公認会計士が監査法人へ転職したい場合、職務経歴書は採用されるかどうかの鍵を握る重要書類です。
自身のキャリアをコンパクトにまとめて伝える職務経歴書のクオリティにより、採用側に優秀な人材だとアピールできるからです。
ただ、公認会計士としての自分の価値とポテンシャルをどのように伝えればいいか、悩んでいる方が多いのではないでしょうか。
本記事では、公認会計士が監査法人に転職する際に求められる職務経歴書の書き方を、わかりやすいスタイルで解説します。
ぜひ、この記事を通して選考担当者の目に留まる職務経歴書を作成していきましょう。
目次
職務経歴書は公認会計士の就職・転職の鍵を握る
職務経歴書は、主に転職活動で応募先に提出を求める企業が多い重要な書類です。
単にこれまでの学歴や職歴を羅列しているだけでは、他の応募者との競争に打ち勝つことはできません。
ライバルと差別化するためには、キャリアの成長、専門性、そしてポテンシャルを具体的かつ魅力的に伝える必要があります。
職務経歴書に記載する内容は、人事担当者が応募者のスキルや経験を評価する大きな基準となるため、面接試験に進めるかどうかに大きく影響します。
職務経歴書の目的
一般に、職務経歴書は応募者の職歴(学歴を含む場合もある)とキャリアにおける過去の実績を簡潔にまとめて書く書類です。
応募先の企業に採用後、組織でどのような価値を与えられるかを具体的にイメージさせるだけの説得力を持たせる必要があります。
また、これまでに培ってきた専門スキルや知識、取り組んできたプロジェクトの概要を通して、即戦力にもなり得る人材だと証明する意識も重要です。
監査法人への転職における職務経歴書の役割
監査法人への転職でも一般企業の転職活動と同様、職務経歴書は特に重要な役割を果たします。
具体的な経験と成果を重視する傾向は監査法人にも強いため、履歴書と併せて職務経歴書からも応募者の思考力や判断力、問題解決能力を多角的に判断するためです。
したがって、過去にどのような業務に関わり具体的に成果を上げたか、また業務を通じてどのようなスキルや知識を身につけたのか、わかりやすくまとめる必要があります。
公認会計士のための職務経歴書の書き方
転職市場において競争が激しい公認会計士の場合、人事担当者の印象に残る職務経歴書の書き方が求められます。
ステップ1 個人情報とキャリアを書く
まず、職務経歴書には、氏名、連絡先、Eメールアドレスなどの基本的な個人情報を明記します。書類の冒頭に記載するのが一般的です。
また、人事担当者に対してプラスの印象を与えるためにも、履歴書と同じ証明写真を貼付しておきましょう。
その後にキャリアの概要を簡潔にまとめ、公認会計士としてのキャリアの方向性をアピールします。
ステップ2 公認会計士試験合格のアピール方法
監査法人への転職活動の場合、公認会計士試験に合格した状況をきちんと書き込んでください。
公認会計士として活躍する前提となる情報なので、正確に記入しましょう。
ステップ3 職歴のPRポイント
職歴を記入する際は、自身の経歴の中で最も重要だと考える職務をピックアップして説明しましょう。
過去に携わったそれぞれの職務における具体的な実績や経験を簡潔に紹介します。
特に、監査法人での業務や、関わったクライアントの業界、プロジェクトや個人目標で達成した成果などを詳しく記載してください。
端的にまとめた情報を通じて、人事担当者は監査法人でどのような活躍ができるかを判断するからです。
できる限り実績を数値化し、成果をより具体的にアピールするよう心がけましょう。
職務経歴書で重要な自己PRのテクニック
職務経歴書の自己PR欄を活用すると、自身の個性や人間性をアピールできます。
公認会計士としての専門的なスキルを超えた、人間味あふれる特技や強み、個性をアピールできる内容に仕上げるポイントを見ていきましょう。
テクニック1 特技と強みを表現する
自己PR欄におすすめの内容として、まず特技や自身の強みを十分に書き込みましょう。
例えば、情報収集の仕方を特技としてピックアップするとします。
公認会計士にとって、日頃の情報収集能力や好奇心の高さは業務に役立つ価値の高いスキルの一つです。
職務経歴書には、自身の情報収集や処理能力がどのように前職までの業務に役立ってきたかを具体例とともにアピールしましょう。
例えば、多様な情報源からのデータを活用して複雑な財務分析を行った経験や、業界内での幅広いネットワークを通じて新たなビジネスチャンスを得た事例などが挙げられます。
テクニック2 オリジナリティーを打ち出す
趣味やボランティア経験も、自身のキャラクターやオリジナリティーを職務経歴書に打ち出せる良い機会です。
プライベートで行っている活動を記載しておくと、採用側は応募者の人間性や価値観をわかりやすく把握できます。
さらに一歩踏み込んで、趣味やボランティア活動が職務に間接的に役立っているかを伝える方法もおすすめです。
例として、社会人スポーツチームに参加している公認会計士の場合、チームワークやリーダーシップのスキルを高めた経験が業務にも役立っているとアピールできます。
また、ボランティア活動を通してコミュニケーション能力や社会的責任感を培えたなど、採用側に具体的な経験をわかりやすく紹介するとより効果的です。
職務経歴書のフォーマットやデザインにもこだわる
職務経歴書を用意する場合、内容はもちろんですがフォーマットやデザインによっても採用側に与える印象が大きく変わります。
そのため、自身のプロ意識を伝え、ポジティブな第一印象を与えるためには、応募書類にふさわしいフォーマットとデザインを選びましょう。
職務経歴書におすすめのフォーマットとは
人事担当者にアピールできる効果的な職務経歴書のフォーマットのポイントは、情報の見やすさと読みやすさの2点です。
まず、情報は整理して一目でわかりやすく仕上げましょう。
見出しや箇条書きを使用して要点が簡潔に伝わるように構成します。
一般的には、直近の職務から時系列で記載し、各職務での役割や成果を具体的な数字や事例を交えて提示するのがおすすめです。
そして、フォーマットは情報の重要性で優先順位を付けてまとめていきましょう。
デキる人材だとアピールできるデザインの選び方
職務経歴書はシンプルかつビジネスにふさわしいデザインのものを選びましょう。
過度に派手またはファンシーなデザインやフォントは避けてください。
清潔感と読みやすさを打ち出せる落ち着いた書式を選ぶようにします。
例えば、白地に黒文字の基本的なカラーのような無難なデザインがおすすめです。
その場合、ポイントを押さえた強調色で重要な情報を際立たせる効果が上がりやすくなります。
また、余白を十分に利用すると全体のレイアウトがスッキリするため、読む側にストレスを与えません。
このように、デザイン選びではあくまで内容が主役であり、目立ちすぎない点を意識してください。
職務経歴書の注意点と落とし穴
職務経歴書を作成する際には、特に注意すべき点やよくあるミスがあります。
以下で紹介する気をつけるポイントを事前に把握した上で、内容を考えましょう。
よくあるミスと予防法
よくあるミスは次の3点です。
- 正確な情報を記載していない
- 誤字・脱字
- あいまいでわかりづらい表現
職務経歴書を書き上げたら、必ず読み返して上記のミスがないかチェックしましょう。
特に、家族や友人知人などに読んでもらい「読みやすいか」「書き間違いがないか」をチェックしてもらうことをおすすめします。
また、あまりにオーバーな自己PRや職歴と関連性の低い情報はカットしましょう。
出来る限り、職歴に直接関係する具体的かつ重要な情報に的を絞って記載する姿勢が重要です。
さらに、経歴で転職回数が多かったり、大幅に業種や職種を変えて転職した経験がある方は、なぜそれぞれ転職をしたのかわかりやすく理由を書き添えるとよりブラッシュアップできます。
監査法人における独自の視点はあるの?
監査法人が選考で職務経歴書をチェックする際、他の企業と同じく自法人にふさわしい専門性と実務経験があるかに重きを置かれます。
具体的には、過去の業務経験や成果、問題解決能力、クライアントとのコミュニケーションスキルなどがチェックポイントの対象です。
また、監査法人特有の業務環境やプレッシャーに適応できるかどうかも重要な判断基準となります。
公認会計士が活躍する監査法人は、精度が高くスピード感のある監査業務を要求される厳格な職場です。そのため、厳しい期限内での詳細な財務分析や報告書の作成、複雑な法規制や会計基準に従った業務をこなす必要があります。
職務経歴書で応募先の監査法人に自身をアピールするなら、期限内に質の高い業務をやり遂げた経験や、急ぎの案件で複雑な状況下であっても合理的に問題解決へと導いたプロジェクトを具体例にすると良いでしょう。
このように、過去の業務で達成した成果や解決した困難な課題、チームでの協力やリーダーシップの経験を具体的に記述することが効果的です。
職務経歴書はただ単に職歴を並べて説明すれば良いというものではありません。
自身が監査法人に採用後、現場でいち早く新たな役割や責任に対応できるかポテンシャルを十分に示す内容へと何度も修正を重ねていきましょう。
提出前に最終チェックを忘れずに
職務経歴書を提出する前には、必ず内容が正確かどうか、必要な情報を記入できているか、チェックをしましょう。細かなミスを防ぎ、ビジネスに対して真摯な印象を与えるため重要なポイントです。
チェックリストと最終チェックを
最終チェックの際には、以下のチェックリストを活用して、一つひとつの項目を慎重に確認しましょう。
- 個人情報は正確ですか?
名前、連絡先、Eメールアドレスが最新かつ正確な情報であるか。
- 職務内容はわかりやすく書いていますか?
過去の職務が具体的かつ正確に記載されているか。
- 成果を具体的にまとめていますか?
前職までの業務の成果を数値や具体的な事例で記載しているか。
- 誤字脱字はありませんか?
文書全体を通じて誤字脱字がないか。
- フォーマットとデザインは職務経歴書にふさわしいですか?
読みやすく落ち着いたデザインを選んでいるか。
最終チェックの方法としておすすめなのは、一度作成した職務経歴書を数時間から一日放置し、新たな目で再チェックする方法です。
そして、できれば信頼できる人に読んでもらい、意見を求めてブラッシュアップしてください。
送付後は応募先にフォローアップ
応募先に職務経歴書を送付したら、書類を送付した確認をするとより良い印象を与えられます。
自身の積極性を示すと共に、応募状況に関して何らかの情報を手に入れられる場合もあります。
ただ、定期採用募集など応募プロセスに一定のルールがある場合、連絡するかどうかケースバイケースで判断してください。
定期採用か中途採用かに関わらず、必要以上のアピールは控えましょう。
まとめ:監査法人への転職に成功したいなら職務経歴書を重視しよう
公認会計士が監査法人への転職を目指す際に必要な職務経歴書の作成に全力を注ぎましょう。
本記事では、下記の通り、職務経歴書の重要性や効果的な作成方法を詳しく紹介しました。
▼職務経歴書の重要ポイント
- 個人情報とキャリアの要約を明確にする
- 公認会計士試験の合格を効果的にアピール
- 職歴における具体的な実績と経験を強調
- 特技や強みを生かした自己PR
- 応募にふさわしいフォーマットとデザインの選択
- 提出前の徹底したチェック
▼転職活動で重要なステップ
- 職務経歴書の送付後、タイミングを見て確認の連絡を行う
- 応募先からの照会や面接に備える
- 面接や他の選考過程で成功するための準備を整える
公認会計士にとって、監査法人へスムーズに転職できるかどうかで自身のキャリアパスが大きく変化します。
採用側にアピールできる職務経歴書で応募できれば、その後のキャリアの成功につながる可能性が高まります。
ぜひこの記事でお伝えしたポイントを活かし、監査法人での新たなキャリアに向けて自信を持って進んでいきましょう。