「監査法人の入社時期っていつが一般的なの?」「合格したばかりだけど、就職活動はもう始めるべき?」──そんな疑問を抱えていませんか?
公認会計士試験に合格した直後は、ほっとする間もなく就職活動に突入します。しかし、監査法人ごとに入社時期や採用スケジュールが異なるため、情報収集が不十分だとチャンスを逃してしまう可能性もあります。
この記事では、監査法人の入社時期の基本スケジュールから、就活の最適なタイミング、BIG4と中小法人の違い、入社前にやっておきたい準備までをわかりやすく解説。この記事を読むことで、自信をもってスケジュールを組み、納得のいく就職を実現することができます。
なお、監査法人については、「入社」のことを「入所」と呼称するため、以降は「入所」と記載して解説します。
それでは早速、監査法人の入所時期の実態から見ていきましょう。
目次
監査法人の入所時期はいつ?基本スケジュールを把握しよう

監査法人への入所は、公認会計士試験合格後のキャリア形成における第一歩です。しかし、「入所時期はいつなのか?」「法人によって違いはあるのか?」と不安に思う方も多いでしょう。ここでは、公認会計士試験合格後から入所までの流れと、監査法人ごとのスケジュールの違いについて解説します。
公認会計士試験合格後から内定までの流れ
公認会計士試験の論文式試験に合格した後、最も早い人で1〜2週間以内に内定を獲得するケースもあります。
特にBIG4を中心とする大手監査法人では、論文式試験の合格発表後すぐに選考をスタートさせ、11月中旬から12月初旬にかけて内定を出すのが一般的です。
この短期間での内定獲得は、あらかじめ説明会やセミナーに参加し、早期から情報収集をしていた人ほど有利になります。
就活スケジュールは非常にタイトであり、「合格した後で考えよう」としていると出遅れてしまいます。合格発表の直後からスムーズに動けるよう、事前の準備が不可欠です。
入所月は2月?4月?監査法人ごとの違い
監査法人の入所時期は主に「2月」と「4月」に集中しています。
BIG4をはじめとする多くの法人では、「2月1日入所」が標準的なスケジュールとなっており、2月~3月の期間に導入研修が実施されるのが一般的です。
一方で、一部の法人や中小監査法人では、4月入所を採用しているケースや、内定後に本人の希望に応じて柔軟に入所時期を設定する場合もあります。
大学卒業と同時に入所する新卒扱いの合格者は、4月に同期入所することもあり、法人によってスタンスは異なります。自分の状況(卒業時期、学年など)に合わせて、法人ごとの入所時期を確認することが重要です。
定期採用と中途採用のタイミングの違い
監査法人の採用は、「定期採用」と「中途採用(キャリア採用)」に大別されます。
定期採用は公認会計士試験合格者向けに、毎年決まった時期に実施され、主に11月中旬〜12月上旬に内定を出す流れが一般的です。
一方、中途採用では通年採用を行うケースもあり、入所時期も柔軟に対応される傾向があります。
たとえば、別業界からのキャリアチェンジや、科目合格者がトレーニー制度を経て入所するケースなどがそれにあたります。
「定期採用」=2月 or 4月入所、「中途採用」=タイミングにより変動と覚えておくとよいでしょう。
就職活動はいつから始めるべき?最適なタイミングとは

「いつから就活を始めればいいのか分からない」と悩む人は多いですが、監査法人への就職活動は早く動く人ほど有利です。ここでは、就活のスタート時期や法人の採用動向、スケジュール管理のポイントを解説します。
公認会計士試験の合格発表が起点
監査法人の就職活動は、公認会計士試験の合格発表(11月中旬)が大きな起点となります。発表とほぼ同時に各法人が説明会や選考を開始するため、合格後に動き出すのでは遅いのです。
実際には、合格発表前の10月ごろから事前エントリーや説明会の募集が始まっており、参加しておくとスムーズに選考に入れることが多くあります。
特にBIG4では「早期選考枠」や「リクルーター面談」などが用意されており、合格前から準備を進めていた人が優先的に選考へ進むケースが一般的です。
監査法人が採用活動を本格化させる時期
監査法人の採用活動が最も活発になるのは、公認会計士試験合格発表から2〜3週間以内。この期間に面接や適性検査を経て、12月初旬までに内定が出るケースがほとんどです。
一部の法人では年明けに追加募集を行うこともありますが、定員が埋まり次第終了となるため、「出遅れる=選択肢が狭まる」ことを意味します。
このため、就職活動は遅くとも合格発表直後から始めるのがベストです。
内定を逃さないための就活スケジュール管理術
内定を逃さないためには、事前に次のような準備が欠かせません:
•10月〜11月初旬:各法人の採用情報・説明会をリスト化
•11月中旬:合格発表日に即エントリー・書類提出
•11月下旬〜12月上旬:面接ラッシュに備えた対策と日程調整
スケジュールを可視化し、どの法人がどのタイミングで何をしているのかを把握することが、内定獲得の第一歩です。
ExcelやGoogleカレンダーなどで日程を管理し、バッティングを避ける工夫も必要です。
BIG4と中小監査法人で違う?入所時期の傾向を比較

監査法人への入所を検討する際、BIG4と中小監査法人で入所時期や採用スタンスに違いがあることを理解することは重要です。それぞれの特徴を把握することで、自分に合った就活スケジュールを組むヒントになります。
BIG4の入所スケジュールの特徴とは
BIG4(EY新日本有限責任監査法人・有限責任あずさ監査法人・有限責任監査法人トーマツ・PwC Japan有限責任監査法人)は、2月1日入所が通例となっており、11月中旬から12月上旬に内定が出るのが一般的です。
この入所時期に合わせて、以下のような流れで動きます:
•10月〜11月:リクルーター面談や説明会
•11月中旬:公認会計士試験の合格発表直後に選考開始
•12月上旬:内定通知
•2月1日:一斉入所+導入研修スタート
BIG4では、同期入所の人数も多く、体系化された研修制度が整っているため、早期に実務スキルを習得したい方に向いています。
中小監査法人は柔軟な対応が多い
一方で、中小監査法人では、採用のタイミングや入所時期に柔軟な対応をしているケースが多く見られます。
2月・4月の入所を基本としつつ、希望者には「相談のうえ入所月を調整」する法人も存在します。
また、中小法人では繁忙期の人手不足を補うため、通年採用や臨時募集を行うこともあり、急ぎで内定を出すケースも。自分の状況に合わせた就職活動が可能なのが魅力です。
少人数ゆえのスピーディーな意思決定や、個人の希望に寄り添った対応が期待できます。
志望先によって変わる戦略の立て方
どの監査法人を志望するかによって、就活の戦略は大きく変わります。
たとえば、「絶対にBIG4に行きたい」という方であれば、合格前からリクルーター面談に参加し、11月中旬には書類と面接対策を完了しておくべきです。
一方で、「自分のペースで働きたい」「地元に近い法人がいい」といった希望がある場合は、中小監査法人の情報を調べて、複数の選択肢を持っておくことが得策です。
入所時期だけでなく、法人の社風や働き方も総合的に判断して戦略を練ることが、後悔しない就職につながります。
入所までにやっておきたい準備とは?

監査法人への入所が決まったら、ホッと一息…ではなく、スタートラインに立ったにすぎません。入所前の準備をどれだけ行うかで、同期とのスタートダッシュに大きな差が生まれます。ここでは、内定後にやっておくべき3つの重要な準備を紹介します。
入所前研修やトレーニー制度の活用
BIG4や一部の中小監査法人では、入所前に研修や実務体験ができる「トレーニー制度」を設けています。これは、内定者を対象に短期間の業務に従事させる制度で、実際の現場を知る貴重な機会となります。
また、法人主催のeラーニング形式の研修や、ビジネスマナー講座などが提供されることもあり、積極的に参加することで業界理解が一段と深まります。
トレーニー期間での働きぶりが評価されることもあるため、本番さながらの意識で臨みましょう。
Excelや会計ソフトなどの実務スキルの習得
監査業務では、Excelスキルは“基礎中の基礎”です。
VLOOKUP、IF関数、ピボットテーブル、SUMIFなどの関数は最低限習得しておくと安心です。
また、勘定科目や仕訳の基本知識も復習しておくと、導入研修での理解が深まります。
法人によっては、会計ソフト(勘定奉行、弥生会計、freeeなど)の知識が求められることもあるため、基本的な使い方に触れておくのもおすすめです。
「実務未経験OK」とはいえ、最低限のITスキルがあると現場での信頼度が大きく変わります。
同期と差をつけるための情報収集法
入所までの期間は自由に使える時間でもあり、ここで何をするかがその後の成長スピードを左右します。
•公認会計士の実務ブログやSNSをチェックして、現場で必要とされるスキルや業務内容を把握
•実務書やビジネス書を数冊読むことで、会計以外の知識にも幅を広げる
•同期となる予定の仲間と交流を持ち、人的ネットワークを築いておく
こうした情報収集によって、“準備ができている新人”として好印象を与えることができます。
就活で後悔しないために押さえておきたいポイント

監査法人への就職活動はスピード勝負な一方で、焦って判断して後悔する人も少なくありません。ここでは、後悔しない就活をするために、必ず押さえておきたいポイントを3つに整理して紹介します。
志望法人の採用スケジュールを正確に把握する
まず最も重要なのが、各監査法人の採用スケジュールをしっかり把握することです。
法人ごとに説明会やエントリー開始日、面接時期、内定通知のタイミングが異なるため、「いつ、どこに、何を出すか」を一覧表などで管理することが不可欠です。
特にBIG4は日程がかぶることも多く、1社に気を取られているうちに他社の選考が終わっていた、というケースもよくあります。
自分の志望度に合わせて優先順位をつけ、効率的にスケジュールを組み立てましょう。
早めに動くことが最大のアドバンテージ
監査法人の就職活動では、「早めの行動」がとにかく強いです。
公認会計士試験の合格発表から約2週間が勝負であり、その間に内定を出し切る法人も多いため、スタートダッシュの準備は必須です。
10月〜11月の段階で、以下のことを済ませておきましょう:
•志望法人のリストアップと情報収集
•リクルーター面談やセミナーの予約
•自己分析や志望動機の言語化
「いつか動こう」ではなく、「今すぐ動く」ことが差をつける第一歩です。
相談できる人脈をつくっておこう
就活では、一人で抱え込みすぎると判断を誤ることもあります。
そんな時に大事なのが、「相談できる人」がいること。
•すでに監査法人で働いている先輩
•受験仲間や予備校の講師
•エージェントやキャリアセンターのアドバイザー
これらの人たちに話を聞くことで、客観的な視点やリアルな情報が得られ、自分に合った選択がしやすくなります。
就活を“チーム戦”と捉え、早いうちから人脈づくりにも力を入れておきましょう。
まとめ

この記事を読むことで、監査法人の入所時期や就職活動の最適なスケジュール、法人ごとの違いを把握できましたか?
不安だった「いつ動けばいいのか」「どう準備すればいいのか」への答えは、少しずつクリアになったのではないでしょうか。
監査法人への就職は、キャリアの第一歩であり、そのスタートをどう切るかは将来に大きな影響を与えます。2月や4月といった入所タイミングの違い、BIG4と中小法人それぞれの特徴、そして事前準備やスケジュール管理の重要性を知ることで、自信を持って就職活動に臨めるはずです。
これから本格的に始まるキャリアの第一歩。焦らず、でも確実に行動することで、あなたにとって最適な監査法人との出会いが待っています。
「情報を制する者が就活を制す」——その意識を忘れず、一歩先を行く行動を今から始めましょう。