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公認会計士のキャリアパスやプランを大公開!監査法人以外のキャリアもある?必要な資格やスキルも徹底解説

公認会計士のキャリアパスやプランを大公開!監査法人以外のキャリアもある?必要な資格やスキルも徹底解説

「公認会計士のキャリアマップが知りたい」「公認会計士のキャリアにゴールはある?」など、公認会計士のキャリアについて情報をお探しではないでしょうか。

公認会計士試験突破後のキャリアは、監査法人からスタートをするのが王道ルートです。
ただし、監査法人内でキャリアを積むだけでなく、多方面の分野においてキャリアプランを描ける魅力もあります。
したがって、スタートの時点から将来的に歩んでいきたいキャリアを明確にしておけば、それまでの過程でどんな知識やスキルを磨いていけばいいか把握しておくことが可能です。

監査法人においても、大手監査法人と準大手監査法人・中小監査法人では習得しやすい知識やスキルに違いがあります。
キャリアプランが明確になっていれば、監査法人を選ぶときの判断材料にもなるはずです。

今回の記事では、公認会計士のキャリアパスやプランを大公開します。
合わせて、キャリアを広げるために必要な資格やスキルも具体的に解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

公認会計士が選べるキャリアパスとは

公認会計士試験を合格した後は、多くの方が監査法人(特に大手監査法人)へ就職するのが一般的な流れです。
しかし、監査法人を取り巻く環境の変化により、準大手監査法人や中小監査法人の注目度も上がっています。

と同時に、公認会計士の資格はさまざまな職種や分野で汎用性が高く、希少性も高いため、活躍できる場が多くなっているのも事実です。

まずは公認会計士のキャリア全般について解説していきます。

公認会計士が選択できるキャリアプランは多い

公認会計士の多くは監査法人からスタートを切り、監査に関わる業務をメインに経験値や知識、スキルを磨いていきます。

そのスキルや知識をベースに、監査法人内でキャリアを積む方もいれば、税理士法人やコンサルティング会社など公認会計士の資格が活かせるフィールドへ転向する方もいます。

公認会計士試験の難易度は非常に高く、公認会計士自体の数がさほど多くないため、希少性の高い資格です
さらに、監査以外にも必要とされる分野が多いことも、キャリアの選択肢は無数に存在するのも公認会計士の魅力の一つです。

公認会計士が選択できるキャリアプランは8つの領域があると考えられますが、具体的には後ほど紹介していきます。

詳しくは「公認会計士が狙えるキャリアマップを公開」 をご覧ください。

公認会計士のキャリアにゴールはある?

公認会計士のゴールは、監査法人にて「パートナー」まで昇格することがゴールと考える方もいますが、必ずしも正解とは限りません。

たしかに、監査法人という枠で考えれば、「パートナー」はトップに位置するポジションといえますが、キャリアの選択肢が多いだけに各個人が描く未来像によってゴールは大きく変わるはずです。

結局は、目指す領域に向かってどのようなルート・プロセスを踏み、経歴を積み重ねていくかが全ての鍵を握っているでしょう。
さらに、その最初の第一歩目となる監査法人においても、大手監査法人と準大手監査法人でも学べる領域も変わってくるため、キャリアプランによってどの監査法人を選ぶかも重要な要素です。

公認会計士としてのキャリアやゴールを明確にしておくためにも、ここからは具体的なキャリアの内容について見ていきます。

会計キャリアナビ
こちらの「監査法人おすすめ10選と選び方のポイント」でおすすめの監査法人と各特徴を解説しています。

公認会計士としてのキャリア形成における初期の選択肢

公認会計士としてキャリアを積む際、最初の「どのフィールドで経験を積むか」という選択は、今後のキャリアの方向性を決定づける重要なポイントです。監査法人や中小の監査法人、事業会社での経験はそれぞれ異なる強みをもたらし、将来のキャリア形成に独自の影響を与えます。

この章では、監査法人でのスタート、中小監査法人での幅広い経験の利点、そして事業会社での実務経験がキャリアにもたらす価値を具体的に解説します。

監査法人でのキャリアスタートの利点

多くの公認会計士にとって、監査法人でのキャリアスタートは非常にポピュラーな選択肢です。

監査法人では、企業の財務情報を精査し、監査報告を作成するという公認会計士の基礎業務を徹底的に学べる環境が整っています。特に大手監査法人であれば、豊富なリソースや高度な研修制度が完備されており、体系的に知識とスキルを身につけることが可能です。また、大手企業や上場企業の監査を担当する機会が多く、難易度の高い実務に携わりながら、高度な監査スキルを早期に習得できる点も大きな魅力です。

将来的にリーダーシップを発揮したいと考える方にとって、監査法人での経験はかけがえのない資産となるでしょう。

中小監査法人での幅広い経験の魅力

一方で、中小監査法人でのキャリアスタートは、幅広いスキルを磨きたい公認会計士にとって、非常に有益な選択肢です。

中小監査法人では、監査業務にとどまらず、アドバイザリー業務や税務関連の業務にも携わることができ、業務の幅が大きく広がります。大手監査法人では分業体制が整っているため、特定の分野に特化するケースが多いですが、中小監査法人では少人数でさまざまな業務を担当することが一般的です。そのため、若い年次から多様な業務に関与し、裁量権を持って取り組む機会が多いのが特徴です。

将来的に独立や他分野でのキャリアを考えている方にとって、中小監査法人での実務経験は貴重なキャリア基盤となるでしょう。

事業会社での実務経験が将来に与える影響

監査法人以外の道として、事業会社での実務経験を積むキャリアも増えてきています。

事業会社の経理や財務部門で公認会計士として働くことで、ビジネスの現場に密接に関わり、企業の経営や戦略を財務的な視点からサポートする役割を担います。CFOなどの役員ポジションを目指す方にとっては、事業会社での経験がキャリアにとって重要な価値をもたらします。監査法人での経験が主に財務データの精査や法令遵守に集中するのに対し、事業会社では経営判断にも関わる機会が多く、企業の成長やビジョンに深くコミットできる点が特徴です。

特に経営層としてのキャリアアップを志向する方にとって、事業会社での実務経験はキャリア形成に欠かせないものとなるでしょう。

基本となる監査法人内でのキャリアパスとは

監査法人内でのキャリアパスは、スタッフからスタートし、最終段階のパートナーまで含めて5つの職階があります。

監査法人で働く限りは、多くの方が昇格を狙ってキャリアを積んでいきますが、誰しも順調に昇格できるわけではなく、基本的には「経験年数+評価」によって選ばれる形です。(以下のシニアは公認会計士登録が基準になるケースが多い)

具体的な職階は以下の通りで、下にいくほど難易度が高くなります。

職階(大手監査法人の場合)年収相特徴
スタッフ500万円〜700万円・未経験者はスタッフからスタートする
・多くの場合、入社から3年程度はスタッフに位置する
・個別業務や資料などクライアントとのやりとりがメイン
・3年目前後では人によって主査を担当するケースもある
シニア700万円〜900万円・入社から4年〜8年目程度に位置する
・専門性の高い業務、主査や現場主任の役割になる
・昇格には公認会計士登録できるかが基準になっているケースが多い
・評価が高ければ海外常駐も視野に入る
マネージャー1,000万円前後・入社から8年〜10年目に位置する
・調書チェックやチームの管理など管理業務がメイン(管理職)
・マネージャーに昇格できるのは10人に1人程度のイメージとなる
シニアマネージャー1,200万円前後・入社から10年目に位置する
・管理業務に加え、新規顧客獲得など重要な業務が増える
・マネージャーよりも管理業務は増える
・マネージャー昇格の時よりもハードルは下がる
パートナー1,500万円前後以上・監査法人内のトップに位置する職階
・法人全体に関わる運営業務や監査業務全体のチェック・承認を行う
・非常に狭き門となり、昇格できるのは一握りのみ
・中小監査法人よりも4大監査法人のほうが圧倒的に昇格の難易度が上がる

ある程度の経験年数は必須になるため、監査法人でキャリアを積んでいく場合は、時間をかけながら実績を残して評価を獲得していく必要があります。

同時に職階で給与ベースが決まるため、年収を上げるには昇格していくしか基本的には方法がありません
昇格すれば年収も大幅に違いが出るので、モチベーション維持の材料になるでしょう。

監査法人に身を置き続けるのであれば、パートナーをゴールに設定する方は多いと思います。
ただし、同じ公認会計士同士で数少ない椅子を取りにいくことになるので、簡単な話ではありません。

実際に、マネージャーまで昇格したものの滞留しているケースや同じ職階で10年以上勤務しているケースもあるため、難易度は高いキャリアパスと覚えておきましょう。

大手監査法人よりも準大手監査法人や中小監査法人は規模が小さくなった分、少しでも昇格しやすい環境になるといえます。
したがって、監査法人内で転職をしながら職階を上げる・キャリアを積んでいくプランを考えることも可能です。

ちなみに、監査法人で昇格しキャリアを積んでいくために必要な要素は、以下が考えれます。

  • より高度な専門知識の習得
  • 高い倫理観を持って対峙できる姿勢
  • 最新の情報を入手し続けられるインプット力
  • 相手に伝わるアウトプット力
  • クライアントやチーム内におけるコミュニケーション力
  • チームの統率力やホスピタリティ精神
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これらの要素をどれだけ高く持てるかが重要になるので、あなたの素養と照らし合わせてキャリアを考えていく必要があります。

公認会計士がキャリアアップを目指すためのステップ

公認会計士としてキャリアを積む上で、さらなるキャリアアップを実現するには戦略的に経験やスキルを積み上げていくことが必要不可欠です。

以下では、実務経験と専門スキルの積み重ね、アドバイザリーやIPO支援業務の経験、リーダーシップスキルの育成という3つのポイントについて解説します。これらのポイントを理解し、効果的に実行することがキャリアの大きな成長につながります。

必要な実務経験と専門スキルの積み重ね

キャリアアップを目指すには、まず基礎となる監査業務や経理財務の実務経験を積み、専門的なスキルを確実に習得していくことが不可欠です。

監査法人や事業会社での実務経験を通じて、財務諸表の精査、リスク評価、コンプライアンス対応などのスキルを実践的に磨きましょう。また、キャリアの早い段階でさまざまな業務に積極的に挑戦し、柔軟な対応力と多角的な視野を養うことも非常に重要です。

専門スキルの幅を広げておくことで、将来的なキャリアの選択肢が大きく広がり、他分野での転職や独立にもつながるでしょう。

アドバイザリー業務やIPO支援業務での経験

公認会計士としてキャリアアップを図る上で、アドバイザリー業務やIPO支援業務の経験は非常に価値のあるステップです。

IPO支援業務では、上場準備段階において内部統制の整備や財務報告の透明性確保といった、通常の監査業務とは異なる高度な知識と実務力が必要とされます。これらの経験を積むことで、企業の成長を支援し、クライアント企業からの信頼を得ることができるでしょう。さらに、IPO支援の経験はCFOや経営アドバイザーとしてのキャリアアップにもつながりやすく、市場で高く評価されるスキルとなります。

キャリアアップを目指すなら、監査だけでなく、こうした特別な業務での実務経験も積極的に狙っていくことが推奨されます。

経営者目線でのリーダーシップスキルの育成

公認会計士としてキャリアアップを目指すためには、専門的なスキルに加えて、経営者目線でのリーダーシップスキルの習得も重要です。特に、マネージャーやシニアマネージャー以上のポジションを目指す場合には、部下やチームをまとめる能力や意思決定力が求められます。

経営者の視点で財務状況を評価し、企業価値を最大化するための戦略を考える力があるかどうかが、CFOや経営幹部への道を切り開くための鍵です。リーダーシップスキルは、単に業務を管理するだけでなく、チームメンバーにモチベーションを与え、組織全体の目標達成に向けて共に進む姿勢が求められます。

公認会計士が狙えるキャリアマップを公開

公認会計士が活躍できる領域は7つに分かれます。

ここではそれぞれの特徴を紹介し、キャリアマップを公開しますので、あなたに適したキャリアを見つける材料にしてください。

監査法人(大手・準大手・中小)

公認会計士試験突破後に多くの方で進むであろう監査法人は、大手監査法人・準大手監査法人・中小監査法人の3つに分類されます。
最も公認会計士資格をダイレクトに活かせる分野になるので、キャリアを積んでいくには最適な領域です。

大手監査法人は、大手企業の監査を担当したい方など規模の大きい業務を遂行したい方に向いています。
また、チーム制で分業スタイルになるため、一つの分野において専門性を磨きたい方にもおすすめです。

一方で準大手監査法人や中小監査法人は、クライアントの規模がある程度小さくなりますが、監査以外の業務(アドバイザリ業務など)を担当できるメリットがあります。
したがって、知識や経験できる領域の幅が広がる点やマルチタスクといったスキルも習得できるので、監査法人で経験を積んだ後にキャリアの選択肢が広がりやすいかもしれません。

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例えば「BDO三優監査法人」では、入社1年目からIPO準備に携われるなど、大手監査法人よりも早いスピードで業務経験を積むことができます。また、若い年次のうちにさまざま規模感の企業に触れることができ、知見を広げながら経験値を積める環境があると注目を集めています。

事業会社(組織内会計士)

事業会社の組織に属して、経理や財務部門において会社の数字関係を管理するポジションでキャリアを積んでいきます。

具体的には以下の業務に触れていくことになります。

  • 経理関連
  • 財務業務
  • 経営企画
  • 内部監査
  • 経営陣との数字面の調整

事業会社は国内でも相当数あり、公認会計士の需要は常にあるため、十分にキャリアを積んでいける環境です。
監査法人では経験できない「ビジネスの理解や経営について」「経営企画やM&Aの実務」など多岐にわたる業務を体験できるのが魅力といえます。

事業会社という組織に属するため、企業が扱う業種や商材に関わることになり、内容がご自身の興味関心とマッチしているかが長期でキャリアを積んでいけるかのポイントです。

また、事業会社が大手の上場企業であれば、役員クラスまでステップアップするのは非常にハードルが高くなります。

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複数社で経験を積み、転職をしながらキャリアアップしていくケースが多いでしょう。

税務(会計事務所・税理士法人)

公認会計士であれば、会計事務所や税理士法人は活躍できる領域です。
具体的には公認会計士試験を突破し、財務省令で定める税法に関する研修を修了していれば税理士登録も可能になっています。

主に税務関係の業務を遂行することになり、以下のような業務に携わります。

  • 決算業務・記帳代行
  • 税務申告・税務調査対応
  • 巡回監査
  • 経営コンサルティング(税務関連が中心)

監査業務とは別の分野にはなるものの、公認会計士が持つ知識やスキルを活かせる分野であり、監査法人で経験を積んだ後に転身する方も多い職種です。

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会計事務所の立ち上げなど独立を視野に入れているのであれば、税務の領域を学んでおく必要性はあるため、設定したゴールに向かう一つのステップとして選ぶ方が多いのも特徴といえます。

コンサルティングファーム(FAS)

コンサルティングファームは、会計監査の知識やスキルを活かせる場面が多いため、監査法人からの転身先として人気の高い領域です。

コンサルティングファームにも種類があり、特に力を発揮しやすいのが財務・会計系コンサルティングファーム(FAS)となります。
財務デューデリジェンスや企業価値評価など、監査法人で磨いたスキルがそのまま使える業務も多数存在するのが特徴です。

また、監査業務だけでなく企業全体の方向性やM&Aに関する業務など、広い範囲のアドバイスを求められることになるので、さまざまな分野の専門知識を習得できます。
税務と同様に、独立を考えているのであれば、将来を見据えて一つのステップとしてキャリアを積んでいくのもおすすめです。

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コンサルティングファームは激務と呼ばれることも多く、体調面も考慮すると長期に渡ってキャリアを積む環境には向いていないかもしれません。実際に、一定の年齢までコンサルティングファームでスキルを磨き、監査法人に戻るケースもあります。

ベンチャー企業のCFO

公認会計士はある程度の経験値とスキルがあれば、ベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)として迎えられるケースがあります。

主な業務は以下が想定されます。

  • 資金調達
  • 財務に関する戦略の考案・実行・管理
  • 内部統制
  • 財務に関わる外部との交渉や調整
  • 決算の対応・管理・監査

企業が成長していくための鍵となる財務面を管理するポジションとして、重要な業務に携わります。
ベンチャー企業になるため、ある程度の業務量を一人で抱えることにはなりますが、法務や税務、経営など他の領域では体験できない経験を積めるため、やりがいも大きいポジションです。

また、大きな裁量権を持てるポジションでもあり、成果を残せれば高い報酬を狙えるのも魅力でしょう。

金融関係

公認会計士であれば、PEファンドや投資銀行といった金融の領域も視野に入ります。
PEファンドや投資銀行に関しても、財務諸表を読み取り分析できるスキルが必要になり、公認会計士の能力が活かせる分野です。

ただし、これまでの監査に関わる知識やスキル以外にも、投資判断・経営判断・提案力など必要になり、たくさんのインプットを求められます。
年収が高く魅力のある領域ですが、強いバイタリティが求められるので、人によっては不向きです。

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証券会社で活躍してきた人材がライバルにもなるため、競争が激しい環境になるのは覚悟しておきましょう。

独立

将来的には会計事務所を立ち上げたいと考える方は多く、独立というキャリアプランを描くこともできます。
ただし、監査法人で数年働いてすぐに独立するのは難しいケースが多く、最終的なキャリアパスに設定するのが最もスムーズなプランです。

会計事務所で独立する場合は、監査だけでなく、税務、法務、コンサル等さまざま業務が必要になるため、複数の領域に身を置いて知識やスキルを磨くなど、戦略的にキャリアパスを描く必要があります。

多くの場合は、「監査法人→会計事務所や税理士法人」のステップを踏んでから独立するケースが多いといえます。

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ちなみに監査法人を立ち上げるには、公認会計士が5人以上必要など最初からハードルが高く、会計事務所を立ち上げるよりも難易度は高くになります。

公認会計士のキャリアプランを選ぶ上で注意するポイント

キャリアプランを選ぶ上で、3つ注意すべきポイントがあります。

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キャリアプランをどう決めるかで、全ての方向性が変わってくるため、ポイントを押さえて将来を描いてみてください。

目作のキャリアだけでなく長い目でキャリアプランを考える

「公認会計士試験を突破した後は、大手監査法人に就職すれば安心」といった考えもありますが、一般的な流れに身を任せるのではなく、公認会計士としてどんなキャリアを歩んでいきたいのかを考えて就職先を決めるのが重要です。

なぜなら、目指すキャリアプランによって優先すべき知識やスキルが変わってくるため、目先のキャリアだけに捉われて進んでしまった場合にゴールから遠ざかってしまうケースもあります。

例えば、キャリアプランとして独立を目指すのであれば、最初のステップにおいても大手監査法人ではなく、準大手監査法人や中小監査法人を選んで経験を積んだほうが幅広い業務に携われるので、メリットが大きいでしょう。

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キャリアプランのゴールから逆算し、段階毎にどの領域で経験を積むのがベストなのか考え、ゴールまでのステップを計画しておくのがベストです。

働き方(ワークライフバランス)も比較する

監査法人は「忙しい」「激務」など多忙な職種として知られていますが、働き方改革の流れもあり、取り巻く環境も変わっています。
とはいえ、決算時期など繁忙期になれば業務に追われストレスの高い時間が続くなど、職種上やむを得ない状況も想定されます。

したがって、公認会計士としてどんなワークライフバランスを送りたいかを明確にしておく必要があるでしょう。

  • 業務内容や業務量
  • 残業時間
  • 休日の取得状況
  • 福利厚生

上記のような各項目で自分なりの基準を明確しておき、その基準を達成できるキャリアプランを選ぶようにしてください。

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各監査法人でワークライフバランスの考え方や取り組み方は異なります。準大手監査法人や中小監査法人では独自の取り組みを展開し、それぞれ違った特徴を持っていますので、あなたが考えるワークライフバランスにマッチする就職先を選びやすいです。

ダブルライセンスなど多様なキャリアを積んで差別化を図る

公認会計士の資格だけでも十分通用する分野は多いですが、ダブルライセンスを武器にできればより活躍できる範囲が広がり、キャリアプランの選択肢が増えます

また、武器が増えることは市場価値を上げることになりますので、キャリアステップを狙いやすい環境になる点もメリットです。

公認会計士と相性の良い資格は以下となります。

  • 弁護士
  • 不動産鑑定士
  • 社会保険労務士
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公認会計士の資格があれば、税理士や行政書士の登録は可能です。

公認会計士のキャリアが広がる資格やスキルは?求められるレベルは?

最後に、公認会計士のキャリアをより広げるスキルや習得しておくべき能力について解説します。

理想のキャリアステップを実現するためのポイントでもありますので、各項目をチェックしておいてください。

TOEICは600点以上は最低ライン

公認会計士は高い英語力を持っていれば、確実にキャリアが広がります
規模が大きい監査法人はグローバル展開しているケースが多く、外資系企業とやりとりする場面も多く存在するので、国際業務の対応ができれば高い評価を獲得できる可能性があります。

一つの基準として、TOEICは最低でも600点以上は突破している必要があり、700点前後は狙いたいラインです。
もし、TOEICをアピールする材料にするなら800点以上は取得しておく必要があります。

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いずれ海外駐在を狙うキャリアプランであれば、TOEICだけでなく語学力も問われるはずです。

国際財務報告基準(IFRS)の知識とスキル

年々グローバル化が進み、国財財務報告基準(以後、IFRS)の重要性も高まっています
上場企業によってはIFRSの適用が義務となっているケースもあり、特に海外のクライアントを多く持っている場合ではIFRSに関する知識やスキルは重要視される形です。

対応が難しいという側面もあり、公認会計士全員が取得している訳ではないため、希少性が高い人材となりキャリアの選択肢は広がります。

主査やインチャージの経験度

監査法人にて主査やインチャージの経験を積んでおくと、士業だけでなく企業のどちらでも高い評価を獲得できます。

主査やインチャージの経験が付与された人材であれば、一定レベル以上の監査スキルがアピールできるだけでなく、マネジメントなど管理業務の経験があることも認められます
監査法人から転身する際も、即戦力としてアピールできる材料です。

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主査やインチャージは経験値が浅い若い時は、担当する機会はなかなかありません。多くの場合、シニア昇格前後のタイミングで経験できるため、監査法人で一定期間働き続ける必要があります。

IT監査にも対応できるITスキル

会計や監査業務においてITシステムを導入しているケースが主流になりつつあります。
財務報告を作成するシステム(IT監査とも呼ばれる)もあり、柔軟に対応できる公認会計士であれば評価は高い傾向です。

また、後に監査法人から転身する場合も、ITに関する知識があるかで選べるキャリアも変わってきます。

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コンサルティングファームに進む場合も、IT分野のコンサルタントとして活躍できるなど習得しておくスキルとしては汎用性が高いです。

コミュニケーション力と提案力

一見、結びつきがなさそうな能力に見えるかもしれませんが、コミュニケーション力と提案力は公認会計士としてキャリアを積んでいく上で必要不可欠です。

監査法人においても一人でコツコツと業務を遂行するだけでなく、チームで担当するもしくは分担するなど日々コミュニケーションが必要となります。
さらに、職階が上がれば管理業務が次第に増え、マネジメントが必要になり部下を教育する場面もあるため、コミュニケーション力が問われることになるでしょう。
アドバイザリーなど、コンサルティング業務を担当する場合ではクライアントに対して提案力が欠かせません

監査法人だけでなく、税理士法人やコンサルティングファームにおいても同様に必要となる場面が多く存在します。

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コミュニケーション力と提案力を高めておけば、公認会計士が狙えるキャリアの全領域において活かすことができるので、アピールポイントになるよう磨いておきましょう。

まとめ

最後に、今回の記事をまとめてご紹介します。

  • 公認会計士が狙えるキャリアプランは多い
  • 個人によって未来像は変わるため、キャリアにゴールはない
  • 監査法人でキャリアを積むならパートナーを目指すのが一般的である
  • 公認会計士が活躍できる領域は8つある
  • 各領域の特徴を踏まえ、公認会計士試験合格後にキャリアプランを明確にしておく
  • 描くキャリアプランから逆算したキャリアパスを選びスキルを習得していく

公認会計士は活躍できる領域が多いからこそ、理想とする未来像を考え、そこに向かったキャリアパスを選んでいくのが大切です。

キャリアのスタートである監査法人も、法人の規模感や特徴によって携われる業務が異なります。
「とりあえず大手監査法人へ」など、ただ一般的な流れに乗るではなく、将来のゴールから逆算した選択ができれば後悔のないスタートを切れるはずです。

参考:日本公認会計士協会