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公認会計士1年目の手取りはどれくらい?初任給や年収を大公開

公認会計士は高水準の給与が見込める職種ですが、1年目からどれくらいの給料・年収がもらえるか気になっている方も多いのではないでしょうか。
また、「大手監査法人と中小監査法人では違いがある?」「将来的な年収はどれくらい?」など、就職先を選ぶ基準として具体的な情報を求めている方もいるはず。

そこで今回は、監査法人入所1年目にフォーカスして給与や年収について解説していきます。
大手監査法人だけでなく、準大手監査法人や中小監査法人に関連する以下の内容に触れていますので、就職先選びの情報として参考にしてください。

  • 監査法人入所1年目の給料と手取り額
  • 監査法人入所1年目の平均年収
  • 監査法人入所1年目のボーナス
  • 大手監査法人と準大手・中小監査法人の給与や年収の違い
  • 監査法人入所1年目の業務内容
  • キャリアアップと年収の変化

今回掲載している数値は、各監査法人によって変動します。
就職先を選ぶ一つの指標としてご活用ください。

公認会計士1年目の給与と手取りの額はどれくらい?

オフィスで仕事をする女性

公認会計士試験の突破後は、多くの方が監査法人へ就職するのが一般的な流れです。
実際、公認会計士1年目ではどれくらいの給与がもらえて、手取りになるのでしょうか。

また、大手監査法人と中小監査法人では金額に違いがあるのでしょうか。

それぞれ詳しく解説していきます。

監査法人1年目の場合の給与と手取り

監査法人入所1年目の給与は、約30万円〜35万前後となります。
大手監査法人・準大手監査法人・中小監査法人を比較しても、多少の前後はあるものの、スタート時から給与に大きな差が出るようなことはありません。

手取りで考えた場合は約24万円〜27万円程度です。
給与からは社会保険料・税金関連・雇用保険が引かれますが、年々税金等は上がっていますので、手取り額は思った以上に少ないと感じるかもしれません。

とはいえ、一般財団法人労務行政研究所の「2023年度新入社員の初任給調査」によると大学卒の初任給水準は22万5686円となっていますので、監査法人入所1年目の初任給は高水準といえます。

大手監査法人と中小監査法人の手取り額の違い

大手監査法人と中小監査法人の給与では大きな差はありませんが、年収に関しても初年度は大きな差はあまりないようです。

  • 大手監査法人の初年度の年収は約550万円前後
  • 準大手・中小監査法人の初年度の年収も約550万円前後

監査法人入所1年目においては、大手監査法人と準大手・中小監査法人にはさほど遜色はありません

ただし残業が多い監査法人の場合、残業代が加算されるため、個別で金額に差が出るケースもあるでしょう。

ちなみに、参考の数値にはなりますが、各年収による手取り額の目安は以下となります。

  • 年収600万円の手取りは約457万円前後
  • 年収500万円の手取りは約385万円前後
  • 年収400万円の手取りは約314万円前後
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監査法人によって給与やボーナス額は若干異なりますので、募集要項を確認してください。

他業界1年目と手取り額の比較

監査法人入所1年目でもらえる給料や手取りは、他職種と比較しても高い水準となります。

各業界における2022年度初任給の平均は以下の通りです。(一例)

電気・ガス・熱供給・水道業21万3,500円
情報通信業23万5,000円
金融業・保険業21万8,000円
学術研究、専門・技術サービス業24万300円
医療・福祉22万5,500円
不動産業、物品賃貸業23万700円
参考:2022年度賃金構造基本統計調査

比較的高水準と言われている業界と比較しても、監査法人入所1年目でもらえる平均給与は約30万円前後となりますので、差は歴然です。

各業界の大手企業でも、新卒1年目で30万円の水準が難しいといえます。

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例えば、準大手監査法人である三優監査法人では2023年度実績で32万5,000円からのスタートになっています。

公認会計士1年目の平均年収

電卓と紙とペン

公認会計士試験を突破した就活生のほとんどは、実務経験を積むため監査法人に就職しますので、公認会計士1年目と監査法人1年目を同じ定義としています。

ここからは公認会計士1年目の年収と年次を追うごとにどれくらい年収が変わってくるのか解説していきます。

また、国内全体の年収と比較した時の数値も見ていきましょう。

公認会計士1年目の平均年収

監査法人入所1年目でもらえる年収の平均は、550万円前後が相場です。
給与に加えて、ボーナスの支給も合わせた金額となります。

ちなみに「監査法人入所1年目でボーナスはもらえるのか」と議題に挙がりますが、結論として基本的にはもらえます
1年目のボーナスについては、「公認会計士1年目に関するよくある質問」内で解説します。

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将来的には、各監査法人の業績や業務の裁量、ステップアップ次第で年収に差が発生します。

公認会計士2年目と3年目の平均年収

監査法人の年収は職階ごとに報酬体系が決まっているケースが多い形です。
ちなみに、職階が上がる年次の目安は以下となります。

スタッフ入社1年目〜3年目頃
シニアスタッフ入社4年目頃〜
マネージャー入社8年目頃〜
パートナー入社15年目頃〜

したがって、基本的には2年目と3年目の段階で昇格は難しく、大きく年収が上がるのは稀なケースといえます。
ただし、ボーナスの額は評価も反映されるため、法人内で着実な成果を残していれば1年目よりも年収の上昇は見込めるでしょう。

個人差もあるため一概にはいえませんが、平均年収として600万円前後に推移することが多い傾向です。

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昇格は大手監査法人よりも規模の小さい準大手監査法人・中小監査法人が狙いやすいと言われています。

公認会計士は他職種よりも年収が高い理由

オフィスで笑う男性

ここまで読み進めると、いかに公認会計士はスタート時から年収が高いかがお分かりいただけたと思います。

基本的に年収が高い職種は、高度な専門知識・技術が必要となる業務を遂行する職種になるため、その対価として高い報酬が支払われる形です。

たしかに監査業務は誰でもできる内容ではなく、ちょっと勉強したくらいで対応できる業務ではありません。
そう考えれば、他職種よりも年収が高くなるのは必然ともいえます。

ここでは、具体的に年収が高くなる理由を2つ紹介していきます。

公認会計士試験の難易度が高い

そもそも公認会計士試験は、医者や弁護士と並ぶ三大国家資格と呼ばれ、試験の難易度は非常に高いとされています。
2022年の合格率も7.6%になっており、他の国家資格と比較しても超難関の試験です。

となれば、社会全体を見ても公認会計士の数はごくわずかになります。
したがって、公認会計士は希少性が高く、必然的に市場価値も高い人材になるため、年収は他職種よりも高くなる形です。

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さらに試験だけでなく、監査法人等にて3年の実務経験を積み、また3年間の実務補習を修了することができなければ、公認会計士の登録ができません。

キャリアの選択肢が広く応用が効く

公認会計士は単に監査法人だけでなく、経験を積んだ後に事業会社の経営陣やCFOなどの役職も視野に入るなどキャリアの選択肢が多く、市場価値がそれだけ高いといえます。

公認会計士に登録できていれば、税理士試験を受けなくても税理士登録できるなど活躍できる場は多く、高い能力に応じた報酬の獲得が可能です。

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年収は就職先の状況や規模、業務内容によって変動する可能性もあります。必ずしも高い年収を獲得できるわけではないため、入所前に公認会計士としてのキャリアプランを明確にし、適した就職先を選ぶことが必要です。

公認会計士1年目の監査法人における仕事内容

書類とペン

公認会計士1年目の監査法人では、入所してからすぐ一ヶ月ほど研修が実施されます。
その後は、公認会計士の補助という形で現場に出て経験を積んでいきます。

現金及び預金等のリスクの低い勘定科目から担当し、開示書類のチェックなど徐々に監査業務に触れていく形です。

就職する監査法人の方針によって変わりますが、準大手監査法人や中小監査法人の場合はチームの人数が少ないこともあり、早い段階でさまざまな業務にチャレンジできます。

例えば、調書の主要な勘定科目の担当、IPO関連の担当など大手監査法人ではある程度の経験年数が必要な業務を体験できる可能性が高いです。

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三優監査法人では、早い段階で難易度の高い勘定科目の経験やIPO準備監査を経験できる可能性があります。通常監査とIPO準備監査の両方を経験できる監査法人は珍しく、三優監査法人ならではの魅力です。

監査法人におけるキャリアアップ

スーツの男性

監査法人で働き続けた場合、どんなキャリアアップが狙えるでしょうか。

昇格していった場合の年収や大手監査法人と準大手・中小監査法人の違いについても解説していきます。

監査法人内でのキャリアアップと年収の変化

監査法人でキャリアアップしていく場合は4つの段階があり、キャリアに合わせて年収は大きく変化します。

スタッフ年収相場700万円前後
シニアスタッフ年収相場750〜950万円前後
マネージャー年収相場800〜1000万円前後
パートナー年収相場1500万円以上

職階が上がれば業務の難易度も増すため、年収も合わせて上がっていきます。

入所してから4年目でやっとシニアスタッフに昇格できるのが一般的な流れになるので、キャリアアップにはある程度の経験値と年数が必要になることは覚えておきましょう。

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役職や勤続年数によって年収には大きな差が出ることが考えられます。監査法人の年収は、キャリアの積み方にも左右されるため、一概に年齢だけで年収を予測するのは難しいとも言えます。

大手監査法人と準大手・中小監査法人の違い

大手監査法人と準大手・中小監査法人では職階自体に違いはなく、スタッフ・シニアスタッフ・マネージャー・パートナーの4段階が基本のキャリアステップです。

大きな違いとしては、大手監査法人よりも準大手・中小監査法人のほうが昇格スピードは早いと言われています。
大手監査法人は規模が大きく従業員数も多いため、昇格の競争率は上がります。
特に、事業会社の「役員」のポジションに当たるパートナーになるのは、母数が少ないために難易度は非常に高いと言えるでしょう。

反対に、準大手・中小監査法人は少数体制の中で評価を獲得できれば、昇格しやすい環境であるので、大手監査法人よりも早期にステップアップも狙うことが可能です。

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実際に準大手・中小監査法人のパートナー・マネージャーの顔ぶれを見ると、若いメンバーが多く並んでいます。

準大手・中小監査法人で多様なスキルを磨けばキャリアは広がる

準大手・中小監査法人では、早い段階から幅広い業務を担当することになります。
金融商品取引法や会社法監査に始まり、任意監査や2項業務など大手監査法人ではある程度の実績が必要になる業務も担当する可能性があります。

また、コンサルティングやアドバイザリー業務など監査業務以外の体験も可能です。
となれば、多様な知識とスキルを持った公認会計士へ成長できるため、自然と将来的なキャリアの選択肢は広がります。

監査法人以外に狙える転職先は以下の通りです。

  • 税理士法人
  • コンサルティングファーム
  • 大手上場会社
  • ベンチャー企業
  • 外資系企業

さらに転職だけでなく、独立を目指すことも十分に可能といえます。

公認会計士1年目に関するよくある質問

FAQ

最後に公認会計士1年目に関するよくある質問をまとめました。

公認会計士1年目でボーナスはもらえる?

公認会計士1年目でボーナスをもらうのは可能です。
ただし1回目の支給は満額ではなく、勤務実績に合わせた分のボーナスになる方が大半でしょう。

監査法人によって差はありますが、1回目のボーナスは約1ヶ月〜2ヶ月分の支給になるはずです。

決算賞与など業績次第でボーナスの額が変動する可能性は高いものの、専業である公認会計士の仕事が急に減ってしまう可能性は低く、景気の影響も受けづらいといった特性があるため、初年度からボーナスが出る可能性は高いでしょう。

「公認会計士はやめとけ」と言われる理由は?

「公認会計士はやめとけ」と言われる理由は、最初の関門になる公認会計士試験の難易度が高すぎる点が大きいでしょう。

また、公認会計士は繁忙期である決算時期はどうしても業務量が増えてしまい、残業が多くなりやすい形です。
したがって、「監査法人=激務」というイメージが先行している影響もあります。

ただし最近は、準大手監査法人や中小監査法人は働き方の見直しを進めている法人も多く、ワークライフバランスを取りやすい環境といえますので、監査法人の就職先としておすすめです。

まとめ

今回は公認会計士1年目に関わる手取りや年収、キャリアステップについて解説してきました。

  • 監査法人入所1年目の給与は約30〜35万円
  • 手取りで考えると約24〜27万円になる
  • 監査法人入所1年目の年収は約550万円
  • 給与や年収は他職種よりも高水準である
  • 担当する仕事内容は大手監査法人と中堅監査法人で異なる
  • 準大手・中小監査法人は多様なスキルを早い段階で身につけられる

公認会計士1年目の多くの方は、監査法人に就職する方が大半です。
どれくらい給与や年収が貰えるのかイメージしづらいと思いますので、今回の記事を参考にしていただければと思います。

もちろん給与や年収も大切ですが、あなた自身のキャリアビジョンに適した監査法人を選ぶのも重要なポイントです。