企業の選び方

【2026年版】監査法人トーマツの年収・初任給と採用の実態|公式データで検証

「トーマツの年収って、実際いくらなんだろう」。論文式試験が終わって法人選びを始めると、まずここでつまずきます。検索して出てくるのは口コミサイトの平均年収ばかり。誰が何人分を答えた数字なのかは書かれていません。働き方や待遇についても、出どころの分からない話が混ざります。

そこでこの記事では、有限責任監査法人トーマツが自分で公表している一次情報だけを使って、初任給・待遇・規模・選考の中身を組み立て直しました。募集要項、採用サイトのFAQ、業務及び財産の状況に関する説明書類。使ったのはこの3つと、金融庁の公認会計士・監査審査会が出している公表資料だけです。

口コミサイトの数字は1つも使っていません。そのぶん「分からないことは分からない」と正直に書きます。読み終わる頃には、トーマツを第一志望にするかどうかを自分で判断できる材料がそろいます。

この記事の要点

  • トーマツの初任給は東京事務所と横浜事務所が月給365,000円、その他の事務所が345,000円。募集要項に固定残業代の記載はなく、時間外勤務手当は別途支給されます※1
  • 公式の募集要項で月額を確認できた5法人のうち、大手3法人と準大手1法人が同じ365,000円。初任給の額面だけでは法人を選び分けられません※1※4※5※7
  • 働き方と待遇で気になりやすいのは5点。一次情報で確かめられるものと、法人が公表していないものが混ざっています。この記事では両方を分けて示します
  • トーマツで最も特徴的なのは採用が事務所ごとに行われ、選考会の予約が全国で1カ所しかできないこと※1。志望する事務所の選び方が、そのまま法人選びになります

有限責任監査法人トーマツとは、どんな規模の法人か

トーマツは職員6,272名・17事務所を持つ大手監査法人で、2026年5月期の業務収入は1,425億円です※2。まず数字で全体像をつかんでおきます。

正式名称は有限責任監査法人トーマツ。デロイト トウシュ トーマツ リミテッドのメンバーファームで、EY新日本有限責任監査法人、有限責任あずさ監査法人、PwC Japan有限責任監査法人と並ぶ大手監査法人の1つです。金融庁の公認会計士・監査審査会がまとめた資料では、日本に296法人ある監査法人のうち、この大手4法人だけで監査業務収入の約78%を占めています※8。

項目数字時点・注記
職員数(社員+使用人)6,272名2026年5月31日現在。海外駐在員と海外派遣の監査スタッフを含まない※2
社員(パートナー)475名(公認会計士450名・特定社員25名)法人全体の社員数。うち事務所に勤務する469名が上の6,272名に含まれる※2
事務所数17ヵ所説明書類の数え方。募集要項の勤務地は「全国30カ所」で、連絡事務所を含む拠点単位※1※2
被監査会社数3,201社(うち大会社等1,036社)2026年5月31日現在※2
業務収入(第59期)1,425億4,800万円監査証明業務1,046億1,500万円/非監査証明業務379億3,300万円※2
沿革1968年設立の等松・青木監査法人が源流1990年に監査法人トーマツへ、2009年に有限責任へ移行※2

見ておきたいのは6,272名の内訳です。日本公認会計士協会に開業登録を済ませた公認会計士が2,294名、まだ準会員である公認会計士試験合格者等が1,265名※2。職員のおよそ5人に1人が、資格登録前の試験合格者という構成になっています。

採用予定人数は300名程度※1。同期が数百人という規模は、大手にしか作れません。

数字の読み方で注意したい点が1つ。事務所数は資料によって違います。説明書類は17ヵ所、募集要項の勤務地は全国30カ所※1※2。前者が事務所単位、後者が連絡事務所まで含めた拠点単位という、数え方の違いです。法人単体の規模を知りたいなら、見る資料は説明書類になります。

トーマツの初任給は月給365,000円。中身を分解する

トーマツの初任給は東京事務所と横浜事務所が月給365,000円、その他の事務所が345,000円です※1。募集要項にそう書かれています。

差は20,000円。トーマツは勤務地の区分を「東京事務所、横浜事務所」と事務所名で書いています※1。EY新日本は「首都圏」と「地区」という区分で分けており※5、書き方が違います。事務所ごとに採用する法人らしいところです。

もう1点。募集要項に固定残業代の記載がありません※1。時間外勤務手当、休日出勤手当、深夜勤務手当は「各種手当」として別に並んでいます。働いた時間外は原則そのまま手当になる設計、ということです。

募集要項に書かれている条件を並べると、こうなります※1。

  • 給与:東京事務所・横浜事務所は月額365,000円、その他の事務所は345,000円
  • 賞与:年2回(12月および9月)
  • 昇格:年1回、能力査定のうえ決定
  • 手当:時間外勤務手当、休日出勤手当、深夜勤務手当、通勤手当、出張手当など
  • 勤務時間:9時30分から17時30分(休憩1時間、変形労働時間制の適用あり)
  • 採用予定人数:300名程度(常勤職員等)
  • 応募資格:公認会計士試験論文式試験の全科目合格者。年齢の制限は定めていない
  • 勤務地:全国30カ所

大手4法人の初任給を、額面と中身の両方で並べる

初任給の記事でよく見るのは、額面だけを並べた表です。それだと固定残業代が入っている法人と入っていない法人が同じ土俵に並んでしまいます。各法人の公式募集要項から、内訳ごと引き写した表がこちらです。

法人(正式名称)月額額面の中身賞与出典
有限責任監査法人トーマツ東京・横浜365,000円/その他345,000円固定残業代の記載なし。時間外勤務手当は別途支給年2回(12月・9月)※1
有限責任あずさ監査法人365,000円首都圏手当20,000円+ワークサポート手当(東京)10,000円を含む。固定残業代なし年2回※4
EY新日本有限責任監査法人首都圏365,000円/地区347,000円固定残業代の記載なし。時間外手当は別途支給年2回(6月・12月)※5
PwC Japan有限責任監査法人420,300円月30時間分の時間外勤務手当を含む。超過分は別途支給。新卒採用(監査職)の額で、応募要件は米国公認会計士試験の全科目合格者業績賞与 年1回※6

PwC Japanの420,300円だけ数字が大きく見えます。ただしこれは新卒採用(監査職・米国公認会計士試験の全科目合格者向け)の額で、月30時間分の時間外勤務手当を含みます※6。時間外を含まない他3法人の365,000円と単純に比べると、実態を読み違えます。基本給がいくらなのかは公表されていないため、この記事では計算しません。

もう1つ、この表には粒度の注意があります。PwC Japanの数字は新卒採用(監査職)の募集要項に載っている額で、応募要件は米国公認会計士試験の全科目合格者です※6。公認会計士試験合格者向けの定期採用ページには月額の記載を確認できませんでした。同じ「初任給」でも採用区分が違う点は、そのまま書いておきます。

法人ごとの初任給をもっと広く見比べたい人は、監査法人の初任給ランキングで大手・準大手・中小を横断して整理しています。

初任給の額面が横並びだと分かると、次に気になるのは「入所したあとどう上がるのか」です。その前に、法人選びの全体像を押さえておきたい人はこちらから。

入所後の年収はどう上がるのか。役職5段階で見る

監査法人の年収は役職で段が変わり、マネージャー以上は年俸制に切り替わって賞与という形の支給がなくなります。この構造は大手監査法人に共通です。

知りたいのは3年目や5年目にいくらもらえるのか、というところだと思います。ところが、トーマツの募集要項が公表しているのは初任給と「賞与年2回・昇格は年1回の能力査定」まで※1。役職ごとの年収レンジは公表されていません。ここを推測値で埋めている記事が多いのですが、この記事では書きません。代わりに、給与の決まり方がどこで変わるのかを整理します。

スタッフとシニアスタッフの時期は、月給と年2回の賞与という組み合わせです。トーマツの賞与は12月と9月※1。景気や法人の業績で月数が動くため、同じ役職でも年によって年収が変わります。

マネージャーに上がると年俸制になり、賞与という名目の支給はなくなります。年収の総額が下がるという意味ではなく、受け取り方が「月給+賞与」から「年俸の12分割」へ変わるということです。ここを誤解したまま「マネージャーになると賞与が消える」と受け取る人がいます。

役職・年齢ごとの相場を数字で追いたい場合は、監査法人の年収を年齢・役職別に整理した記事と、パートナーの年収と到達難易度をまとめた記事が参考になります。

資格手当と家賃補助は、募集要項に載っていない

トーマツの募集要項を確認したところ、資格手当・家賃補助・住宅手当のいずれも記載がありません※1。これはトーマツに限った話ではなく、監査法人には基本的に資格手当も家賃補助もありません。あずさ、EY新日本、太陽の募集要項でも同じく記載がありませんでした※4※5※7。

ただし、トーマツの募集要項には手当とは別の欄に見逃せない記載があります。実務補習所の費用、公認会計士協会の登録費用と年会費、修了考査の対策講座受講料と受験料が、いずれも法人負担と書かれているのです※1。額面の月給には現れませんが、手元に残るお金には効いてきます。初任給を比べるときは、こういう「引かれずに済むお金」も一緒に見ておくと精度が上がります。

働き方と待遇で気になりやすい5点を、公表資料で確かめる

入所前に働き方や待遇が気になるのは、トーマツに限らず大手監査法人すべてに共通します。就職先として比べる以上、条件を自分の目で確かめたくなるのは自然なことです。

ここで先に断っておきます。この記事では口コミサイトの平均年収や平均残業時間を使いません。あの数字は投稿者の自己申告を集計したもので、何人分なのか、どの役職の人が答えたのか、法人が確かめたのかが分かりません。代わりに、気になりやすい5つの点を一次情報で確かめられる範囲だけ検証します。確かめられないものは「公表されていない」と書きます。

気になりやすい点一次情報で確かめられること確かめられないこと
繁忙期の労働時間監査品質に関する報告書2025に年間平均執務時間の記載あり。社員2,073時間・職員1,893時間(2024年6月〜2025年5月)※10。募集要項は固定残業代の記載がなく、時間外勤務手当・休日出勤手当・深夜勤務手当が別途支給される※1。FAQも「繁忙期の他、担当する会社の日程および業務の状況によっては、土曜・日曜・祝祭日に出勤する場合があります」と明記※3月ごとの残業時間と繁忙期のピーク(4法人とも公表していない)
組織の大きさと一人ひとりの見え方職員6,272名・17事務所。東京事務所だけで4,206名※2。採用は事務所ごとで、配属は入所時のアンケートで希望を最大限考慮すると明記※1※31チームあたりの人数、配属の希望が通る割合
初任給の水準月額を確認できた5法人のうち、大手3法人と準大手1法人が同じ365,000円※1※4※5※7入所後の昇給幅(昇格は年1回の能力査定とだけ公表※1)
手当の内容資格手当・家賃補助・住宅手当の記載なし。ただし実務補習所費用、協会の登録費用と年会費、修了考査の対策講座受講料と受験料は全額法人負担※1各制度の金額
口コミサイトの平均年収の扱い法人が公表しているのは初任給の月額と賞与の回数だけ※1役職別・年齢別の年収レンジ(大手4法人のどこも公表していない)

表を見ると分かるとおり、気になりやすい点は、確かめられるものと確かめられないものが混ざっています。年間平均執務時間のように法人が数字で出しているものもあれば、配属の希望が通る割合のように出ていないものもある。断定している記事は、後者を推測で埋めています。

手がかりは募集要項とFAQの書き方そのものにもあります。

1つ目。固定残業代がないということは、働いた時間外は原則そのまま手当になるという設計です。逆に固定残業代を含む法人では、その時間までは追加の支給がありません。同じ「残業がある」でも、財布に返ってくる形が違う。ここは条件を読むときの分かれ目です。

2つ目。トーマツは採用サイトのFAQで、繁忙期などに土曜・日曜・祝祭日の出勤があると自分から書いています※3。同時に、年10日間の有給休暇取得奨励日を設け、夏季のオフィスクローズ期間にも設定しているとも書いている。忙しい時期があることを隠さず、そのぶんまとめて休む仕組みを置く。この2つはセットで読むべき情報です。

働き方の実態をもう少し広く比べたい人は、残業・有給・離職率で監査法人を比較した記事を見てください。法人ごとに公表状況が違うことも含めて整理しています。

監査の品質や法人の運営については、金融庁と公認会計士・監査審査会が検査や処分の結果を公表しています。どの法人について何があったかは、公表資料で誰でも確認できます。この記事は就職の条件に絞って扱うため個別には取り上げませんが、気になる人は次の2つを見てください。

働く環境として、公表されている数字はどこまであるか

トーマツが法人単体で公表している働き方の数値は、監査品質に関する報告書2025にある年間平均執務時間と、募集要項・FAQにある制度の中身です※1※3※10。採用サイトだけを見ていると執務時間の数字を見落とします。

採用サイトには「国内グループ人員数 約22,000名」「グローバル人員数 約460,000名」といった数字が並んでいます。ただしこれらはデロイト トーマツ グループやデロイトネットワーク全体のもので、有限責任監査法人トーマツで働く人の環境を表す数字ではありません。混ぜて読むと規模を実際の3倍以上に見誤ります。

そこで、法人単体で確かめられる数字として事務所別の人員を見ておきます。トーマツは事務所ごとに採用するため、どの事務所を志望するかが、そのまま働く環境を決めるからです。

東京事務所が4,206名で全体の67.1%※2。職員の3人に2人が東京にいる計算です。次が大阪の603名、横浜の289名、名古屋の271名、福岡の265名と続きます。

ここで効いてくるのが、17事務所のうち11事務所は100名未満という事実です※2。那覇事務所は11名、新潟事務所は19名。同じ法人でも、東京と地方の事務所では同期の人数も担当する会社の顔ぶれも変わります。「トーマツはこうだ」と一括りに語れないのは、この分布があるからです。

勤務地から法人を考えたい人は、監査法人の勤務地と転勤の実態をまとめた記事もあわせて読んでみてください。

年間平均執務時間は、4法人中4法人が公表している

大手4法人はどこも、監査品質に関する報告書で監査に携わる人の年間平均執務時間を出しています。4法人中4法人です。募集要項に載っていないため見つけにくいだけで、「公表されていない」わけではありません。

法人社員(パートナー)社員以外の職員集計期間
あずさ2,247時間1,935時間2025年6月期
EY新日本2,020時間1,948時間2024年7月〜2025年6月
トーマツ2,073時間1,893時間2024年6月〜2025年5月
PwC Japan2,110時間1,904時間2024年7月〜2025年6月

出典は各法人の監査品質に関する報告書です※11※12※10※13。全体の平均まで出しているのはEY新日本の1,956時間とPwC Japanの1,922時間(前年度1,941時間)の2法人で、トーマツは前年度の社員2,146時間・職員1,926時間も併記しています※12※13※10。

読むときの注意が2つあります。1つ目、執務時間は残業時間ではありません。所定の労働時間を含んだ、1年間に働いた時間の合計です。2つ目、集計の期間も対象者の決め方も法人ごとに違います。トーマツは事業年度が6月から5月、あずさは通期にわたって在籍した人だけを集計、PwC Japanは年35時間以上監査業務に従事した人を監査従事者としています※11※10※13。数十時間の差で法人の優劣を判断できる数字ではありません。

そのうえで読み取れるのは、4法人とも社員以外の職員の平均が1,900時間前後に収まっているということです。月ごとの残業時間や繁忙期のピークは、4法人のいずれも公表していません。そこは説明会や面接で聞く論点として残ります。

退職率と有給休暇は、公表している法人が限られる

退職率を数字で出しているのは4法人中1法人、有給休暇の実績を出しているのは4法人中2法人です。執務時間のようには揃いません。

法人退職率有給休暇の実績
あずさ公表なし職員の取得率77%
EY新日本公表なし公表なし
トーマツ公表なし公表なし
PwC Japan7.9%(前年度7.7%)平均取得日数18日・社員を除く

「公表なし」は推測で書いたものではありません。4法人分の監査品質に関する報告書(あずさはAZSA Quality 2025/26)と、各法人の募集要項および業務及び財産の状況に関する説明書類を実際に開き、退職率・離職率・有給休暇の語で本文を探した結果です※11※12※10※13。4法人すべてを確認したうえで、記載があったのはあずさとPwC Japanの2法人だけでした。単位も違うので、77%と18日を並べて比べることはできません。

制度として書かれているもの

募集要項とFAQに列挙されている休暇・制度を、そのまま並べます※1※3。

  • 休日:土曜・日曜、祝祭日、年末年始(法人カレンダーにより一部の土曜と祝祭日を除く)
  • 休暇:年次有給休暇、受験有給休暇、慶弔休暇、産前産後休暇、通院休暇、配偶者出産休暇、子育て休暇、介護休暇、子の看護等休暇、通院等特別休暇、ボランティア休暇、失効年休積立休暇など
  • 有給休暇:年10日間の取得奨励日を設定。夏季のオフィスクローズ期間にも設定
  • 休職:育児は最長3歳まで。不妊治療は最大24カ月で、男女とも利用できる
  • 費用負担:実務補習所費用、公認会計士協会の登録費用と年会費、修了考査の対策講座受講料と受験料
  • 試験への配慮:実務補習所の各科目の考査前は、残業や出張を可能な限り避ける相談ができる

受験有給休暇と、考査前の残業・出張の配慮。この2つが制度として書かれているのは、監査法人らしいところです。入所後も修了考査が控えているためで、ここは大手・準大手・中小を問わず多くの法人にあります。

トーマツの選考フローと、2026年合格者の動き方

トーマツの選考は事務所ごとに行われ、選考会の予約は全国で1カ所しかできません※1。他の大手とは決定的に違うところです。

大手には接触禁止期間があり、合格発表前に選考へ進むことはできません。一方で準大手・中小には接触禁止期間がないため、論文式試験の直後から説明会や個別面談が数多く開かれます。「まず準大手・中小を見てから大手を受ける」という順番が、制度上そもそも組みやすいということです。

この時間差をどう使うか。就職活動の質はここで決まります。11月まで何もしないでいると、合格発表から内定承諾までの2週間で全部を決めることになります。逆に9月から10月に他の法人を見ておけば、大手の面接に入る頃には比較の軸ができています。

事務所ごとに採用する。選考会の予約は全国で1カ所だけ

トーマツの採用フローは、募集要項にこう書かれています※1。

  • 各事務所の採用情報を確認する
  • エントリーする。このとき希望する事務所を選択する
  • その事務所が実施する法人説明会などのイベントに参加する
  • その事務所の選考会に進む。選考方法は書類審査・面接など
  • 内定

注意したいのは、選考会の予約が全国で1カ所しかできない点です※1。複数の事務所の選考会を重複して受けることはできません。つまりエントリーの段階で、どの事務所で働くかを実質的に決めることになります。

これは制約であると同時に、利点でもあります。働く場所を自分で選んだうえで選考に進めるからです。入所後に事務所間を異動することも可能で、部門の配属も入所時のアンケートで希望を最大限考慮するとFAQに明記されています※3。

応募資格についても一言。公認会計士試験論文式試験の全科目合格者が対象で、年齢などの制限は定めていないと書かれています※1※3。既卒や社会人経験のある合格者にとっては、確認しておくと安心できる一文です。

面接で何を聞かれるのかを具体的に準備したい人は、監査法人の面接で聞かれる質問と回答例をまとめた記事が使えます。合格直後からの動き方全体は、合格直後の就職活動の進め方をまとめた記事で扱っています。

トーマツが合わないと感じたら、どこを見ればいいか

初任給が横並びである以上、法人選びの決め手は給与以外の要素になります。規模、担当できる会社、任される速さ、働く場所。この4つで自分に当ててみてください。

トーマツが強いのは、大企業と金融機関の監査に関われる確率と、働く場所を自分で選べる仕組みです。被監査会社3,201社のうち1,036社が大会社等※2。この母数の大きさは、規模でしか作れません。

逆に、若いうちから広い範囲を任されたい人にとっては、規模が壁になることもあります。同じ現場に何人が入るかで、1人が触れる範囲は変わるからです。ここを重視するなら、準大手(太陽・三優・東陽・仰星)と中小を必ず比較対象に入れてください

給与面で「大手のほうが高いはず」と思い込んでいるなら、その前提は一度外したほうがいい数字があります。準大手の太陽有限責任監査法人の定期採用募集要項は、月給36万5千円・固定残業代なし・賞与年3回(6月・8月・12月)・採用予定60人程度※7。初任給は大手3法人と同額で、賞与の回数はむしろ多く設定されています。

準大手と中小はそれぞれ法人ごとの色が強く、一括りにできません。準大手監査法人の特徴を就活目線でまとめた記事と、中小監査法人を一覧で比較した記事で、1法人ずつ見ていくのが結局いちばん早い道です。

規模の違いを横断で確かめたいなら、大手・準大手・中小の違いを整理した比較ガイドから入るのがおすすめです。

2027年7月1日に予定されている合併について

三優監査法人と仰星監査法人は、「監査法人BDO Japan」の創設に向けて合併することで基本合意しました。合併予定日は2027年7月1日です。

  • 両法人は対等の精神に基づいて合併します。法令上の手続としては、仰星監査法人を存続法人、三優監査法人を消滅法人とする合併方式が想定されています。
  • 合併後の規模は業務収入 約110億円(2026年6月期見込)・人員822人(非常勤を含む)・被監査上場会社192社と公表されています。いまのどちらの法人よりも大きな規模になります。
  • 2027年に入所する人は、2027年7月1日に所属する法人の名称が変わります。初任給や待遇の条件は、各法人がいま公表している募集要項が基準です。

この記事で準大手4法人(太陽・三優・東陽・仰星)として並べているのは、2027年6月30日までの区分です。

出典:三優監査法人「「監査法人BDO Japan」の創設に向けた検討について」(2026年7月27日公表・2026年8月31日確認)

よくある質問

監査法人トーマツの初任給はいくらですか?

募集要項に記載されている月額給与は、東京事務所と横浜事務所が365,000円、その他の事務所が345,000円です※1。固定残業代の記載はなく、時間外勤務手当・休日出勤手当・深夜勤務手当は別途支給されます。賞与は年2回(12月および9月)、昇格は年1回の能力査定です。

トーマツの年収は他の大手より高いのですか?

初任給の月額で見ると、トーマツの東京・横浜365,000円、あずさ365,000円、EY新日本の首都圏365,000円が同額です※1※4※5。役職ごとの年収レンジは大手4法人とも公表していないため、入所後の差については公開情報から比較できません。

監査法人トーマツの働き方や待遇は、公開情報でどこまで分かりますか?

確かめられる数字はあります。監査品質に関する報告書2025によると、年間平均執務時間は社員2,073時間・職員1,893時間です(2024年6月から2025年5月)。募集要項は固定残業代がなく時間外勤務手当が別途支給され、繁忙期などに土曜・日曜・祝祭日の出勤がある場合があると法人自身が書いています。年10日間の有給休暇取得奨励日もあります。一方で月ごとの残業時間、繁忙期のピーク、退職率、有給休暇の取得実績は公表されていないため、そこは公開情報だけでは判断できません※1※3。

トーマツの選考はどのように進みますか?

トーマツは事務所ごとに採用しています。エントリーのときに希望する事務所を選び、その事務所の説明会などのイベントに参加してから選考会に進みます。選考方法は書類審査・面接などです。選考会の予約は全国で1カ所のみで、複数の事務所を重複して受けることはできません※1。

トーマツには家賃補助や資格手当がありますか?

募集要項には資格手当・家賃補助・住宅手当のいずれも記載がありません※1。監査法人には基本的に家賃補助と資格手当がなく、転勤も基本的にありません。ただし実務補習所の費用、公認会計士協会の登録費用と年会費、修了考査の対策講座受講料と受験料は全額法人負担と明記されています※1。

トーマツは過去に行政処分を受けたことがありますか?

監査法人への行政処分や検査結果は、金融庁公認会計士・監査審査会が公表しています。過去の有無は法人によって違うので、リンク先で法人名を探して確かめてください。この記事は就職の条件を扱うため、個別の処分の中身には立ち入りません。

まとめ

トーマツの初任給は、東京事務所と横浜事務所が月給365,000円、その他の事務所が345,000円※1。固定残業代の記載はなく、時間外は別途手当になります。額面の数字より、中身の構成を見るほうが実態に近づきます。

要点を3行で。初任給は大手3法人と準大手1法人が同額で、給与では選び分けられません。気になりやすい点の多くは法人が数字を公表していない領域にあり、断定している記事は推測を挟んでいます。そしてトーマツ固有の判断材料は、採用が事務所ごとで、選考会を全国で1カ所しか受けられないことです。

どの事務所を選ぶかは、どの法人を選ぶかと同じ重さを持ちます。東京4,206名と那覇11名では、同じ法人でも見える景色が違うからです※2。トーマツを第一志望にするにしても、しないにしても、準大手と中小を1法人ずつ見ておくと、選考で話す内容まで変わります。急がば回れ、です。

参考文献・出典