前でも入れる道がある

試験に受かる前に法人へ入り、勉強を続けながら合格を目指す枠もあります。PwC Japanの「公認会計士キャリアチャレンジ採用」は、短答式試験に合格していない卒業見込みの学生が対象です※11。

  • 合格するまではトレーニーとして原則試験勉強に専念
  • 合格前の月給は245,000円、専門学校の費用は法人が負担
  • 合格後は月給420,300円に切り替え(この枠の募集要項の額。定期採用の初任給は月給428,730円で、別の枠です※10)

太陽も、短答式試験の合格者を採用する予定があると募集要項に書いています※12。こうした枠は「試験に合格していない人」のための制度で、すでに論文式試験に合格した人が使うものではありません。

試験を受けずに新卒で入る(IT監査・アドバイザリー職)

会計士を目指さない学生にも、監査法人の新卒採用は開かれています。EY新日本は新卒採用サイトでITリスクコンサルタント職・IT監査職などを募集し、主な対象学部を「全学部全学科」としています※6。

トーマツも、試験合格者以外の学生向けに、2028年4月に入る人を対象としたシステム監査・システムリスクアドバイザリー、内部監査アドバイザリーの募集を出しています※9。米国公認会計士試験(USCPA)の全科目合格者を監査職で採る大手もあります※16。

枠の名前は法人ごとにばらばらで、同じ「新卒」でも中身はまるで違います。応募の前に、自分の立場がどの枠に当たるかを募集要項で確かめておきましょう。

2026年の採用スケジュールは?論文式試験から入所まで

2026年は論文式試験が8月21日から23日、合格発表が11月20日(予定)です。大手の面接は合格発表の後に本格化し、内定は12月中旬、入所は翌年の1月か2月になります※1。

大手と準大手では、動き出しのタイミングが少しずれます。大手は合格発表まで面接を行わず、内定の時期も地区ごとの申し合わせ(協定)でそろえています。協定の日程は東京・大阪など地区によって違うので、受ける事務所の地区の日程を確かめてください。準大手と中小にはこうした制限がなく、論文式試験の直後から説明会や面談の場が開かれます。

項目 大手(BIG4) 準大手(太陽・三優・東陽・仰星)
合格発表前の接触説明会中心。面接は合格発表後制限なし。論文式試験の直後からイベント多数
面接・選考会エントリーシート・適性検査の後に選考会※8面接は合格発表後と明記する法人あり※14
内定の時期地区ごとの協定でそろう(12月中旬)合格発表後まもなく。法人ごとに随時
入所日2027年2月1日と明記する法人あり※5※7※102月(太陽)、1月が多い※15

表2:大手と準大手の選考の進み方の違い(入所日は各法人の募集要項、ほかは例年の傾向)

前年の実例を1つ挙げると、仰星の東京事務所は2025年の合格発表の当日(11月21日)に面接の予約を受け付け始め、翌日から面接を行い、内定の承諾期限を12月4日に設定していました※15。合格発表から2週間ほどで返事を求められる。そのくらいの速さだと思っておいてください。

トーマツは選考会の予約を全国で1か所しかできないと明記しています※8。勤務したい事務所は、エントリーの前に決めておきたいところ。

論文式試験そのものの日程や科目は論文式試験の完全ガイド、内定後から入所までの準備は内定後の過ごし方で詳しく扱っています。

新卒で入ると初任給はいくら?8法人の2026年の募集要項

大手・準大手の初任給は月35万円から36万5千円が中心で、大手と準大手の差は月1万5千円以内です。例外はPwC Japanの月428,730円ですが、ここには月30時間分のみなし残業代が含まれています※10。

区分/法人 初任給(月額) 固定残業代 入所日・募集の年
大手/EY新日本有限責任監査法人※5首都圏 365,000円/地区 347,000円記載なし(時間外手当は別途)2027年2月1日
大手/有限責任あずさ監査法人※7365,000円(首都圏手当などを含む)なし2027年2月1日
大手/有限責任監査法人トーマツ※8東京・横浜 365,000円/その他 345,000円記載なし(時間外手当は別途)2026年の募集要項
大手/PwC Japan有限責任監査法人※10428,730円(月30時間分のみなし残業代90,600円を含む)あり(30時間分)2027年2月1日
準大手/太陽有限責任監査法人※12365,000円なし2026年の募集要項
準大手/三優監査法人※13350,000円なし(残業代は別途)2026年初任給として公表(2025年度実績)
準大手/東陽監査法人※14365,000円以上(基本給350,000円+調整手当15,000円)なし2026年の募集要項
準大手/仰星監査法人※15350,000円(東京事務所)なし公開中の最新は2025年の募集要項(2026年1月入所)

表3:大手・準大手8法人の定期採用の初任給(2026年10月9日に各法人の公式採用ページで確認。大手→準大手の順で、各区分の中は表記の慣例順)

額面を比べるときは、固定残業代が入っているかを必ず確かめてください。PwC Japanの額面からみなし残業代を引くと338,130円になり、ほかの法人と並ぶ水準です※10。東陽も、額面のうち15,000円は基本給ではなく調整手当です※14。

仰星は、10月9日時点で公開されている募集要項が2025年のもの(2026年1月入所)でした。2026年の条件は、更新された募集要項で確かめてください。

1年目の手取りや賞与を含めた年収は公認会計士の初任給と1年目の手取り、中小まで含めた法人ごとの並びは監査法人の初任給ランキングで確認できます。

新卒が選ぶなら大手と準大手はどう違う?

初任給はほぼ同じなので、違いが出るのは担当する会社の数と、同期の人数を含めた組織の大きさです。数字で見ると、規模の差ははっきりしています。

金融商品取引法や会社法にもとづく監査を受けている会社のうち、大手4法人が担当するのは2,410社、準大手4法人は631社、中小監査法人は1,076社です※4。監査法人に所属する公認会計士の約7割は大手にいます※4。

比べる点 大手(BIG4) 準大手(太陽・三優・東陽・仰星)
担当する被監査会社(金商法・会社法監査)2,410社(4法人の合計)※4631社(4法人の合計)※4
採用予定人数の例トーマツ 300名程度※8太陽 60人程度、三優 25名程度、東陽 20名程度※12※13※14、仰星(東京事務所・2025年の募集要項)10名程度※15
初任給(首都圏)365,000円が中心350,000〜365,000円
同期の人数の目安数百人規模(トーマツ 300名程度)※81法人あたり10〜60人程度(仰星は東京事務所の数)※12※13※14※15
選考の時期合格発表後に集中論文式試験の直後から接点あり

表4:大手と準大手の違い(被監査会社数は公認会計士・監査審査会の令和8年版モニタリングレポート、採用予定人数は各法人の募集要項)

準大手4法人それぞれの特徴は準大手監査法人とは(大手との違いと向いている人)でまとめています。

大手は1法人で数百人を採り、同期の人数が多い環境です。準大手は1法人あたりの採用予定が10〜60人程度で、4法人あわせて631社の被監査会社を担当しています※4※8※12※13※14※15。どちらが上という話ではなく、合うかどうかの話です。

大手と準大手は選考の時期がずれるので、併願も現実的です。比べる軸を決めたいなら監査法人の選び方が参考になります。

内定までに新卒がやっておくこと

合格発表から内定までは2〜4週間ほど。志望動機と比べる軸は、論文式試験が終わった秋のうちに固めておきます。発表を待ってから動くと、面接の予約枠が埋まっていることもあります。

  1. 8月下旬から10月に、大手と準大手の説明会へそれぞれ参加する
  2. 働きたい事務所(勤務地)と入所月の希望を決めておく
  3. 「なぜ監査法人か」「なぜその法人か」を、説明会で聞いた事実をもとに言葉にする
  4. エントリーシートを1枚書き上げ、法人ごとに直す
  5. 在学中なら、非常勤の勤務日数と卒業までの予定を確かめる

説明会で何を聞けば差が見えるかは説明会で聞くべき質問、面接の準備は面接で聞かれる質問40選、書類はエントリーシートの書き方でそれぞれ扱っています。

論文式試験の後は、大手と準大手を合わせると説明会の数がかなり多くなります。足を運ぶ法人は3〜5つに絞り、残りは公式の募集要項を読むだけにする。それくらい割り切った方が、面接の準備に時間を回せます。

よくある質問(FAQ)

公認会計士試験に合格していなくても、新卒で監査法人に入れますか?

入れます。会計士として監査をする定期採用は論文式試験の合格者が対象ですが、短答式試験に合格していない学生をトレーニーとして採る枠や、試験を問わないIT監査職・アドバイザリー職の新卒採用を持つ大手があります。※6※9※11

在学中に論文式試験に合格したら、卒業前から働けますか?

多くの法人で、卒業までは非常勤の職員として入所し、卒業後の4月に常勤へ切り替わります。勤務日数の扱いは法人ごとに違うため、説明会で確かめておくと安心です。2025年の合格者のうち39.9%は大学に在学中でした。※3※5※15

監査法人に新卒で入ったときの初任給はいくらですか?

2026年の募集要項では、大手・準大手とも月35万円から36万5千円が中心です。PwC Japanの月428,730円は月30時間分のみなし残業代を含む額で、それを除くと338,130円になります。※5※7※8※10※12※13※14※15

大手と準大手の監査法人は併願できますか?

できます。準大手は論文式試験の直後から説明会などの接点があり、大手は合格発表の後に面接が集中するため、時期が重なりにくい形です。内定の承諾期限が早い法人もあるので、返事の期限は先に確かめておきましょう。※15

過去の年に合格した既卒の人も、定期採用を受けられますか?

受けられる法人が多いです。EY新日本は定期採用の対象に過年度合格者を含めており、東陽も過年度合格の人の応募を受け付けると明記しています。※5※14

まとめ

監査法人に新卒で入るときに大事なのは、卒業年度より論文式試験の合格です。会計士として入る定期採用は合格者が対象で、在学中に合格した人は非常勤から始めます。試験の前や、試験を受けない人のための枠も、大手を中心に用意されています。

2026年は11月20日の合格発表から一気に選考が進みます。初任給は大手も準大手も月35万円から36万5千円が中心なので、決め手は規模や同期の人数といった組織の大きさの方。説明会のうちに比べる軸を決めて、合格発表の日に迷わず動ける状態をつくっておいてください。

参考文献・出典(2026年10月9日確認)