企業の選び方

監査法人の配属とは?部門で変わるキャリアパスの未来と公認会計士

公認会計士試験論文式試験合格後に新たなスタートを切る方にとって、監査法人に入所後の配属部門の選び方は今後のキャリアパスに大きな影響を及ぼします。

学生時代に学んだことや興味関心に基づき、自身の特性を生かしたキャリアを築くには、どのような配属先を希望すれば良いか悩んでいる方が多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、監査法人における配属先の重要性や、各部門ごとの働き方、キャリア形成のポイントについて紹介します。

公認会計士試験論文式試験合格後に直面する配属先での業務内容やチームワーク、対人関係といった課題にも触れた上で、成功に必要な視点もまとめていますので最後までご一読ください。

監査法人の配属とは

公認会計士試験論文式試験合格者にとって、監査法人での配属はキャリアの出発点となります。

特に、配属される部門によって業務内容やキャリアの方向性、スキルセットの必要性が大きく異なるため、自身のキャリアビジョンとマッチする部門への配属を目指す努力が重要です。

監査法人の事業部の種類

監査法人の事業部は、主に「監査業務部門」が主力です。

監査業務部門とは、企業の財務報告が会計基準に適合しているかを確認する役割を担っています。

具体的には、企業が作成する財務書類等が会計基準等に基づき適正に作成されているかについて意見を表明します。

例えば、大手製造業の年次報告書の監査では、収益や費用の計上が適切に行われているか、資産の評価が適性かなどを検証します。

そのため、監査部門で働く際は細かい数字のチェックだけでなく、会計処理の適切性や財務報告の信頼性を総合的に評価する能力が必要です。

大手監査法人等では、特に数多くの企業の監査を行うため、「第1事業部」や「第2事業部」のように複数の部門に分かれている場合があります。また、最近の傾向として、例えば「第1事業部」の中に多ジャンルのクライアントを抱えるのではなく商社や製造業など業種別で部門を組織化するケースがあります。

そして、監査業務部門の中には、「金融部門」や「IPO部門」「パブリックセクター部門」として独立させ、各業界の会計基準や業務の特殊性に対応しているケースがあります。

公認会計士試験論文式試験合格後に配属先を選ぶ際のポイント

公認会計士試験論文式試験合格者にとって、配属先の選び方が自身の長期的なキャリア展望に大きく影響します。

自分の興味や専門性を深めたい分野に合わせた部門選びが重要です。

将来的には幅広いビジネスシーンに対応できる柔軟性と深い専門知識を兼ね備えた人材に近づけるからです。

会計キャリアナビ
このように、配属先を選ぶ際には自身が将来どのような専門性を持ち、どのようなキャリアパスを歩みたいかを真剣に考えることが大切です。

そして、職場環境や事業部ごとに異なるチームの文化についての情報を事前に収集し、自分にとって最も適した環境を見つけることも長期的なキャリア形成の成功につながります。

関連記事:監査法人は激務?忙しさの理由や乗り切り方、法改正との関係性や将来性について解説

希望部門の選び方と配属先の影響

希望部門の選び方による配属先が公認会計士のキャリアに与える影響は計り知れません。

配属先で得られる経験を通して獲得できる多様なスキルセットにより、公認会計士としてのキャリアにおいて幅広い選択肢が手にできます。

より多角的な視野を持った公認会計士に成長できる点が魅力です。

それぞれの部門やプロジェクトでの経験で培われる人的ネットワークや業界での自身の認知度もキャリアに大きな影響を与えるからです。

このように、自分の興味や目指すキャリアパスを踏まえて配属先の慎重なる検討が求められます。

参照:公認会計士よくある質問Q&A _ 日本公認会計士協会

配属先での成功ポイント

希望通りの部門になるかどうかは別として、配属されたからにはキャリア形成を目指して業務に真摯に取り組む姿勢が求められます。

公認会計士試験論文式試験合格後に監査法人に入所した場合、配属後の1年目にどのような動きが必要か、初年度の目標と仕事への取り組み方にも触れて紹介します。

配属後の最初の1年間が重要

配属されたばかりの論文式試験合格者にとって、最初の1年間は非常に重要な時期です。

この期間は新しい職場環境に一日でも早く馴染む努力を続けると共に、専門スキルの習得にも重点を置きましょう。

例えば、監査部門に配属された場合、最初の数ヶ月で主に財務報告の基本的なプロセスや監査に関する基礎的なスキル、クライアントの業種に関する知識の習得に当てることが一般的です。

とりわけ、クライアント企業の財務諸表の特徴や会計基準、作成ルールについて学びます。

また、部門の業務内容と職場の文化を理解するためには、積極的なコミュニケーションが不可欠です。

一例として、チームミーティングや業務の打ち合わせに参加し、先輩や同僚との情報交換を通じて、実際の業務の流れや職場の働き方を学びます。

そして、現場でのOJTに加え入所初期の新人研修に主体的に参加し、自身の専門知識を深め、業務に必要な技術的なスキルの習得を目指しましょう。

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上司や先輩からのフィードバックも重要な学習機会です。

例えば、監査のレビュー時に、上司から受ける具体的なアドバイスや指摘を通して自分の強みと改善点を把握し、次回業務の質向上や効率化を図ります。

このように、最初の1年間は職場環境への適応、専門スキルの習得、自己成長のためのフィードバックに焦点を当て、公認会計士としてのキャリアの基盤を築く姿勢が重要です。

初年度の目標と仕事への取り組み方

監査法人に入所した​​初年度の目標は、具体的かつ実現可能な内容を設定しましょう。

例えば、特定の税法に関する詳細な理解など、自身のキャリアイメージに応じて小さな目標をいくつか設定します。

日々の取り組みの成果に対して定期的に自己評価を行い目標の進捗状況を確認すると、改善点の把握やモチベーションの維持にも役立つため、自身の成長を確実にすることができます。

公認会計士として成功するためには、何よりも業務に対する熱意とプロ意識を持つ姿勢が重要です。

新しい環境で自ら学び自発的な業務への取り組みを通して、新人として周囲からの信頼と将来へとつながる評価を築けます。

また、チームの一員として協力する姿勢を見せることや、業務で発生した課題に対して問題解決能力を発揮する経験も重要です。

こうした能力を惜しみなく使い日常業務を通じて培ったさまざまな経験が、配属先での成功だけでなく長期的なキャリア形成においても大きな意味を持ちます。

参照:キャリア|新卒・キャリア採用情報 – 三優監査法人

よくある質問

公認会計士試験論文式試験合格後監査法人に入所した方に配属先で直面する可能性のある課題について、実際によく目にする質問を紹介します。

配属先によって業務の大変さは違いますか?

配属先によって業務に対する責任の度合いやストレスは異なります。

一般的に、どの事業部も繁忙期には長時間労働や高いプレッシャーが続く場合が多いです。

例えば、監査部門のうち国内部における繁忙期は、主に年度末に向けた4月から6月にかけてとなります。

この時期は多くの日本企業が期末日を迎えるため、年次財務報告の準備や監査が集中するためです。

配属先に関わらず、タイムマネジメントのスキルを磨いたり、積極的に休息を取りながら効率的な仕事の進め方を身につける努力が重要です。

チームワークでどんな悩みがありますか?

監査業務の完遂に向けたコミュニケーションの不足で、チームワークが課題となるケースが少なくありません。

例えば、監査業務で各チームメンバーの役割があいまいなまま進行すると、作業の重複や業務範囲に対する認識の齟齬が発生する恐れがあります。

したがって、配属後はチームの一員としての役割を理解し、他のメンバーと効率良くコミュニケーションを取る方法を学びましょう。

具体的には、定期的なミーティングでメンバー間の進捗を共有し、役割分担と責任の所在を明確にしていきましょう。

また、職場のコミュニケーションで重要な報連相(「報告」「連絡」「相談」)を徹底し、情報共有の漏れや改善点の把握に努めるようおすすめします。

対人関係がうまく築けるかが心配です・・・・・・

職場での対人関係の問題も、新人が特に悩むテーマです。

上司や同僚との良好な人間関係を築くためには、相手の立場を理解し尊重する姿勢が求められます。

また、ミスがあった際は素直にフィードバックを受け取る姿勢を見せたり、必要に応じて業務に関する質問や相談、具体的な提案を行うと、より親密な対人関係へとつながります。

対人関係で大きな問題と言えば、上司と意見の相違が生じた場合にどのように対応すべきかが重要です。

自分の意見を尊重しつつも、上司の立場や視点を理解しようとする姿勢が重要です。

また、具体的な事例やデータを基にポジティブな議論を行い相互の理解を深め、最善の妥協点を見つける努力をしましょう。

まとめ

監査法人での配属は公認会計士試験論文式試験合格後監査法人に入所した方にとってキャリア形成の重要なステップです。

自分自身のキャリア目標と興味にマッチする部門を希望しましょう。

部門によって独自の専門性と業務範囲を持っているため、配属後は早くチームに馴染む努力をし、必要な専門スキルの習得や業務の理解を進めます。

配属先でどのような経験を培いスキルを磨けるかによって、公認会計士としての将来のキャリアパスが大きく変化します。