企業の選び方

家賃補助や通勤手当はある?準大手監査法人の福利厚生を徹底比較

監査法人を選ぶ中で、福利厚生の内容が気になっている方も多いと思いますが、大手監査法人以外に関する情報が少なくお困りの方も多いのではないでしょうか。

今回は準大手監査法人にフォーカスし、各監査法人ごとにどんな福利厚生が用意されているか詳しく解説していきます。

記事の内容は以下となります。

  • 福利厚生の種類
  • 監査法人の家賃補助について
  • 準大手監査法人の福利厚生とポイント
  • 公認会計士資格に関する支援制度の内容
  • 福利厚生のチェックポイント

福利厚生は、就職前にしっかり確認しておくべき項目となりますので、ぜひ参考にしてください。

【基本】福利厚生には2種類ある

監査法人の福利厚生を見ていく前に、まずは基本の仕組みについて簡単に整理しておきます。

一般的には「福利厚生」と一言でまとめられていますが、実際は「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類に分かれています。

種類内容
法定福利厚生法律で義務付けされている福利厚生
法定外福利厚生法人独自に設置している福利厚生

法定福利厚生はどの法人でもほぼ同じになるため、法定外福利厚生が注目すべきポイントです。

法定福利厚生

法定福利厚生は法律で義務付けされているため、法人ごとによって差が発生することはほぼありません。

分かりやすくいえば、「社会保険」と呼ばれるものが法定福利厚生に当たり、1名でも従業員を雇用している法人は義務になるため、どこの法人でも適用されると考えてよいでしょう。

具体的には以下6種類の内容が含まれます。

項目内容
健康保険ケガや病気時の負担を軽減する医療保険
厚生年金保険70歳未満の会社員が加入する公的年金制度
介護保険老後に備えて40歳以上は加入が必須
雇用保険失業や休業時の支援・補償制度
労働者災害補償保険業務中のケガや死亡時の支援・補償制度
子ども・子育て拠出金子育て支援に充てられる税金
※子ども・子育て拠出金は全額事業主の負担となり従業員の負担はなし

法定外福利厚生

法定外福利厚生は独自に内容を決められるため、法人の意向や風土によって種類はさまざまです。

名称や内容も企業によって変わるため全て紹介するのは難しいですが、一般企業が設定している代表例を以下にまとめておきます。

項目内容
住宅家賃補助、引越し費用補助、社員寮の提供
財産財形貯蓄、社内預金、持株制度、ストックオプション
働き方短時間勤務、フレックスタイム、テレワーク、ノー残業デーの設置
通勤通勤手当
食事食事手当、食堂、食事券の付与
健康人間ドック受診の補助、メンタルヘルス相談、フィットネスクラブの利用補助
育児法定の定めより長い育児休業、ベビーシッター費用補助、社内保育施設
介護法定の定めより長い介護休業
休暇病気休職制度、リフレッシュ休暇、バースデー休暇
自己啓発自己啓発プログラム、資格取得支援、自己啓発に関する休暇
慶弔・お見舞い各種お祝い金や香典、お見舞金
余暇活動保養施設利用、クラブ活動、レクリエーション活動、社員旅行

最近は多くの企業が従業員の離職を防ぐ策として、法定外福利厚生を多数用意している傾向がありますが、監査法人においては他業界よりも少ないケースが多いといえます。

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後ほど、準大手監査法人の福利厚生の内容については詳しく解説していきます。

監査法人は基本的に家賃補助はない

福利厚生の中でも、日々の生活に直接関係する家賃補助の有無が気になる方も多いのではないでしょうか。

結論、家賃補助を福利厚生として設置している監査法人は基本的にはありません。
大手監査法人の募集要項を見ても家賃補助を記載している法人はない状態です。

ただし、中小監査法人など全体で見ていくと家賃補助を設置しているケースもあるようですので、細かいチェックが必要でしょう。

「監査法人に就職して1人暮らしはできるの?」と不安を抱える声もありますが、そもそも給与水準が一般企業よりも高いため、家賃補助が無くても都心の1人暮らしは可能です。

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ちなみに、よく「監査法人は福利厚生が悪い」という声を耳にしますが、家賃補助の有無が悪いイメージにつながっている要因の一つといえます。

関連記事はこちら▽
監査法人の年収はいくら?大手監査法人の年齢・役職別の年収相場を解説

【準大手監査法人別】福利厚生の内容とポイント

では、ここから準大手監査法人に該当する4法人の福利厚生を詳しく見ていきます。

福利厚生の内容は就職先を決める一つの材料になると思いますので、しっかりと比較してみてください。

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※法定外福利厚生の項目だけに絞り、募集要項等の記載事項のみまとめています。

三優監査法人

福利厚生内容
手当・実務補習所への交通費
制度・退職金制度
・企業年金基金加入
・会計士登録支援制度
・出産・育児支援制度
・ワークライフバランス支援制度
・キャリア支援制度
・リモートワーク支援

三優監査法人は、国際的な会計事務所ネットワークのBDO internationalと提携している監査法人です。

各項目の制度には以下の内容を用意しています。

名称項目
会計士登録支援制度・補習所費用負担制度
・補習所通学保証
・受験予備校費用制度(修了考査)
・試験休暇制度
出産・育児支援制度・産前・産後休業
・育児休業
・育児時短勤務
・子の看護休暇
・所定外労働の免除
・母性健康管理のための休暇
・母性健康管理のための通勤緩和
・母性健康管理のための休憩
ワークライフバランス支援制度・有給休暇
・夏季休暇(年間3日)
・リフレッシュ休暇
・介護休暇
キャリア支援制度・複線型勤務制度
・学費補助制度
・マザーケアサービス
・保活支援サービス
・企業主導型保育施設
リモートワーク支援・在宅勤務制度
・自宅IT環境支援制度

一般的な休暇制度のほか、看護休暇・勤務時間調整・母性健康管理のための休暇も設けています。

また、オフィスワークとリモートワークを組み合わせるハイブリッドワークも導入しています。

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福利厚生とは別の観点ですが、三優監査法人は30年を超えるIPOの支援実績があり、入所1年目からIPO支援業務に携われるとしています。

▽詳しい内容はこちら▽
三優監査法人採用ページ

2027年7月1日に予定されている合併について

三優監査法人と仰星監査法人は、「監査法人BDO Japan」の創設に向けて合併することで基本合意しました。合併予定日は2027年7月1日です。

  • 両法人は対等の精神に基づいて合併します。法令上の手続としては、仰星監査法人を存続法人、三優監査法人を消滅法人とする合併方式が想定されています。
  • 合併後の規模は業務収入 約110億円(2026年6月期見込)・人員822人(非常勤を含む)・被監査上場会社192社と公表されています。いまのどちらの法人よりも大きな規模になります。
  • 2027年に入所する人は、2027年7月1日に所属する法人の名称が変わります。初任給や待遇の条件は、各法人がいま公表している募集要項が基準です。

この記事で準大手4法人(太陽・三優・東陽・仰星)として並べているのは、2027年6月30日までの区分です。

出典:三優監査法人「「監査法人BDO Japan」の創設に向けた検討について」(2026年7月27日公表・2026年8月31日確認)

太陽有限責任監査法人

福利厚生内容
制度・子育て支援制度(産休・育休等)
・会計士協会登録費用全額負担
・会計士協会年会費全額負担
・退職金年金制度
・リモートワーク対応
・ワーケーション制度

太陽有限責任監査法人は大手に迫る規模の監査法人ですが、各自が望む働き方を支援する制度や成長できる環境を構築しています。

働き方に関しては、特に「子育て支援制度」「在宅での働き方」の2点に力を入れ、支援制度を充実させています。

福利厚生に合わせて、働きやすい環境作りとして業務効率化への取り組みも実施している形です。

詳しい内容はこちら▽
太陽有限責任監査法人採用ページ

仰星監査法人

福利厚生内容
手当テレワーク手当
制度・公認会計士企業年金基金
・所得補償保険
・出産育成支援制度
・特別休暇
・キャリア支援制度
・報奨金制度
・各種費用負担

仰星監査法人は多様性が活きる仕組みがあり、メンバーの個性を尊重する制度と文化を持っています。

したがって、福利厚生全体を見ると個々に合わせた支援制度や手厚い手当を用意し、働きやすい環境作りに努めているのが分かります。

多様性を受け入れる福利厚生があるように、風土としても距離感の近い関係性が特徴の監査法人です。

詳しい内容はこちら▽
仰星監査法人採用ページ

東陽監査法人

福利厚生内容
制度・休日・休暇制度
・企業型確定拠出年金制度
・各種保養施設等利用制度
・出産・育児・介護支援
・各種資格取得支援制度
・クラブ活動

東陽監査法人では、従業員がより長く働きやすい環境を構築するために、各種休暇制度や出産・育児といったライフイベントによる休暇をしっかりと設けています。
有給消化の取得も70%を超えていて、「休暇を取りやすい」といった実績を残している監査法人です。

他監査法人同様に一般的な福利厚生は網羅しています。

詳しい内容はこちら▽
東陽監査法人採用ページ

もし大手監査法人の福利厚生について詳しく知りたい方はこちら▽
監査法人の福利厚生は少ない?大手監査法人の福利厚生を比較

公認会計士資格に関する支援制度の内容

どこの準大手監査法人を見ても、公認会計士資格に関する支援制度を設けています。
ただし、法人によって支援内容が若干異なるため、具体的にどんな支援を受けられるのか気になっている方も多いと思います。

公認会計士試験論文式試験合格後は、準会員登録や実務補習所の入所に費用が多くかかるため、福利厚生をチェックする中でどの監査法人でどんな支援制度が受けられるかよく確認しておくようにしましょう。

ここでは、公認会計士試験論文式試験合格後に必要となる登録や手続き、費用について詳しく解説しておきます。

準会員登録

公認会計士試験論文式試験合格後は、公認会計士協会の準会員登録をするケースが多いです。
こちらの登録には、入会金と年会費がかかります。

  • 入会金:10,000円
  • 普通会費:1,500円/月(年18,000円)
  • 地域会費:500〜1,000円/月(年6,000円〜12,000円)

登録にかかる最初の費用だけでなく、毎年30,000円以内の年会費が必要です。

参照:準会員入会の手引き

実務補習所の入所

実務補習所の入所は、公認会計士試験論文式試験合格者が公認会計士資格を取得するために必要な実務研修を受ける機関です。
3年間修業年限の間に実務補習所へ通い、必要単位を取得することで修了となります。

入所には「入所料」と「補習料」がかかります。

  • 入所料:15,000円
  • 補習料:255,000円

合計で270,00円が入所費用として必要です。
金額が大きいため、入所費用の支援制度があるかは必ずチェックするようにしましょう。

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尚、補習所への交通費も支援、補習所通学の優先を許可してくれる福利構成があるかも重要なポイントです。

参照:実務補習の手引

修了考査

3年間の実務経験と実務補習所で必修単位を取得した後は、修了考査へ挑むことになります。

修了考査を受けるには受験料がかかります。

  • 修了考査受験料:28,000円

多くの場合、修了考査受験の対策として対策講座や予備校に通う方もいると思います。

修了考査の対策講座や予備校の費用は、一般に10~15万円程度です。
受験費用との総額で20万円程度になることもあります。

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こちらも200,000円前後かかるケースも多く高額な出費になりますが、三優監査法人のように、その費用を一部負担してくれるケースもあります。

公認会計士協会の会員登録

公認会計士に必要な要件を全て満たすと、公認会計士協会の会員登録が可能になります。

公的に「公認会計士」を名乗りたい場合は、協会の会員登録は必須です。

会員登録には以下の費用が必要となります。

  • 登録免許税:60,000円
  • 入会金:30,000円
  • 施設負担金:50,000円
  • 年会費:普通会費6,000円/月(72,000円/年)、地域会費3,500-4,500円/月(42,000〜54,000円/年)

福利厚生の独自性をチェックしておくのが大切

監査法人によって法定外福利厚生の部分に違いがあり、各監査法人の考え方によって独自性が出る部分になります。

監査法人の風土や強みにもつながる部分なので、しっかりと比較しておきましょう。

特に以下2つの点は、福利厚生を比較する中で確認しておくべき重要な要素です。

  • 求める待遇が得られるか
  • キャリアプランが達成できるか

福利厚生の内容によって、入所後の金銭的な部分やキャリアの築き方が変わってしまいます。

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どんな公認会計士として活躍していきたいかを明確にしておき、その水準を満たす福利厚生がある監査法人を選ぶようにしてください。

準大手4法人の福利厚生の特徴を並べて比べる

ここまで紹介した準大手4法人の法定外福利厚生を、特徴が出ている点に絞って並べると次のとおりです(五十音順)。

  • 仰星監査法人:テレワーク手当・所得補償保険・報奨金制度
  • 三優監査法人:実務補習所への交通費・出産・育児支援制度・複線型勤務制度・ハイブリッドワーク
  • 太陽有限責任監査法人:子育て支援制度・会計士協会の登録費用と年会費の全額負担・ワーケーション制度
  • 東陽監査法人:企業型確定拠出年金・保養施設等の利用制度・資格取得支援制度

どの制度を重視するかは、求める待遇とキャリアプランによって変わります。

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制度の内容は改定されることがあるため、気になる法人は採用ページで最新の内容をチェックしてみてください。

準大手4法人の採用ページ(五十音順)は次のとおりです。

福利厚生の比較チェックポイント

複数法人を比べる際は、次の観点を表にして整理すると 情報の抜け漏れがなく、条件交渉にも役立ちます。

  1. 住宅関連:家賃補助の有無・支給上限・適用年数・社宅制度
  2. 資格支援:補習所費用・修了考査講座・試験休暇・年会費負担
  3. 働き方:リモート比率・フレックス可否・時短勤務の適用範囲
  4. 休暇制度:有給取得率・夏季/リフレッシュ休暇・特別休暇
  5. 手当・年金:企業年金・退職金・テレワーク手当・出張日当
  6. 家族支援:育児休業期間・復職支援・ベビーシッター補助

Excelやスプレッドシートで法人ごとに色分けすると、入社後に得られる実質的なメリットと自分のライフプランとのフィット感が一目で把握できます。最終的には給与総額だけでなく「トータルリワード(総合報酬)」で判断するのが賢い選び方です。

まとめ

最後に今回の記事内容をまとめておきます。

  • 福利厚生は法定福利厚生と法定外福利厚生に分かれる
  • 法定外福利厚生に独自性があるためチェックが必須
  • 家賃補助を設定している監査法人は少ない
  • 公認会計士資格に関する支援制度は各監査法人によって違いがある
  • 福利厚生は「求める待遇」と「キャリアプランの実現性」の2点を重要要素として比較していく

監査法人は福利厚生が少ないといわれることも多いですが、資格支援制度や休暇制度など内訳を見ていくとさまざまな施策を各監査法人で用意していることが分かります。

さらに、大手監査法人と福利厚生を比較してみると、準大手監査法人のほうが法定外福利厚生において独自性が高く、制度も多い側面もあるようです。

理想とする公認会計士像に近づける監査法人を選ぶようにしてください。