監査法人の志望動機はどのように作成するのが適切なのか、悩んでいませんか。
監査法人への就職において、合否を左右するかもしれない志望動機は、慎重に作成したいところです。
今回の記事では、監査法人の志望動機の作成で悩んでいる方に向けて、以下を解説します。
- 志望動機を考える手順
- 志望動機を考えるときのポイント
- 監査法人の志望動機の例
- 避けたい志望動機の内容
時間をかけて作成した志望動機が、監査法人への就職において成功のカギを握るかもしれません。
目次
監査法人の志望動機を考える手順
まず、監査法人の志望動機を考えるときの手順について解説します。
志望する監査法人についてリサーチする
志望動機を考える際の最初のステップは、志望先の監査法人についてリサーチすることです。
メーカー、金融業、サービス業などの、どの分野に特化しているかを確認します。
具体的な業務内容や、クライアントにどのような企業があるのかも把握しておくべきポイントです。
他にも、志望先のこれまでの歴史や理念などから、どのような方針をもっているのかを把握しておくと良いでしょう。
リサーチはホームページだけでなく、決算資料、就職説明会、ニュースの活用も有効です。
例えば、決算資料からは経営ビジョンを知ることができ、ニュースからは業界の見解を知ることができます。
志望先について深く知ることで、より具体的で説得力のある志望動機が作成できます。
「志望先ならではの特徴がいまいち分からない」という場合には、あえて他の監査法人について調べてみると志望先の特徴が明らかになるかもしれません。
志望先が求める人物像を把握する
リサーチができたら、それらの情報をもとに志望先がどのような人物を求めているかを把握します。
採用する側も、自分たちのニーズに合う人物を探しているため、どれだけ採用側のニーズとマッチした志望動機にできるかが重要です。
例えば、IT分野に強い監査法人であれば、ITに関する知識や経験があると良いでしょう。
また、製造業のクライアントが多い場合には、製造業の特性を理解している人物であるほど、より採用側のニーズにマッチするでしょう。
志望先が求める人物像を把握することで、採用担当者により魅力的に感じてもらえる志望動機が作成できます。
志望先にアピールできるスキルを洗い出す
どのような人物が求められているかが分かったら、それにマッチする自分のスキルを洗い出します。
例えば、海外とのやり取りがある監査法人では、英語力や留学経験をアピールできます。
スキルや知識だけでなく、経験も立派なアピール材料です。
他にも、向上心が高く勉強熱心であることや、志望先の雰囲気に合った性格であること、コミュニケーション能力の高さなどもアピール材料の一つとなります。
公認会計士は、法改正などで常に知識を更新していかなければならないほか、さまざまなクライアントとも関わるため、このような点も強みとなるのです。
将来どんな自分になりたいかを明確にする
多くの方は、「将来こうなりたい」といった、おおよその未来像を描いた上で志望先を決めていることでしょう。
このような未来像は、志望動機の書き出しや書き終わりに記載するのがおすすめです。
おおよその未来像しか描けていない場合には、具体的に将来どんな自分になりたいかを明確にしておきます。
すでに具体的な未来像が描けている場合にも、これまでみてきた志望先の特徴や志望先が求める人物像にマッチしているかを確認します。
求められる人物像と自分のスキル・未来像を関連づける
志望先をリサーチし、どのような人物が求められているか、それに合った自分のスキルは何か、自分の未来像がそれらにマッチしているか、を確認できたら文章にまとめます。
志望動機を作成するときには、志望先の特徴と自分のスキル・未来像が関連づいていると、より説得力のある文章になります。
例えば、「将来、海外案件も取り扱えるような公認会計士になりたい」→「そのために、海外案件も多数取り扱っている貴法人(御法人)を志望した」→「これまでに培った英語のスキルや留学経験を活かして貴法人(御法人)に貢献したい」といったような形です。
実際のエピソードを交えたり、志望先ならではの特徴を挙げたりすると、具体的で説得力のある志望動機になります。
文書の場合は「貴法人」、会話の場合は「御法人」となることに注意します。
監査法人の志望動機を考えるときの3つのポイント
監査法人の志望動機を考えるときに、ぜひおさえておいてほしい3つのポイントをご紹介します。
監査法人を志望先に選んだ理由を明確にする
公認会計士の就職先は監査法人だけでなく、税理士法人やコンサルティングファームなどもあります。
このため、さまざまある就職先の中から、なぜ監査法人を選んだのかも明確にしておかなければなりません。
志望動機の中に、監査法人を就職先として選んだ理由を盛り込まなければならないというわけではありませんが、面接で志望動機を述べた後に質問される可能性があるのです。
志望する監査法人の規模を考慮する
志望動機を作成するときには、志望する監査法人の規模も考慮しておきます。
監査法人を志望先に選んだ理由と同じく、志望動機の文章に盛り込む必要はありませんが、面接で質問される可能性があります。
例えば大手監査法人の場合、考えておいた方が良いのは、big4の中でなぜその監査法人を選んだかです。
準大手監査法人や中小監査法人の場合は、大手監査法人ではなくその監査法人を選んだ理由を考えておきます。
事前に考えていないと、面接で急に聞かれてもすぐに答えられない場合があるため、この点もふまえた上で志望動機を作成しておくことをおすすめします。
公認会計士試験の受験者の就職先として大手監査法人は圧倒的に人気ですが、準大手監査法人や中小監査法人では、幅広い業務を経験できるのが魅力です。
論理的な文章の構成を意識する
監査法人の業務では論理的思考が求められるため、志望動機を作成する際にも論理的な構成を意識します。
採用担当者は、志望動機の内容だけでなく、このような論理的思考についても評価しているかもしれないからです。
論理的な構成にするためには、結論を先に述べ、その後に詳細を述べるようにします。
志望動機の作成だけでなく、面接での受け答えや普段のコミュニケーション、実際の業務においても、この結論ファーストは大切です。
監査法人の志望動機の例
監査法人の志望動機の例を3つご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
資格が活かせる専門性の高い仕事だから
監査法人で働く方の多くは、公認会計士の資格を有しており、専門的な知識をもっています。
仕事内容も専門性が高いため、この点に魅力を感じ、貴法人(御法人)にも貢献していきたい、といった流れにすると良いでしょう。
また、会計や監査に関心があり、それらの専門知識をより深く学びたい、といった意欲をアピールすることもできます。
幅広い業種に携わることができるから
監査法人のクライアントには、多種多様な企業がいることから、幅広い業種に携われる点を挙げるのもおすすめです。
さらに、監査法人のクライアントは、上場企業が中心です。
実際に上場企業の経営者と対等な立場で議論できる数少ない会社の一つでもあります。
多様なスキルを活かすことができるから
監査法人における実際の業務では、クライアントの企業が属する業種の業界知識がなければ、公認会計士としての知識を活かしきれないことがあります。
そのため、多様なスキルを活かせる点を挙げるのも一つの方法です。
また、この場合、公認会計士以外の自分のスキルや経験をアピールする方向にも繋げられます。
監査法人の志望動機で避けたい内容
監査法人の志望動機の作成においては、避けた方が良い内容がいくつかあります。
どの監査法人にも使える具体性のない内容
公認会計士の就職活動では、ほとんどの方が複数の監査法人を併願します。
複数の監査法人を併願する場合、どの監査法人でも使えるような志望動機を作成したくなりますが、これは避けた方が良いでしょう。
他の監査法人や監査法人以外でも使えるような志望動機だと具体性がなくなってしまい、熱意を伝えられません。
採用担当者が見たときにも、特に書類選考ではありふれた内容だと目に止まりづらくなってしまいます。
多くの監査法人を併願する場合には少し大変ですが、志望先ごとの具体的な志望動機を作成することをおすすめします。
自分のスキルアップを主な志望動機にする
実際には、自分のスキルアップが主な志望動機となっていることも、少なからずあるかと思います。
ただ、志望動機を作成するときに、この点を前面に押し出すのは避けたいところです。
自分のスキルアップを目指すことは前向きで良いように思えますが、採用側としては自分本位な印象を受けてしまいます。
もちろん、自分のスキルアップが目標であることを記載してはいけないというわけではありません。
「自分がスキルアップすることで貴法人(御法人)に貢献したい」のように、あくまでも志望先への貢献が最終目標であることを記載します。
労働条件を志望動機に盛り込む
当たり前かもしれませんが、労働条件を志望動機に盛り込むのは避けるようにします。
実際問題、通勤距離や給与などの待遇を考慮して志望先を選ぶのはごく普通ですが、それを志望動機に盛り込むのは良くありません。
また、採用側からしても魅力的な人材には映りません。
たとえ労働条件に魅力を感じていたとしても、志望動機ではそれ以外に魅力を感じた部分や意欲をアピールするようにしましょう。
自分のスキルや経験の過度なアピール
志望先に「ぜひ採用したい」と思ってもらうために、自分のスキルや経験をアピールすることは重要です。
ただ、そのようなアピールばかりをしてしまうと、かえって印象が悪くなってしまいます。
監査法人では、常に新しい知識を吸収し、勉強し続けなければなりません。
そのため、できることで満足するのではなく、できないことを克服していく熱意と謙虚な姿勢を見せることが大切です。
監査法人への就職は志望動機が成功のカギを握る
監査法人での業務は論理的思考が求められるため、他のことが優秀であっても、その点が欠けていると判断されると書類選考で落とされてしまう可能性があります。
ただ、逆をいうと、志望動機で論理的思考についてアピールできるともいえるため、志望動機の作成には力を入れたいところです。
また、監査法人の採用選考(面接)は、11月の公認会計士試験の合格発表後から12月初旬までの2週間~3週間で慌ただしく行われます。
したがって、一次面接から採用の決定権をもつような、上位の役職者が面接官を担当することも多々あります。
一次面接だからといって気を抜かずに、万全の準備をしておきたいところです。
書類選考の応募書類を作成する段階で、志望動機を述べた後に聞かれそうな質問に対する答えも考えておくと、面接も落ち着いて臨めます。
まとめ
最後に、今回の記事の内容をまとめてご紹介します。
- 志望動機の作成は、志望する監査法人のリサーチ、志望先が求める人物像の把握、志望先にアピールできるスキルの洗い出し、自分の未来像の明確化、求められる人物像・自分のスキル・未来像の関連づけ、の手順で行う
- 監査法人を選んだ理由の明確化、志望する監査法人の規模の考慮、論理的な文章の構成、が志望動機を作成するときのポイントとなる
- 志望動機の例として、資格が活かせる専門性の高い仕事であること、幅広い業種に携われること、多様なスキルを活かせること、がある
- 監査法人の志望動機で避けたい内容には、どの監査法人にも使える具体性のない内容、自分のスキルアップが主な志望動機となる内容、労働条件を志望動機に盛り込んだ内容、自分のスキルや経験を過度にアピールした内容、がある
- 論理的な文章構成の志望動機を作成すること、志望動機の作成段階で面接で聞かれそうな志望動機に対する質問の答えを考えておくこと、が監査法人への就職において成功のカギを握る
監査法人への就職において、志望動機は重要な選考材料となるため、気を抜かずにしっかりと考えたいところです。
時間をかけて考えた志望動機が、憧れの監査法人への就職に導いてくれるかもしれません。