「準大手監査法人の魅力や強みは?」
「準大手監査法人の採用情報が知りたい」
「求められる人物像やスキルが知りたい」
と就活しながら感じていないでしょうか?
公認会計士試験を突破した後、今後のキャリアプランを明確にした上で、就職先を選ぶ必要があります。最近は、準大手監査法人が業界内のシェアを少しずつ伸ばしている傾向もあり、就職先として注目すべき監査法人です。
今回の記事では準大手監査法人への就職を目指す就活生に向けて、以下の内容をお届けします。
- 準大手監査法人における最新の採用情報
- 業界全体の動向
- 準大手監査法人のトップ3を公開
- 準大手監査法人のキャリアパスと年収
- 求められる人物像
準大手監査法人を視野に入れている方に向けて、有益な情報が詰まっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
公認会計士試験を突破した就活生の採用動向
これまで公認会計士といえば、大手監査法人を就職先に選ぶのが主流でした。しかし、最近はキャリアの選択肢も増えたことで、準大手監査法人も視野に入れる就活生が増えつつあります。
まずは準大手監査法人の採用市場がどうなっているのか、詳しく見ていきましょう。
準大手監査法人の採用市場は活発傾向
結論、準大手監査法人も売り手市場が広がり採用活動を積極的に行なっています。
この流れは大手監査法人と同様に、監査業務の厳格化によって業務工数が増えていることも大きく、準大手監査法人においても人手が必要になっている状況です。ただし、単に「人手が足りないから」だけではなく、準大手監査法人が抱える企業数も増え、安定的な経営を継続していくために、人材を確保しているといえます。
また、業界全体の動向が変化している影響もあり、準大手監査法人の立ち位置がより重要視され、案件数の増加に対応するために採用活動を活発化させている側面もあるでしょう。
監査法人の中でも人気を集めつつある
公認会計士試験を突破した就活生の数多くは、大手監査法人を希望する人が多い状態ですが、徐々に準大手監査法人を最初のステップに選ぶ層も増えつつあります。
準大手監査法人が選ばれる魅力をここで整理しておきます。
- 早い段階で多岐に渡る業務を体験しスキルを磨ける
- 社内におけるキャリアステップを狙いやすい
- クライアント先のキーパーソンを距離が近く人脈を作れる
- ワークライフバランスを考慮した働き方がしやすい
特に、監査法人は激務と呼ばれ、7年以内に50%以上が離職すると言われるほどの業界です。働き方が見直される時代に合わせて、少しでもワークライフバランスが安定しやすい準大手監査法人が支持されるのも納得できます。
準大手監査法人の動向と立ち位置
準大手監査法人を就職先に選ぶメリットがお分かりいただけたと思いますが、業界全体における準大手監査法人の状況も詳しく解説しておきます。
業界全体の動向
監査法人の業界図といえば、大手監査法人(いわゆるBIG4)が大きくシェアを獲得しています。しかし、近年は監査業務の厳格化が進んでいることで、業界内にも変化が見られ、準大手監査法人や中小監査法人の存在感が増しつつある状況です。
例えば、金融庁が発表している監査業界の概観によると、企業も自社の規模感に合わせて、大手監査法人から準大手監査法人に監査人を切り替える上場企業も増えています。
準大手監査法人としても、大手監査法人にはない組織体制や公認会計士の育成を強化し、新卒就活生や中途採用の間口も広くする動きがあり、業界内のシェア拡大を狙っている状態です。
したがって、従来のように「公認会計士試験を突破したらまずは大手監査法人」と考えるのではなく、キャリアプランを明確にしてご自身とマッチする監査法人を選ぶのが必要でしょう。
準大手監査法人の一覧
現在、準大手監査法人に含まれているのは次の5法人です。
三優監査法人
太陽有限責任監査法人
仰星監査法人
東陽監査法人
PwC京都監査法人※(現:PwC Japan有限責任監査法人)
※PwC京都監査法人はPwCあらた有限責任監査法人と合併し、2023年12月1日よりPwC Japan有限責任監査法人として業務を開始しています
各監査法人によって特徴や強み、社風はハッキリと異なります。キャリアや働き方など、公認会計士としてどう働いていきたいのかを明確にしたうえで、自己実現ができる監査法人を選ぶことが大切です。
よって、それぞれの特徴や風土、組織体制を理解しておくと、就職活動を円滑に進められます。
下記の記事で準大手監査法人の特徴と採用情報を詳しく紹介していますので、ご確認ください。
準大手監査法人のトップはどこ?
ここでは準大手監査法人のデータに基づいた位置付けを確認していきます。あくまで一つの指標ではありますが、各監査法人毎の立ち位置を把握する目安になるのでご確認ください。
なお、これからお伝えする情報は、以下資料から作成しております。
※太陽有限責任監査法人:業務及び財産の状況に関する説明書類(2023年6月期)
※PwC京都監査法人(現:PwC Japan有限責任監査法人):業務及び財産の状況に関する説明書類(2023年6月期)
※東陽監査法人:業務及び財産の状況に関する説明書類(2023年6月期)
※仰星監査法人:業務及び財産の状況に関する説明書類(2023年6月期)
※三優監査法人:業務及び財産の状況に関する説明書類(2023年6月期)
準大手監査法人売上ランキング
順位 | 監査法人名 | 売上高(百万円) |
---|---|---|
1位 | 太陽有限責任監査法人 | 16,831(前期比 118.3%) |
2位 | PwC京都監査法人 (現:PwC Japan有限責任監査法人) | 6,990(前期比 103.8%) |
3位 | 東陽監査法人 | 4,801(前期比 103.2%) |
4位 | 仰星監査法人 | 4,536(前期比 109.5%) |
5位 | 三優監査法人 | 4,409(前期比 117.6%) |
準大手監査法人の中でも、太陽有限責任監査法人が断トツの売上高を誇っています。また、今期に関して言えば、太陽有限責任監査法人と三優監査法人が、前期と比べて大きく売上を伸ばしていることがデータからわかります。
ちなみに売上高には、監査業務と非監査業務の両者の数字が混ざっているため、気になった監査法人はどちらの側面に強いのか(注力しているのか)分けたランキングも見てみましょう。
準大手監査法人売上ランキング(監査証明業務)
順位 | 監査法人名 | 売上高(百万円) |
---|---|---|
1位 | 太陽有限責任監査法人 | 16,318(前期比 119.6%) |
2位 | PwC京都監査法人 (現:PwC Japan有限責任監査法人) | 6,370(前期比 105.2%) |
3位 | 東陽監査法人 | 4,728(前期比 103.4%) |
4位 | 仰星監査法人 | 4,252(前期比 109.1%) |
5位 | 三優監査法人 | 3,912(前期比 114.5%) |
準大手監査法人売上ランキング(非監査証明業務)
順位 | 監査法人名 | 売上高(百万円) |
---|---|---|
1位 | PwC京都監査法人 (現:PwC Japan有限責任監査法人) | 621(前期比 91.1%) |
2位 | 太陽有限責任監査法人 | 513(前期比 88.0%) |
3位 | 三優監査法人 | 498(前期比 149.5%) |
4位 | 仰星監査法人 | 284(前期比 115.4%) |
5位 | 東陽監査法人 | 73(前期比 97.3%) |
準大手監査法人売上割合(監査証明業務・非監査証明業務)
監査法人名 | 監査証明業務 | 非監査証明業務 |
---|---|---|
三優監査法人 | 88.7% | 11.3% |
太陽有限責任監査法人 | 97.0% | 3.0% |
東陽監査法人 | 98.5% | 1.5% |
仰星監査法人 | 93.7% | 6.3% |
PwC京都監査法人 (現:PwC Japan有限責任監査法人) | 91.1% | 8.9% |
準大手監査法人では、監査証明業務の割合が高いことがわかります。
監査法人では非監査証明業務を行うことが、人材育成のための多様な業務経験の機会の提供となることや、幅広い経験や知識を得ることが監査品質の向上にも繋がる効果がある観点により、一定程度の非監査証明業務も必要であるとする業務運営も行っています。
監査法人ごとの詳細を確認したい場合は、各監査法人が発行している「業務及び財産の状況に関する説明書類」をご覧ください
準大手監査法人被監査会社数ランキング
順位 | 監査法人名 | 被監査会社等の数 |
---|---|---|
1位 | 太陽有限責任監査法人 | 1,120 |
2位 | PwC京都監査法人 (現:PwC Japan有限責任監査法人) | 329 |
3位 | 仰星監査法人 | 281 |
4位 | 東陽監査法人 | 241 |
5位 | 三優監査法人 | 218 |
クライアント数においても、太陽有限責任監査法人が独走している形です。2位以降はあまり差が見られないため、今後の動き次第ですぐに入れ替えが発生する可能性もあるかもしれません。
以前、大手監査法人が多くのシェアを獲得している状態ではありますが、大手から準大手や中小へ監査人の変更をしている企業も年々見受けられます。
各監査法人がクライアントを増やす絶好のチャンスが到来しているともいえ、順位の変動も含めクライアント数は注目ポイントの一つです。
準大手監査法人満足度ランキング
順位 | 監査法人名 | 満足度 |
---|---|---|
1位 | 太陽有限責任監査法人 | 3.70 |
2位 | 三優監査法人 | 3.49 |
3位 | 仰星監査法人 | 3.20 |
4位 | 東陽監査法人 | 2.68 |
※2024年8月時点
※PwC京都監査法人は、現在、PwCあらた有限責任監査法人と合併し、PwC Japan有限責任監査法人となっているため対象外としています。
今回使用したデータは、企業口コミサイトopenworkを使用しています。
単に待遇だけではなく、成長できる環境があるのか、風通しの良さがあるかなど、規模感や知名度だけでは計れない点に大きく左右されます。
最近は「大手監査法人に入っておけば良い」と考える就活生だけでなく、監査法人の経験を生かし、将来的に事業会社やコンサルティング会社への転職、独立を視野に入れている方も多く見受けられます。
早い段階で多方面の業務を経験できる組織体制、キャリアステップなど社風や風土にも着目しておきましょう。
大手監査法人も含めた監査法人のランキングについて、詳しくまとめた記事がありますので、こちらもご覧ください。
準大手監査法人が求めている採用ニーズや人物像とは?
公認会計士試験を突破した就活生に対して、準大手監査法人側はどんな人物像を求めているのでしょうか。
お互いのミスマッチが起きないためにも、採用に関するニーズを確認しておきます。
監査法人側が求める人物像
準大手監査法人は、大手監査法人のような大規模チームによる監査業務の分業制ではありません。むしろ、監査業務全体を少数精鋭チームで進めていく形であり、多方面の業務を同時に遂行していく必要があります。
したがって、フットワークの軽さだけでなく、向上心や成長意欲、対話能力、やり抜く力が準大手監査法人においてより重要な要素です。
さらに、大手監査法人や中小監査法人の良い点を併せ持った監査法人である点も踏まえれば、次のような人物像が浮かび上がります。
- 向上心と成長意欲がある
- コミュニケーション能力が優れている
- 責任感が強くプレッシャーにも耐性がある
- キャリアの明確なプランがある
監査法人が求める人物像とご自身の価値観や人柄とリンクする点があれば、積極的にアピールしていくべきでしょう。
準大手監査法人の採用を勝ち取るためのスキルや能力
売り手市場であるとはいえ、公認会計士試験という難関を突破した就活生と競い合うことになります。前提として、業界未経験とはいえ、会計知識と業務の正確性は必須です。監査は企業の膨大な資料を細かくチェックし、不備のない正確な書類作成をサポートしていく必要があります。
会計知識に加えて、ミスなくチェックしていく正確性の高さは、あって当然のスキルとも言えるので、別視点のスキルや能力をアピールするようにしてください。
準大手採用監査法人の採用を少しでも高めるスキルや能力は、次の通りです。
- 業務の効率性や生産性を高める処理能力
- ITリテラシー
- プレゼン能力
- 交渉力
- 企画力
準大手監査法人では、一人で複数社の監査業務を同時に遂行するケースも多く、期日内に業務を完了できる処理能力が欠かせません。
さらに、クライアントの経営陣とコミュニケーションが必要になる場面が考えられるので、交渉力やプレゼン能力がある人物は求められます。また、大手監査法人と違い、監査業務だけを担当するのではなく、コンサル業務を兼務する可能性もあり、対話能力は特に強みとなるはずです。
準大手監査法人の特徴や魅力
最後に、準大手監査法人だけが持っている特徴や魅力について整理しておきます。
あなたが目指す公認会計士像とすり合わせながら、自己実現ができる環境なのか確認しておきましょう。
準大手監査法人から描けるキャリアパス
準大手監査法人は、大手監査法人のようなピラミッド型組織ではなく、多くの公認会計士がキャリアアップしていける組織体制があります。優秀な人だけが残れば良い風土ではなく、全員で底上げしていくような教育・研修に力を入れている監査法人が多い傾向です。
したがって、入社してから経験できる業務が多く、同時にスキルを磨けるため、キャリアの道筋は多様といえます。
社内でキャリアアップを目指すのであれば、マネージャーやパートナーといった役職を狙うのは可能です。また、大手監査法人や中小監査法人へ転職してキャリアアップするのも十分に狙えるプランになります。
他にも監査法人での経験を生かした別キャリアへ進むのも可能です。
例えば、監査業務に加えてアドバイザリーの経験を積んでいき、会計事務所の開業も視野に入れることもできます。クライアントと距離が近いことで人脈を広げ、事業会社の経営企画・経理・CFOといったステップも可能です。
他にも会計コンサルティングファームや金融機関の重役なども視野に入ってきます。
準大手監査法人の初任給・年収・ボーナス
準大手監査法人の収入は、ボーナスまで含めて年収を計算すると大手監査法人より低くなる傾向です。ただし、初任給だけにフォーカスして見れば、大手監査法人と大きな差はない状態となっています。
具体的な数値は次の通りです。
- 準大手監査法人の平均年収は700万前後
- 準大手監査法人の初年度平均年収は550万前後
- 初任給は32万円前後が多く大手監査法人と大きな差はなし
平均年収で見ていけば、大手監査法人を下回るデータではあります。しかし、役職も狙える準大手監査法人でキャリアアップしていけば、高水準の年収を目指すのは十分に可能です。
まとめ:キャリアプランを明確にして監査法人を選ぼう
最後に、今回の記事の内容をまとめてご紹介します。
- 準大手監査法人の市場は活発である
- 準大手監査法人のシェアが拡大すると同時に、就活生からも注目されている
- 採用を勝ち取るためにも、求められる人物像を理解しておくことが重要
- 各監査法人のキャリアパスと自分のキャリアプランを照らし合わせて監査法人を選ぶべき
公認会計士試験を突破した就活生は、大手監査法人を希望する傾向が強かったですが、業界の動向や環境の変化もあり、準大手監査法人を就職先として視野に入れる方も増えています。
将来のキャリアプランを明確にして、自分にフィットする監査法人を選ぶようにしましょう。