企業の選び方

監査法人の待遇は?ワーク・ライフ・バランスとキャリア成長の関係を知ろう

監査法人で勤務する際、仕事の内容や待遇だけでなく、ワーク・ライフ・バランスの実現を目指しながら公認会計士としてのキャリア成長につながる視点が重要です。

ただ、自分らしいライフスタイルを送りながらキャリアパスを歩むためには、監査法人ごとの待遇を把握し就活に活かす必要があります。

そこでこの記事では、監査法人での待遇やキャリアの成長、仕事と私生活のバランスをどのように取るべきかについて、具体的なアドバイスを紹介します。

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公認会計士として成功できる将来に向けて、どのようにキャリアを形成し豊かな生活を実現するかを考えていきますので、ご一読ください。

監査法人でのキャリアの第一歩

監査法人に新人で入所する場合、キャリアのスタートでどのくらいの待遇が受けられるか紹介します。

新人公認会計士としての待遇

公認会計士の資格を持ち監査法人に新卒で入所する者は、その高度な専門性と市場での需要により、一般的な新卒者に比べて好条件のスタートを切ることが一般的です。

公認会計士という国家資格は、その難易度と業務の重要性から社会的な評価が高く、市場価値を反映した高い給与が設定されているためです。

例えば、大手監査法人では初年度の月給は30万円台前半で、年収約600万円程度が一般的です。

その上、賞与や各種手当が充実している場合も多く、待遇面での魅力は非常に大きいと言えます。

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ただし、監査法人ごとに給与体系や福利厚生には違いがあるため、就職先選びではこれらの要素をしっかりと比較検討することが大切です。

関連記事:公認会計士1年目の手取りはどれくらい?初任給や年収を大公開

監査法人での業務と成長のチャンス

監査法人での業務は多岐にわたり、職員の特性やスキル、経験に応じてさまざまなプロジェクトに携わる機会があります。

会計監査、税務コンサルティング、企業のリスク管理など事業ごとに部署・部門に分かれており、配属や異動により専門性を深めるための機会は豊富です。

また、クライアントとの仕事を通じて、ビジネスの最前線で実務経験を積みキャリアアップの道を開くキャリアパスも待っています。

監査法人では、新入職員でも大規模な監査プロジェクトに参加する機会が少なくありません。

一例として、準大手監査法人の新入職員は、1年目から国際的に展開する大手電機メーカーの財務監査チームの一員として財務諸表の適正性等を確認する重要な役割を担うことが一般的です。

入所後、早い段階から業務の知識とスキルを要する実務経験が積めることは、公認会計士のキャリアに必要な専門知識と実務能力を短期間で高める絶好のチャンスです。

働く環境とワーク・ライフ・バランス

繁忙期を中心に激務になる時期もありますが、多くの監査法人がワークライフバランスの実現に向けて努力しています。

監査法人の働き方は多様化しており、フレックスタイム制やリモートワーク、在宅勤務の導入、育児休暇制度など職員の働きやすい環境作りに取り組んでいるところが大半です。

したがって、新人公認会計士として自身の働き方と生活スタイルのイメージにマッチする環境があるかを監査法人選びで重視すると、長期的なキャリアの発展につながります。

例えばある監査法人ではフレックスタイム制度を導入し、職員が自分のライフスタイルに合わせて勤務時間を調整できるようにしています。

時間管理がしやすくなれば、自己成長につながる資格取得に向けた学習や充実したプライベートにより公認会計士としての成長を目指せます。

また、子育て中の職員に対する福利厚生で短時間勤務や在宅勤務を組み合わせて利用できる監査法人もあります。

こうした働き方改革に向けた取り組みは、仕事とプライベートのバランスを取る上で非常に有益と言えるでしょう。

参照:公認会計士よくある質問Q&A _ 日本公認会計士協会

関連記事:監査法人の働きやすさランキング!トップ3を詳しい理由とあわせて徹底解説

多彩なキャリアパスの選び方

公認会計士として入所後、監査法人内でのキャリアパスをどのように発展させていくかが重要です。

監査法人での実務経験により公認会計士の基礎を培った上で、監査法人以外のキャリアパスも選択肢に含めると良いでしょう。

公認会計士のキャリアのステップアップ

監査法人内で公認会計士のキャリアパスを歩む場合は、段階的な昇進が特徴です。

監査法人により若干の違いはありますが、職階はスタッフから始まり、最高位のパートナーまで、経験年数と実績に基づいて5段階に分かれているケースが一般的です。

例えば、大手監査法人の場合、スタッフは個人の能力や評価にもよりますが、入所から早いケースで1年程度、一般的には3年くらいで主に個別業務を担当します。

スタッフとして経験を積み、修了考査に合格するとシニアスタッフへの昇格が見込まれ、専門性の高い業務や主査の役割を担うようになります。

次に、マネージャーに昇格した場合は業務管理やプロジェクトチームの統率が主な任務です。

そして、マネージャーより管理業務が中心となるシニアマネージャーへの昇進は人事評価で判断され、監査法人の現場の中核となる重要な役割です。

5段階の最高位はパートナーで、新規顧客獲得などの重要な業務をはじめ法人全体の運営や監査業務において業務執行社員としての責任を担います。

監査法人で5段階の職階を段階的に歩みながらキャリアを築く場合、専門知識の習得やコミュニケーション力はもちろん、プロフェッショナルとしての倫理観、チーム統率力など、多岐にわたるスキルが求められます。

したがって、スタッフやシニアスタッフの段階で求められる高度な専門知識やコミュニケーション力とチームマネジメントの能力を効率良く獲得できれば、マネージャーへスムーズに昇進できます。

ただ、監査法人内でのキャリアアップは継続的な自己成長と実績の積み重ねが必要です。

また、監査法人では専門分野を特化していくキャリアプランもあります。

例えば、内部監査部門への異動を希望し、企業の内部統制の評価やリスク管理の評価の領域で専門性を高め、深い専門知識と経験を積むケースが考えられます。

監査法人を超えたキャリアオプション

監査法人での経験により、監査法人以外にも多様なキャリアの道が開けます。

一例として、大手監査法人で数年間の監査経験を積んだ後、大手金融機関のリスク管理部門に転職するといったケースが考えられます。

監査法人で培ったリスク評価と管理の専門知識を活かし、新たな業務領域で能力を発揮できます。

また、事業会社に公認会計士として転職する方法もおすすめです。

事業会社に入社後は経理や財務、経営企画、内部監査などの業務を通し、会計、財務、経営分析など数値に基づくデータや情報を扱い、企業の意思決定支援や経営改善を通して企業に貢献します。

特に、経営陣との費用やコスト面での調整や、経営企画やM&Aなどの戦略的なプロジェクトに関わる機会もあり、キャリアの成長を目指せます。

会計事務所や税理士法人への転職も一般的です。

監査法人とは異なる視点で税務申告や税務調査対応、経営コンサルティングなどの業務に携わり、専門知識や経験を活かす道が広がっています。

この他、コンサルティングファームやベンチャー企業、金融機関への転職も選択肢の一つです。

そして、公認会計士には会計事務所を設立し独立する道もあります。

監査法人での経験を生かし、税務、法務、コンサルなどの幅広い業務に対応できます。

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ただし、長期的なキャリアプランの一環として独立を考える方が多いですが、公認会計士としての業務だけでなく事務所経営や労務管理、営業など多角的な視点での努力が必要です。

そのため、独立後の事業運営を見据えた上で、戦略的にキャリアを積み重ねていく必要があります。

関連記事:公認会計士のキャリアパスやプランを大公開!監査法人以外のキャリアもある?必要な資格やスキルも徹底解説

待遇を活かしライフスタイルの質を高めるコツ

監査法人の待遇により、ライフスタイルの質は大きく変化します。

特に給料や福利厚生の状況によっては、公認会計士としてのキャリアパスにも影響を与えるため、待遇を活かした自分らしい働き方が重要です。

下記で、待遇を活かしライフスタイルの質を向上するためのコツを3つ紹介します。

給料と福利厚生を確認する

公認会計士の給料は監査法人や個々のキャリアレベルによって大きく異なるため、監査法人選びで重要な視点です。

たとえば、大手監査法人では初任給が平均的な新卒給与より高く設定されており、実務経験の積み重ねとともに給与も順調に上昇する傾向があります。

具体的には、新人公認会計士の初任給が月額約30万円からスタートし、数年の実務経験を経て年収が800万円以上に達するケースが一般的です。

また、福利厚生面では標準的な社会保険や退職金制度に加え、従業員のキャリア成長を支援する研修プログラムやキャリアアップを支援するメンターシッププログラムを提供しています。

プライベートと仕事のバランスを図るフレックス勤務や育児休業など柔軟な勤務制度・休暇制度なども監査法人ごとに導入されています。

例えば、ある監査法人では、従業員の健康と家族との時間を重視するために年間休日数を増やし、リモートワークの導入を進めています。

したがって、キャリア目標とライフスタイルに合わせた監査法人選びが重要です。

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就活の際は、募集要項で給料体系や福利厚生の詳細をしっかり確認しましょう。

関連記事:監査法人の福利厚生は少ない?大手監査法人の福利厚生を比較 – 会計士キャリアナビ 働く上で、実は意外と大切な情報を記載!

職場でのストレスマネジメントと心の健康

公認会計士の仕事は常に高いプレッシャーと締め切りが伴うため、日常的にストレスマネジメントが欠かせません。

監査法人では職員のメンタルヘルスに配慮し、ストレス軽減プログラムやカウンセリングサービスを用意しているところが一般的です。

例えば、定期的なメンタルヘルスチェックをはじめマインドフルネスやオフィス内ヨガといったストレスマネジメント研修を実施し働きやすい環境を整える取り組みが見られます。

また、プロジェクトの負担を軽減するためのチームワーク強化や効率的なタスク管理方法の導入を通して、職員の心の健康を守り働き方改革を進める職場も増えています。

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職場で実施されているストレスマネジメントに参加して、心の健康を養いながら働く意識が重要です。

参照:企業向けヨガ(オフィスヨガ) _ ヨガ:認定NPO法人日本ヨガ連盟 ヨガ:認定NPO法人日本ヨガ連盟

仕事とプライベートの調和

心身共にストレスが大きい監査法人勤務では、仕事とプライベートのバランスを意識した働き方がキャリアを長く続けるための鍵を握ります。

具体的には、フレックス勤務やリモートワークなど監査法人が導入する制度を積極的に活用しましょう。

また、有給休暇や各種休業制度を利用し、趣味や家族との時間を楽しんで、バーンアウトしないようリフレッシュを心がけます。

また、メンタルヘルスやキャリアに関するカウンセリングを利用したり、自己のキャリア目標を現在のライフスタイルに応じて調整したりするなど、公認会計士としてのキャリア成長と私生活の充実の両立を目指しましょう。

参照:環境|新卒・キャリア採用情報 – 三優監査法人

まとめ

監査法人でのキャリアを豊かにするためには、待遇に焦点を当てた就活や働き方が重要です。

初任給をはじめ職階の各段階での給料水準や福利厚生、職場でのストレスマネジメント、仕事とプライベートのバランスの取り方など、多角的な視点によるキャリアプランが望まれます。

・給与と福利厚生を確認する:昇給や福利厚生など待遇を理解し、キャリアプランニングの基礎にします

・ストレスマネジメントを実践する:仕事のストレスコントロールを心がけ、心の健康を維持しながら働きましょう

・ワーク・ライフ・バランスを意識する:フレキシブルな勤務体系や有給休暇の積極的な利用で仕事とプライベートのバランスを保つ意識が大切です

・キャリアの多様性を探る:監査法人での経験を基盤に専門分野を深めるほか、事業会社や会計事務所への転職など多彩なキャリアプランの選択肢を模索しましょう

・将来のキャリアプランを描く:独立をはじめ多分野への転身も視野に入れたキャリアプランを作成しましょう

公認会計士としての未来を切り開いていくことが可能です。

自分自身の価値観と目標に合わせて、キャリアパスを着実に築き上げましょう。