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ホワイトな監査法人はどこがいい?就職先を選ぶポイントを徹底解説

ホワイトな監査法人はどこがいい?就職先を選ぶポイントを徹底解説

「ホワイトな監査法人に就職したい」「公認会計士としてのスキルを習得しながらワークライフバランスも重視したい」と考えている方は多いです。

今回の記事では、会計士試験を突破したばかりの就活生に向けて、以下の内容を解説します。

  • 業種別のワークライフバランスの状況
  • 監査法人に就職するメリット・デメリット
  • ホワイトな監査法人を選ぶために押さえておくべきポイント
  • ワークライフバランスの定義を明確にすることが重要である理由
  • 監査法人別の満足度ランキング

入所後のギャップによる早期退職のリスクを減らして、公認会計士として順調にキャリアアップしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

業種別のワークライフバランス状況

国が主体となって働き方改革や長時間労働の是正を推進していますが、公認会計士のワークライフバランスはどのような状況なのか気になる方も少なくありません。

ここでは公認会計士のワークライフバランス状況を法人別に解説します。

事業会社

コンプライアンス意識が高い大手企業の経理・財務部であれば、ワークライフバランスがしっかりしている可能性が高いです。結婚・出産後の復帰がしやすい環境が整備されている他、家庭と両立できるように配慮してくれる場合もあるため、女性でも働きやすいといえます。

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ワークライフバランスが整っているかどうかは事業会社によって違い、必ずしもホワイトな職場とは限りません。

コンサルティング会社

労働時間や忙しさという観点で見ると、業務負荷が高い傾向があります。女性が職場復帰できる制度を用意しているところも増加しているものの、実績としてはあまり聞かないのが現状です。

一方で、コンサルティング経験は30代以降のキャリア選択の幅を広げる大きな武器となります。

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将来を見据えてコンサルティング会社への就職を希望している場合は、早期退職にならないようにワークライフバランスを意識しつつ、絶対に譲れない条件を定義したうえで、就職先を選ぶことが大切です。

監査法人

繁忙期が多忙な点は変わりませんが、閑散期・通常期のワークライフバランスは以前と比べると随分改善されているのが現状です。ただ、繁忙期が忙しすぎて無理という方が多い他、スタッフ層の業務負担が軽減された反面、マネージャー層の負担が増して残業が増加傾向にあります。

そのため、ワークライフバランスを重視するのであれば、しっかりと監査法人選びをする必要があります。

具体的には、福利厚生が充実しているかの視点でも検討してみましょう。理由として、福利厚生が整っている職場は従業員の健康と働き方とのバランスを保ちつつ、仕事の質を高め、キャリア形成を支援する体制が整っているところが多いからです。

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ワークライフバランスばかりを追求すると、スキルアップやキャリア形成の機会が限られる場合があります。監査法人では、実務経験を積むことで専門的スキルが身につき、より多くのキャリアパスが開けるケースが少なくありません。
したがって、監査法人選びでは、ワークライフバランスと福利厚生のバランスを考慮し、自分のキャリア目標や生活スタイルに合った職場を選ぶことが大切です。

監査法人の種類

監査法人の種類は次の3つです。

  • 大手監査法人
  • 準大手監査法人
  • 中小監査法人

ここでは監査法人の種類について解説していきます。

大手監査法人

大手監査法人とは、「有限責任監査法人トーマツ」「有限責任あずさ監査法人」「EY新日本監査法人」「PwC Japan有限責任監査法人」の総称です。

大手監査法人は次のように定義されています。

上場会社を概ね 100 社以上監査し、かつ常勤の監査実施者が 1,000 名以上の監査法人 

引用:公認会計士・監査審査会-公認会計士・監査審査会検査の実効性の向上

公認会計士試験に合格した過半数は、大手監査法人に就職しています。

準大手監査法人

準大手監査法人の定義は次のとおりです。

 大規模な監査法人に準ずる規模の監査法人(準大手監査法人) 

引用:公認会計士・監査審査会-公認会計士・監査審査会検査の実効性の向上

監査法人以外で、多数の上場企業と取引をしていることから、近年国内で知名度を上げています。

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三優監査法人はこの準大手監査法人に分類されています。

中小監査法人

中小監査法人の定義は次のとおりです。

大手監査法人及び準大手監査法人以外の監査法人並びに共同事務所及び個人事務所

引用:公認会計士・監査審査会-公認会計士・監査審査会検査の実効性の向上

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中小監査法人は200社以上あるといわれていますが、その中でも売上高が大きく、有名な法人としては「アーク有限責任監査法人」「ひびき監査法人」が挙げられます。

ホワイトな監査法人を見つけるための重要ポイント

監査法人への就職を考える際、ワークライフバランスを重視する方が増えています。その中で、「ホワイトな監査法人」を見つけることは、長期的なキャリア形成において非常に重要です。

ここでは、ホワイトな監査法人の特徴や、実際に労働環境が改善された法人の例、そしてワークライフバランスを実現するための監査法人の選び方について詳しく解説します。

ホワイトな監査法人の特徴

ホワイトな監査法人にはいくつかの共通した特徴があります。まず、労働時間の管理が徹底されている点が挙げられます。ホワイトな監査法人では、繁忙期であっても労働時間の上限が設定され、オーバーワークを防止する取り組みが行われています。また、フレックスタイム制度やリモートワークの導入が進んでいる法人も増えており、社員が自分のペースで働ける環境が整えられています。

次に、福利厚生が充実していることも重要です。ホワイトな監査法人は、社員の健康管理や家庭生活の充実を支援するため、健康診断やメンタルヘルスサポート、育児支援などの福利厚生を手厚くしています。さらに、社員がキャリアアップを図りやすい制度も整っており、専門スキルの習得や資格取得を支援する研修制度が充実している点も特徴です。

労働環境が改善された監査法人の実例

近年、労働環境の改善に積極的に取り組んでいる監査法人が増えています。その中でも、大手監査法人の1つであるEY新日本有限責任監査法人は、その取り組みが注目されています。EY新日本有限責任監査法人は、社員のワークライフバランスを考慮し、働き方改革を推進してきました。具体的には、長時間労働を抑制するためのシステム導入や、柔軟な勤務形態の採用が行われています。また、繁忙期後のリフレッシュ休暇制度を設けることで、社員の心身のリフレッシュを図り、業務効率を向上させる取り組みも行っています。

他の例としては、準大手監査法人の1つである太陽有限責任監査法人が挙げられます。太陽有限責任監査法は、若手社員のキャリア形成をサポートするため、研修制度の充実やメンター制度の導入を行っており、社員が安心してキャリアを積むことができる環境を整えています。また、全社的にコミュニケーションを重視し、定期的な意見交換会を開催することで、社員の声を反映した働きやすい職場作りを進めています。

ワークライフバランスを実現するための監査法人の選び方

ワークライフバランスを実現するためには、自分に合った監査法人を選ぶことが不可欠です。そのためには、求人情報や公式サイトだけではなく、現場の声や評判をしっかりと確認することが重要です。具体的には、転職エージェントや口コミサイトを活用し、社員の満足度や実際の労働環境についての情報を収集しましょう。また、面接の際には、勤務時間や残業の実態、福利厚生の利用状況などを具体的に質問し、自分の求める条件に合っているかを確認することが大切です。

さらに、監査法人ごとの特色を理解することも重要です。例えば、国際的な案件に携わりたい場合は、大手監査法人が適しているかもしれませんが、ワークライフバランスを優先したい場合は、準大手や中小監査法人を検討するのも一つの方法です。最後に、自分が目指すキャリアパスと照らし合わせて、無理なく長く働ける環境を提供してくれる監査法人を選ぶことが、ワークライフバランスを実現するための鍵となります。

このように、ホワイトな監査法人を見つけるためには、特徴や実例を参考にしながら、慎重に選択を進めることが重要です。

監査法人に就職する3つのメリット

監査法人に就職するとどのようなメリットが得られるのか知りたいという方も多いと思います。

ここでは、監査法人に就職して得られるメリットについて解説します。

1. 経験・スキルを習得できる

経験・スキルの習得が可能なのが、監査法人に就職する最大のメリットです。自分が所属している企業の会計に詳しい経理担当者は多いですが、他社の会計に詳しい経理担当者はほとんどいません。

監査法人に就職すれば、様々な企業の会計・税務に触れられるため、一般企業では得られない多用な会計・税務スキルを習得できます。

2. 転職しやすくなる

多用な会計スキルを習得すれば、監査や税務、アドバイザーなど、活躍できるフィールドが広がるため、職を自由に選択できます。

そのため、公認会計士として活躍していく中で、転職が複数回に及ぶことは珍しいことではありません。監査法人で得られる経験・スキルは、公認会計士としての武器となるため、転職市場でも高い評価を得やすく、転職しやすいです。

3. 会計士の資格を維持するための制度がある

監査法人では会計士が資格を維持するためのCPE(継続的専門研修)制度に関連する費用を支援するケースが一般的です。

CPE制度とは、公認会計士が資質維持やスキル向上を図るため、必須研修を含む一定の単位履修を求める制度を指します。不足すると履修勧告や会員権停止などの処分が科せられる可能性があるため、監査法人がCPE関連費用を負担してくれるのは大きなメリットです​。

さらに、補習所の通学代や3年目の修了考査の受験費用をはじめ、公認会計士の登録費用や年会費を負担してくれる法人も多く見られます。

上記3つのメリットを考慮しながら、監査法人を選ぶ際はワークライフバランスと経験・スキル習得の機会、キャリアパスの将来性、資格維持制度の充実度などを総合的に判断することが重要です。

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将来のキャリア・年収にこだわっていきたいのであれば、監査法人への就職は良い選択だといえます。

監査法人に就職する2つのデメリット

監査法人に就職して得られるのはメリットだけではありません。

ここでは、監査法人に就職した際のデメリットについて解説します。

1. 繁忙期は休暇が取れない

繁忙期は休暇が取れないというのが、監査法人のデメリットです。日本は3月決算の企業が多いため、監査法人は4月~5月中旬にかけて、繁忙期になるのが一般的です。

繁忙期は平日遅くまで残業、土曜日はもちろん、日曜日も出勤になる場合があるため、有給を取得したり、遊びに出かけたりすることはできません。

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その代わり、8月前後の閑散期には、2~3週間の長期休暇を取るケースが多いです。また、中小監査法人によっては、繁忙期であっても残業時間が少なく、休暇をきちんと取れる法人もあります。

2. 好きな業種を選べない

大手監査法人へ入社すると、人手が足りないチームへ配属されることがほとんどです。そのため、自分が好きな業種や希望する業種のクライアントを選べませんが、面接時に強く希望を伝えることで好きな業種のクライアントを担当できる可能性があります。

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ただし、中小監査法人は大手監査法人と比べると、担当業種や業務内容が幅広いです。売上1兆円を超えるような大企業は担当できない反面、経験値は得やすいといったメリットがあります。

ホワイトな監査法人を選ぶために押さえておくべき5つのポイント

ホワイトな監査法人に就職するために、押さえておくべきポイントは次の5つです。

  • 年収・福利厚生
  • 職場環境
  • 抱えているクライアント
  • 離職率
  • 行政処分の履歴

それぞれ詳しく解説します。

1. 年収・福利厚生

就職に失敗しないためには、監査法人の年収・福利厚生について確認しておくことが大切です。大手監査法人の方が高年収というイメージが強いですが、転職エージェントなどの求人情報を見ると、中小監査法人の年収の方が高いです。

以上の点から、監査法人の規模に惑わされずに、監査法人の年収を確認しておく必要があります。

監査法人は一般企業と比べると、福利厚生が充実していません。ワークライフバランスを重視するホワイトな監査法人であれば、以前よりも改善している可能性がありますが、充実していない場合の方が多いです。

そのため、福利厚生の内容についても確認することをおすすめします。

2. 職場環境

職場環境を確認する際に押さえておくべきポイントは次の2つです。

  • 残業時間
  • 平均年齢

監査法人は激務というイメージがありますが、ワークライフバランスを重視しているホワイトな監査法人は実在しています。そのため、閑散期・繁忙期で平均の残業時間を確認しておくことが大切です。

平均年齢の確認も重要です。例えば、30名ほどの規模で平均年齢が45歳前後の監査法人に新卒で入社するのは、話を合わせにくく、精神的にまいってしまう可能性があります。

そのため、平均年齢が自分の年代と近いかどうかも重要なポイントとなります。

3. 抱えているクライアント

業績の悪いクライアントが多い監査法人の場合、業務負荷が高くなる可能性があります。入所してしまうと、クライアントを自分で選別できません。

また、応募する監査法人のクライアント選定に関する方針を確認しておくと良いでしょう。

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どのようなクライアントを抱えているかどうかはEdinetや、監査法人のパンフレットで確認できます。

4. 離職率

離職率が低いということは、働きやすく人が辞めにくい法人だと判断できます。そのため、離職率はホワイトな監査法人を選ぶためには、欠かせない指標です。

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ただし、離職率は求人票などにはほとんど明記されません。転職エージェントなどから聞き出す必要があるため、確認しにくい可能性があります。

5. 行政処分の履歴

過去に行政処分を受けている監査法人の場合、監査調書がボロボロというケースが少なくありません。また、品質改善の観点から残業が増えていくリスクがあります。

そのため、就職先を探す際は、行政処分の履歴も確認しておくことをおすすめします。

ワークライフバランスの定義を明確にする

自分に合った職場環境で働くためには、ワークライフバランスの定義を明確にすることが大切です。「定時には上がりたい」「残業時間は月20時間程度がよい」というように、ワークライフバランスの定義は人によって異なります。

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自分にとってワークライフバランスとは何かを明確にし、譲れない条件を具体的に定義することで、本当の意味で自分に合った職場に巡り合うことができます。

監査法人別満足度ランキング

順位監査法人満足度
1位PwCあらた有限責任監査法人
(現:PwC Japan有限責任監査法人)
3.98
2位有限責任監査法人トーマツ3.85
3位有限責任あずさ監査法人3.75
4位太陽有限責任監査法人3.70
5位三優監査法人3.49
6位EY新日本有限責任監査法人3.41
7位仰星監査法人3.20
8位ひびき監査法人3.08
9位アーク有限責任監査法人2.96
10位東陽監査法人2.68
※2024年8月時点

参考:openwork

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総合評価の高い法人に共通していることは、風通しの良さと、希望が通りやすく成長できる環境であるかどうかでした。ワークライフバランスの定義は人それぞれですが、監査法人を選ぶ際は1つの例として参考してみてください。

まとめ

最後に、今回の記事の内容をまとめてご紹介します。

  • ホワイトな環境を重視するのであれば、コンサルティング会社や大手監査法人は避けた方が良い傾向にある
  • 監査法人に就職するメリットは「経験・スキルの習得」「転職しやすい」
  • 大手監査法人=高年収・ホワイトな環境というわけではないため、しっかりと年収・職場環境などを確認することが重要
  • 自分にとってワークライフバランスとは何かを明確にすることが、自分に合った職場に巡り合える近道

ワークライフバランスの定義は人それぞれであるため、万人受けする監査法人はありません。自分にとってワークライフバランスは何か、ホワイトな環境は何かを明確にして、自分にとってホワイトな環境だと思える監査法人を見つけることが大切です。