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公認会計士が働く監査法人を対象にした福利厚生とは?BIG4・それ以外の監査法人別にまとめて紹介

公認会計士を対象にした福利厚生とは?BIG4・それ以外の監査法人別にまとめて紹介

監査法人だけに限らず、福利厚生の有無は働くうえで非常に重要なものです。ワークライフバランスが重要視される昨今において、公認会計士として働くうえでの福利厚生について知りたいと考える方も多いのではないでしょうか。

今回は、公認会計士が働く監査法人を対象にした福利厚生について紹介します。また、監査法人の福利厚生に関する以下の内容もあわせて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

  • そもそも監査法人に福利厚生があるか
  • 大手監査法人(BIG4)の福利厚生
  • 大手監査法人(BIG4)すべてに共通する福利厚生
  • 大手監査法人(BIG4)にはない福利厚生
  • 大手監査法人(BIG4)以外の福利厚生
  • 三優監査法人の福利厚生

本記事で紹介する監査法人の福利厚生は、自身がどのような場所で働くか、どのようなモチベーションで働くかを左右する重要な要素です。とはいえ、実際に就職を目指す法人によって福利厚生の内容が異なることもあるため、あくまで本記事の内容は「参考情報」として捉えてください。

監査法人に福利厚生はあるのか

公認会計士に福利厚生はあるのか

監査法人の福利厚生に関して調べてみると、インターネット上に「福利厚生がない」という情報が出てくる場合があるので、不安に感じてしまう方も多いでしょう。結論、監査法人にも福利厚生はあります。ただし、監査法人としての規模や、法人ごとに設定されている福利厚生が異なるのは事実です。

もちろん、監査法人にも福利厚生はあります。法律で義務付けられている福利厚生があり、それに加えて法人別に設定された福利厚生がある、と認識しておくとわかりやすいかもしれません。

とはいえ、監査法人は福利厚生が少ない傾向にあるのも現状です。そのため、監査法人の福利厚生が「悪い」といえる側面も残念ながらあります。本記事で紹介していく福利厚生の基本や、監査法人別の福利厚生について把握し、自身が重視する福利厚生を決定してください。

福利厚生の基本

福利厚生の基本

監査法人の福利厚生について把握するうえでは、そもそも福利厚生に法定福利厚生・法定外福利厚生の2種類があることを理解する必要があります。ここでは、福利厚生の種類について紹介するので、公認会計士として働くうえでどのような福利厚生を重視したいか決めるうえでの参考にしてください。

法定福利厚生

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法律で義務付けられている福利厚生のことを、法定福利厚生といいます。

従業員を1名でも雇用している法人全体に義務付けられているため、監査法人の場合でも法定福利厚生は備わっていると判断できます。仮に法定福利厚生が用意されていない法人に当たった場合は、法に抵触している法人です。

主な法定福利厚生は、以下を参考にしてください。

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金
  • 雇用保険
  • 労災保険

上記に挙げる各種保険を、法人が一部もしくは全額負担するというのが、法定福利厚生の特徴です。また、児童手当拠出金の納付が、法定福利厚生に該当する場合もあります。

法定外福利厚生​​

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法定外福利厚生とは、法人がそれぞれ独自で設定している福利厚生です。

主な法定外福利厚生には、以下が挙げられます。

  • 住宅手当(家賃補助)
  • 通勤手当
  • 家族手当
  • 健康診断補助
  • 社員食堂
  • 託児施設
  • フィットネスジム
  • 結婚祝い金
  • 出産祝い金
  • 忘年会・新年会費用
  • 社員旅行
  • 部活動

監査法人の多くは、これら法定外福利厚生が不足しているといわれています。働くうえで必要な出費や、ワークライフバランスを充実させるために必要な項目における出費に対して負担してもらえないことが、監査法人の福利厚生が「悪い」といわれる理由です。

とはいえ、監査法人によって備わっている法定外福利厚生が異なる傾向にあるのも事実です。そのため、就職を目指す監査法人ごとに備わっている法定外福利厚生をリサーチすることで、福利厚生に関するネックを解消したうえで公認会計士として働けます。

大手監査法人(BIG4)の福利厚生

大手監査法人(BIG4)の福利厚生

大手監査法人であるBIG4には、どのような福利厚生があるのでしょうか。

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BIG4とは、監査法人・税理士法人・コンサルティングファームなどを展開する4つの法人からなる会計事務所グループの総称です。

4つの法人はいずれも会計事務所として元々存在しており、合併などを繰り返しながら現在の形になっていきました。また、国際的な会計事務所であり、かつ日本のメンバーファームが複数存在しているのも特徴です。

EY新日本有限責任監査法人

EY新日本有限責任監査法人の福利厚生は、採用ページにて記載がありました。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 団体所得補償保険(補助金制度有り)
  • 団体医療保険
  • 海外旅行保険(海外出張の場合)
  • 総合福祉団体定期保険
  • 選択制企業型確定拠出年金(CODA)
  • 野球部
  • サッカー部
  • バスケットボール部
  • テニス部
  • スキー・スノーボード部
  • フットサル部
  • 剣道部
  • ゴルフ部
  • ランニング部
  • 着付部
  • 華道部
  • 陶芸部
  • 茶道部
  • カラオケ部
  • トレッキング部
  • サウナ&スパ部
  • ベビーシッター利用料等補助制度
  • 法人契約スポーツクラブ(コナミスポーツ・ルネサンス)
  • メンバー制の別荘(日本オーナーズクラブ・星野リゾートトマム)
  • 実務補習所への通学費用

情報引用:EY新日本有限責任監査法人|募集要項

有限責任監査法人トーマツ

有限責任監査法人トーマツの福利厚生は、以下のとおりです。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 介護保険
  • 時間外勤務手当
  • 休日出勤手当
  • 深夜勤務手当
  • 通勤手当
  • 出張手当
  • 生命保険(総合福祉団体定期保険)
  • 財形貯蓄
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)
  • 各種クラブ活動補助、
  • 生殖医療サポート(不妊治療・卵子凍結等)
  • 産前講座
  • 産後ケア教室
  • 不妊治療休職制度
  • 配偶者帯同休職制度
  • 育児コンシェルジュサービス
  • ベビーシッター利用補助制度
  • 育児・介護補助クーポン(トーマツ健康保険組合のカフェテリア方式による)
  • スポーツクラブ
  • 各種宿泊施設割引
  • 実務補習所費用
  • 公認会計士協会登録費用・年会費
  • 公認会計士開業登録関連費用(修了考査対策講座受講料、修了考査受験料)

情報引用:有限責任監査法人トーマツ|採用情報

有限責任あずさ監査法人

有限責任あずさ監査法人にある福利厚生は、以下を参考にしてください。

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険
  • 企業年金基金
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 退職金制度
  • 各種クラブ活動補助
  • 宿泊施設
  • 財形貯蓄
  • 生命保険
  • 住宅提携融資制度
  • コーポレートカード
  • カフェテリアプラン
  • リラクゼーションルーム(社内マッサージ室)
  • ベビーシッター育児支援
  • 実務補習所費用
  • 公認会計士協会登録費用・年会費

情報引用:有限責任あずさ監査法人|募集要項

PWCあらた有限責任監査法人

PWCあらた有限責任監査法人へ就職すると、以下を福利厚生として受けられます。

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 確定拠出年金
  • 公認会計士企業年金基金
  • 慶弔見舞金
  • 団体生命保険
  • 長期所得補償保険
  • 資格取得支援制度
  • 契約施設・ホテル・スポーツクラブなど割引
  • 各種クラブ活動(PwC Funs)
  • ベビーシッター補助
  • 保活支援サービス
  • カウンセリング制度
  • コアスキル研修
  • 専門研修
  • 海外研修
  • 英語プログラム(英語学校費用補助・サマースクール研修など)
  • 社内英語研修

情報引用:PWCあらた有限責任監査法人|定期採用

大手監査法人(BIG4)に共通している福利厚生

ここでは、大手監査法人(BIG4)に共通する以下の福利厚生について解説します。

  • カフェテリアプラン
  • 実務補習所の入所費用
  • 公認会計士協会への会員登録費用
  • 公認会計士協会への準会員登録費用
  • 修了考査の費用

共通する福利厚生の内容を理解したうえで、大手監査法人(BIG4)それぞれが提供する福利厚生から自身が身を置きたいと考える監査法人を決めてみてはいかがでしょうか。

カフェテリアプラン

カフェテリアプランとは、あらかじめ用意されている福利厚生の中から、それぞれが好きなものを選んでポイントの支給を受けられるというものです。支給されるポイントは監査法人によって異なりますが、有限責任あずさ監査法人であれば40,000ポイント(1ポイント1円)が支給されます。

実務補習所の入所費用

公認会計士の試験に合格すると、実務補習所に入所しなければなりません。大手監査法人では、実務補習所への入所費用が福利厚生として負担されます。実務補習を修了しないことには、完全な公認会計士の資格取得とはなりません。そのため、監査法人で働くために必須の実務補習所への入所を、福利厚生でサポートしてもらえるというのは非常に大きなメリットです。

公認会計士協会への会員登録費用

公認会計士になる要件をすべて満たした段階で、公認会計士協会への会員登録が必要になります。

  • 登録免許税:60,000円
  • 施設負担金:50,000円
  • 入会金:30,000円

上記、一時的に必要な金額だけでなく、年会費などを負担してもらえる場合もあります。

公認会計士協会への準会員登録費用

公認会計士協会への会員登録前に、準会員として登録する場合もあります。10,000円の入会金と、12,000〜18,000円の年会費を、福利厚生として負担してもらえるのが大手監査法人の特徴です。

修了考査の費用

修了考査とは、実務補習の終了後に受験するものです。公認会計士を名乗るのに必須の工程である修了考査の費用も、福利厚生として負担してもらえます。修了考査を受けるのに必要な受験料は、28,000円です。なお、修了考査の講座費用である150,000〜200,000円も、福利厚生の対象になります。

大手監査法人(BIG4)いずれにもない福利厚生

大手監査法人(BIG4)いずれにもない福利厚生

大手監査法人(BIG4)それぞれに共通して、社員食堂と住宅手当は福利厚生として含まれていません。

社員食堂

大手監査法人には、いわゆる社員食堂はありません。とはいえ、監査法人の業務はクライアント先で行うことも多いため、社員食堂がないことは大きなデメリットにならないといえます。また、クライアント先にある社員食堂を利用することは可能であるため、他の福利厚生が充実している点も踏まえると重要性の高い福利厚生ではないと判断できます。

住宅手当

大手監査法人の多くは住宅補助がなく、家賃などは自身で負担する必要があります。とはいえ、住宅補助のない企業は監査法人以外でも多くあり、そもそも家賃を企業に負担してもらうものという考え自体がない方も多いかもしれません。また、住宅手当以外の補助が充実している場合が多いため、住宅手当がないことは公認会計士として監査法人への所属を目指すうえでのネックになることはないといえます。

大手監査法人(BIG4)以外の福利厚生一覧

大手監査法人(BIG4)以外の福利厚生一覧

ここでは、大手監査法人(BIG4)以外の監査法人が設定している福利厚生をいくつかまとめています。

  • 仰星監査法人:残業手当・通勤手当・公認会計士協会登録費など
  • 如水監査法人:通勤手当・協会会費・確定拠出年金など
  • ESネクスト有限責任監査法人:通勤手当・育児休暇制度など
  • アーク有限責任監査法人:休日勤務手当・出張手当・介護休職制度など
  • 太陽有限責任監査法人:出張手当・残業手当・残業食事代・携帯貸与など

基本的には大手監査法人と変わらないものの、監査法人ごとに設定されている福利厚生が若干異なると認識しておくのがおすすめです。

三優監査法人の福利厚生

三優監査法人の福利厚生

ここまで紹介した福利厚生とあわせて、三優監査法人が設定している福利厚生もまとめているので、参考にしてください。

<定期採用>

  • 各種社会保険完備
  • 退職金制度
  • 年金制度
  • 各種手当
  • 入所支度金を別途支給
  • 実務補習所への通学保証
  • 育児休業制度
  • 介護休業制度
  • 在宅勤務制度
  • マザーケア
  • ペアレントサービス
  • 保活支援サービス

情報引用:三優監査法人|定期採用

<通年採用>

  • 各種社会保険完備
  • 退職金制度
  • 企業年金基金加入
  • 通勤費支給
  • 実務補習所への交通費支給
  • 出張手当
  • 各種諸手当あり
  • 有給休暇制度
  • 半日休暇制度
  • 夏期休暇制度
  • 試験休暇制度
  • 産前産後休暇制度
  • 育児休業制度
  • 介護休業制度
  • 慶弔時などの特別休暇制度
  • 長期勤続リフレッシュ休暇
  • 子の看護休暇
  • 介護休暇

情報引用:三優監査法人|通年採用

まとめ

最後に、今回の記事の内容をまとめてご紹介します。

  • 監査法人の福利厚生は監査法人ごとに異なる
  • 福利厚生には法定福利厚生・法定外福利厚生の2種類がある
  • 多くの監査法人では公認会計士として働くうえでの基本的な出費を負担してくれる
  • 員食堂や住宅手当などはないことが多い

監査法人の福利厚生は所属する監査法人ごとに異なるため、一概にどれがいいとも言い切れません。また、監査法人ごとに独自の福利厚生が設定されていることから、自身が理想とするワークライフバランスを実現できる監査法人を選ぶことが大切です。