USCPAに全科目合格して、監査法人に応募した。手応えもあった。それなのに不採用の通知が届く。理由は書かれていないので、何を直せばいいのかも分かりません。
先に一つ確かめてほしいことがあります。応募した枠が、日本の公認会計士試験の合格者向けになっていなかったか。大手・準大手8法人の定期採用は、2026年10月時点で8法人とも「公認会計士試験の論文式試験に合格した人」を対象にしています。USCPAの合格者が応募できる監査の枠は、これとは別に用意されています。
この記事では、8法人の公式採用ページで確認できたUSCPAの扱いを1枚の表にまとめ、落ちる原因と、次にどの枠へ応募し直すかまでを整理しました。
この記事の要点
- 大手・準大手8法人の定期採用は、8法人とも日本の公認会計士試験(論文式)の合格者が対象
- USCPA全科目合格を応募資格に書いた監査の募集を公式ページで確認できたのは8法人中4法人
- そのうち監査経験を条件にしていない募集があったのは3法人
- 落ちる原因は「枠の選び違い」「経験の条件」「志望動機」「日本語の書類と受け答え」の4つに分けて見直す
- 次の応募では、募集要項の応募資格の欄でUSCPAの記載を確かめてから出す
USCPAで監査法人に落ちるのはなぜ?原因は4つに分かれます
USCPAで監査法人に落ちる原因は「応募した枠」「経験の条件」「志望動機」「日本語での書類と受け答え」の4つに分かれます。どれに当たるかで、直し方がまったく違います。
| 原因 | よくある状態 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 応募した枠が違う | 日本の公認会計士試験の合格者向けの定期採用に応募した | 募集要項の「応募資格」「対象者」の欄にUSCPAの記載があるか |
| 経験の条件を満たしていない | 「監査経験必須」「経理の経験3年以上」などの条件がある枠に、未経験で応募した | 応募資格の欄の後半に経験年数の条件がないか |
| 志望動機が浅い | 「英語を活かしたい」「USCPAを使える職場だから」で止まっている | その法人の業務内容の欄にある言葉で、自分のやりたい仕事を説明できるか |
| 日本語の書類と受け答え | 書類の誤字、結論が後回しの回答、敬語のぶれ | 応募書類を声に出して読み、1分で要点を言えるか |
表1:USCPAで監査法人に落ちる原因の切り分け
応募した枠が、そもそも日本の公認会計士試験の合格者向けだった
本人がいちばん気づきにくい原因です。監査法人が毎年まとめて採る「定期採用」は、11月の論文式試験の合格発表に合わせた採用です。
大手4法人・準大手4法人の定期採用の募集要項を確認すると、応募資格はすべて日本の公認会計士試験の論文式合格でした※2※4※6※7※9※11※13※15。USCPAの合格者は、この枠では書類の段階で対象外になります。力が足りなかったわけではなく、別の入口に並んでいただけ。ここで自信をなくすのは、正直もったいないと思います。
「監査経験」や「実務経験」の条件を満たしていなかった
USCPAを応募資格に書いた募集は、経験の条件がつくことが多いのが特徴です。準大手の中途の募集には「USCPA全科目合格(監査経験必須)」と書かれたものがあり※10、大手のアドバイザリーの募集には「金融機関の財務・経理部等の経験3年以上」という条件がありました※5。
条件を満たさないまま応募すると、面接の出来とは関係なく通りません。年齢と経験の組み合わせで見られやすい点はUSCPAの年齢と監査法人の就職で詳しく扱っています。
志望動機が「英語を活かしたい」で止まっていた
面接官が知りたいのは、英語をどの仕事で使うかです。法人の中の仕事は、日本語での監査調書の作成や被監査会社とのやり取りが中心になります。
「英語を活かしたい」だけでは、どの法人でも言える動機に聞こえます。USCPAの合格者を募集している枠の業務内容には、IFRSや米国基準での監査、外資系企業の日本子会社の監査といった具体的な仕事が並んでいます※10※12。その言葉を使って語れるかどうかが分かれ目です。
日本語の書類と受け答えで評価を落とした
英語の面接に慣れている人ほど、日本語の面接で結論が後回しになりがちです。書類の誤字や敬語の乱れも、監査調書の正確さと重ねて見られます。
海外経験が長い人は、日本の監査の現場で使う報告・連絡・相談の型を、具体的な場面で話せるようにしておくと安心です。英語力そのものの扱いは監査法人の就職と英語力にまとめています。
大手・準大手8法人のUSCPAの扱い【2026年10月時点】
8法人とも定期採用は日本の公認会計士試験の合格者向けで、USCPAの合格者が応募できる監査の募集は8法人中4法人で確認できました。2026年10月9日に、各法人の公式採用ページを1つずつ開いて確かめた結果です。
準大手は太陽・三優・東陽・仰星の4法人です※1。
| 法人 | 定期採用の応募資格 | USCPAを応募資格に書いた監査の募集 | 条件(応募資格の欄から) |
|---|---|---|---|
| EY新日本有限責任監査法人(大手) | 論文式試験の全科目合格者※2 | あり(金融事業部の監査職・スタッフ)※3 | 米国公認会計士の資格、または全科目合格。監査経験の条件なし(スタッフ) |
| 有限責任あずさ監査法人(大手) | 公認会計士試験の全科目合格者※4 | 確認できず(アドバイザリーの募集にはあり)※5 | アドバイザリー職はUSCPA全科目合格かつ金融機関の財務・経理部等の経験3年以上 |
| 有限責任監査法人トーマツ(大手) | 論文式試験の全科目合格者※6 | 公式採用ページでは確認できず | 定期採用は年齢の制限なし※6 |
| PwC Japan有限責任監査法人(大手) | 論文式試験の合格者※7 | あり(大学・大学院を卒業見込みの人向けの監査職)※8 | USCPAの全科目合格。監査経験の条件なし |
| 太陽有限責任監査法人(準大手) | 論文式試験の全科目合格者※9 | あり(中途の採用)※10 | USCPA全科目合格。監査経験は必須 |
| 三優監査法人(準大手) | 論文式試験の全科目合格者※11 | あり(中途の採用・国際業務)※12 | USCPA全科目合格。監査経験を必須とする募集と、条件なしの募集 |
| 東陽監査法人(準大手) | 論文式試験の全科目合格者※13 | 公式採用ページでは確認できず※14 | 公開中の中途の募集3件に記載なし |
| 仰星監査法人(準大手) | 論文式試験の全科目合格者※15 | 公式採用ページでは確認できず※16 | キャリア採用の応募資格は公認会計士・論文式試験の合格者 |
表2:大手・準大手8法人のUSCPAの扱い(2026年10月9日に各法人の公式採用ページで確認)
「確認できず」は、USCPAを受け付けないという意味ではありません。公式ページに今出ている募集の中には見当たらなかった、という意味です。求人サイトや転職エージェント経由の募集は、この表に入れていません。
法人ごとの採用と待遇は、法人別のページで確認できます。EY新日本/あずさ/トーマツ/PwC Japan/太陽/三優/東陽/仰星
定期採用に出しても、USCPAだけでは対象外。監査の枠に入るなら、中途の採用か、卒業見込みの人向けの別枠を探すことになります。経験の条件も法人ごとにばらばらです。
募集の中身は年に何度も入れ替わります。応募の前には、志望する法人の採用ページで応募資格の欄をもう一度確かめてください。BIG4と準大手の違いそのものは監査法人の選び方で比べています。
USCPAで監査法人に入ると、どんな仕事を任されるか
日本で監査意見を出す「監査」は、日本の公認会計士の独占業務です※17。USCPAで入所した人は、監査チームの一員として手続きを進める側に立ちます。
この線引きを分かっていると、面接での話し方が変わります。「日本の公認会計士と同じことをしたい」ではなく、「USCPAの知識がいちばん効く仕事をしたい」と言えるからです。
| 募集要項に出てくる仕事 | USCPAの知識が効く場面 |
|---|---|
| IFRS(国際財務報告基準)に対応した監査 | 海外の基準で作られた財務諸表を読む |
| US GAAP(米国の会計基準)に対応した監査 | 試験で学んだ米国基準をそのまま使う |
| 海外向け財務諸表の監査 | 英文の資料と海外とのやり取り |
| 外資系企業の日本子会社の監査(リファードイン業務) | 海外の監査チームからの指示を英語で受けて手続きを進める |
表3:USCPAを応募資格に書いた募集の業務内容の例(出典※10※12)
志望動機を作るときは、この表の左の列から1つ選び、なぜその仕事をしたいのかを自分の経験で説明してみてください。「英語を活かしたい」より、ずっと具体的になります。
どんな仕事を任されるかは、法人によって重みが違います。応募先を選ぶ前に、法人ごとの特徴も並べて見てみてください。
面接で落ちる人に共通する受け答え
面接で落ちる人に多いのは、資格の話ばかりで「法人で何をするか」が見えない受け答えです。USCPAの合格は書類で伝わっています。面接で聞かれているのは、その先です。
| よくある発言 | 面接官の受け取り方 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 英語を活かせる仕事がしたい | 英語を使わない仕事だと辞めそう | 外資系企業の日本子会社の監査に関わりたい。英文の指示書を読んで手続きを組む経験を積みたい |
| 将来は独立を考えている | 数年で辞めそう | まずは監査チームで手続きを一通り任されるようになりたい |
| USCPAでも入れると聞いた | どこでもいいのでは | この法人の国際業務の募集を見て、扱う基準と仕事が自分の学んだ内容と重なると考えた |
| 個人で完結する仕事をしてきた | チームで動けるか不安 | 前職で他部署と締め日を調整した経験を、監査チームの進め方に活かしたい |
表4:面接で評価を落としやすい発言と言い換え
話し方そのものでも差がつきます。結論から話す、質問にまっすぐ答える、相手の話を最後まで聞く。被監査会社の担当者と向き合う仕事なので、ここは厳しめに見られます。
面接で実際に聞かれる質問は監査法人の面接で聞かれる質問40選、落ちやすい場面全般は監査法人の面接で落ちる理由で確認できます。
監査法人に落ちた後にやること【4ステップ】
落ちた後は「原因の特定→枠の選び直し→経験の補い方→伝え方の修正」の順で動くと、次の応募で同じ理由では落ちません。
- 表1の4つの原因のうち、どれに当たったかを決める
- 次に出す募集の応募資格の欄で、USCPAの記載と経験の条件を確かめる
- 経験の条件が足りない場合は、条件のない募集を選ぶか、経験を積む道を選ぶ
- 志望動機を、その募集の業務内容の言葉で書き直す
応募資格の欄から、出す枠を選び直す
表2のとおり、USCPAの合格者が出せる監査の枠は法人によって形が違います。卒業見込みの人向けの枠を設けている法人もあれば、中途の採用だけで受け付けている法人もあります。
前回が定期採用への応募だったなら、それは不合格ではなく対象外だった可能性があります。応募し直す余地は十分に残っています。
経験が足りないときの道
監査経験を条件にした枠しかない法人を志望するなら、まず経験を積む道を考えます。中小監査法人でUSCPAを生かして働く選択肢はUSCPAで中小監査法人へ就職するで紹介しています。
日本の公認会計士試験に挑み直す人には、試験の勉強をしながら監査法人で働く募集もあります。EY新日本は、2018年6月に掲載した採用ページで「監査トレーニー制度」を2016年に導入したと案内しています※18。いまも募集しているかどうかは、最新の採用ページで確かめてください。監査トレーニーは、試験にまだ合格していない人向けの制度です。
再応募では「前回から何を変えたか」を話す
同じ法人に再び応募するなら、前回との違いを具体的に話せるようにしておきます。「応募資格を読み直し、国際業務の募集に絞った」「IFRSの論点を学び直した」といった事実で十分です。
落ちた経験は、法人研究が深まった証拠として話せます。言い訳ではなく、次の行動の説明として使ってください。
よくある質問
USCPAだけで監査法人の定期採用に応募できますか?
2026年10月時点で、大手・準大手8法人の定期採用は、いずれも日本の公認会計士試験の論文式合格者を対象にしています※2※4※6※7※9※11※13※15。USCPAの合格者は、USCPAを応募資格に書いた別の募集に出すのが確実です。
USCPAで大手監査法人に入れますか?
入る道はあります。大手4法人のうち、EY新日本とPwC JapanではUSCPAを応募資格に書いた監査の募集を公式ページで確認できました※3※8。経験の条件や対象者は募集ごとに違うため、応募資格の欄まで必ず読んでください。
監査経験がなくてもUSCPAで応募できる監査法人はありますか?
あります。2026年10月9日時点で、監査経験を条件にしていないUSCPA向けの監査の募集を公式ページで確認できたのは、8法人中3法人でした※3※8※12。募集は入れ替わるので、応募前に最新の要項を確かめてください。
USCPAで監査法人に入ったら、監査報告書に署名できますか?
できません。日本で監査意見を出す監査は、日本の公認会計士の独占業務です※17。USCPAで入所した人は監査チームの一員として手続きを担い、IFRSや米国基準の監査、海外向けの財務諸表の監査などで知識を生かします。
一度落ちた監査法人に、もう一度応募できますか?
応募し直せるかどうかは、募集要項だけでは判断できないことがあります。気になるときは、各法人の採用窓口に問い合わせてから出すのが確実です。出すときは前回と違う募集を選び、前回から何を変えたかを説明できるようにしておきます。
まとめ
USCPAで監査法人に落ちたとき、最初に見るべきは面接の出来より「どの枠に出したか」です。大手・準大手8法人の定期採用は、8法人とも日本の公認会計士試験の合格者が対象でした。
USCPAを応募資格に書いた監査の募集は、8法人中4法人で確認できます。経験の条件と業務内容を読み、自分が出せる枠を選んでから志望動機を書き直してください。
枠さえ合えば、USCPAの知識が生きる仕事ははっきりしています。次の応募先を決めるところから始めましょう。
参考文献・出典
- ※1: 公認会計士・監査審査会「令和8年版 モニタリングレポート」(2026年7月)https://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakensa/kouhyou/20260717/2026_monitoring_report.pdf
- ※2: EY新日本有限責任監査法人「募集要項(定期採用)」https://www.shinnihon.or.jp/recruit/recruit/career_guide.html
- ※3: EY新日本有限責任監査法人「監査職(金融事業部)」中途採用の募集 https://job.axol.jp/hy/c/shinnihon/job/detail/FUME0ANmpZzxpxPpS
- ※4: 有限責任あずさ監査法人「募集要項(会計士定期採用)」https://www.recruit.azsa.or.jp/information/recruiting/
- ※5: 有限責任あずさ監査法人「金融機関向けコンサルタント」中途採用の募集要項 https://recruit.kpmg-adv.jp/azsa/recruitment/1319/
- ※6: 有限責任監査法人トーマツ「募集要項」https://recruit.tohmatsu.co.jp/recruiting/flow-and-requirements/「FAQ」Q9 https://recruit.tohmatsu.co.jp/recruiting/faq
- ※7: PwC Japan有限責任監査法人「募集要項(定期採用)」https://www.pwc.com/jp/ja/careers/assurance/cpa/tokyo/261001.html
- ※8: PwC Japan有限責任監査法人「募集要項(監査職)」https://www.pwc.com/jp/ja/careers/assurance/campus/recruiting-info/info4.html
- ※9: 太陽有限責任監査法人「定期採用 募集要項」https://www.recruit.gtjapan.or.jp/recruit/requirements/
- ※10: 太陽有限責任監査法人「中途採用(通年採用)募集要項」https://www.recruit.gtjapan.or.jp/career/requirements/
- ※11: 三優監査法人「定期採用 募集要項」https://career.bdo.or.jp/information/entry
- ※12: 三優監査法人「通年採用 募集要項」https://career.bdo.or.jp/information/entry/career
- ※13: 東陽監査法人「定期採用/募集要項」https://www.toyo-career.com/recruitment/
- ※14: 東陽監査法人「中途採用 求人一覧」https://www.career-cloud.asia/mid/entry/job/offer/toyo-career
- ※15: 仰星監査法人「採用情報(東京事務所)」https://www.gyosei-grp.or.jp/recruit/jimusho/tokyo.php
- ※16: 仰星監査法人「キャリア専門家採用」https://www.gyosei-grp.or.jp/recruit/career_recruit/
- ※17: 日本公認会計士協会「公認会計士の仕事内容」https://jicpa.or.jp/cpainfo/introduction/about/work/
- ※18: EY新日本有限責任監査法人「監査トレーニー(中途採用)募集」(2018年6月18日掲載)https://www.shinnihon.or.jp/careers/experienced/2019-audit-trainee.html
