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監査法人の初任給の相場は?大手・準大手・中小の3段で解説【2026年版】

監査法人の初任給を調べると、月30万円と書いてあるページもあれば、月40万円を超える数字を載せているページもあります。どれが本当なのか、迷ったことはありませんか。

2026年時点の中心は、月36万5千円前後です。ただし同じ「36万5千円」でも、固定残業代が入っている法人と入っていない法人があり、手元に残る金額はまったく違います。

この記事では、各法人の公式な募集要項で実際に確認できた金額だけを使い、大手・準大手・中小の3区分で初任給の相場を整理します。法人ごとの一覧が知りたい方は監査法人の初任給ランキングへ、1年目の手取りが知りたい方は公認会計士の初任給と1年目の手取りへどうぞ。

この記事の要点

  • 2026年時点の相場は月36万5千円前後。大手と準大手の差はほとんどない
  • 同じ額面でも固定残業代込みの法人があり、時間あたりの価値は別物
  • 首都圏と地区で1万8千円〜2万円の差がつく法人がある
  • 賞与の回数は年2回が中心。年3回の法人もあり初年度の年収が変わる
  • 賞与の月数を出しているのは中小の一部だけ。大手・準大手は回数しか出していない
  • 初任給は横並びなので、法人選びの決め手にはならない

監査法人の初任給はいくら?2026年の相場

監査法人の初任給は、首都圏の勤務で月36万5千円前後が中心です。公認会計士論文式試験の合格者を採用する枠での金額で、大手と準大手のあいだに大きな開きはありません。

公式の募集要項で金額を確認できたのは、大手4法人のうち3法人、準大手4法人のうち3法人。残る2法人は公開ページから金額を読み取れず、下の表には入れていません。

区分 初任給(月額)の目安 確認できた法人数 固定残業代 賞与
大手(BIG4) 首都圏 365,000円/地区・その他事務所 345,000〜347,000円 4法人中3法人※2※3※4 確認できた3法人はなし 年2回
準大手 350,000〜365,000円 4法人中3法人※5※6※7 確認できた3法人はなし 年2回または年3回
中小 法人ごとの差が大きく、横並びの相場を出せない 公式ページで確認できず 固定残業代込みの提示もある 法人規程による

表1:区分別の初任給の目安(2026年8月に各法人の公式採用ページで確認)

中小の初任給を一律に語れないのは、法人ごとに業務の中身が違うからです。学校法人の監査を見ると、監査法人が担当する1,387件のうち1,136件を中小が受けています※1。主戦場が区分で分かれています。

額面が大手を上回る提示を見かけることもあります。その場合はまず、固定残業代が含まれていないかを疑ってみてください。

一般的な大学卒の水準と比べると、差ははっきりしています。厚生労働省の調査では、大学を卒業したばかりの人の賃金は月26万2,300円※8。監査法人の首都圏の金額はその約1.4倍です。

なぜ大手と準大手でほぼ同じ金額なのか

採用の競争相手が同じだからです。論文式試験の合格者という限られた人数を8法人で取り合う構造のため、金額を下げた法人から候補者が離れます。結果として横並びに近づきます。

公認会計士・監査審査会は、大手監査法人が若手の定着を図るために給与水準の引上げを含む人事施策を進めてきたと記しています※1。上げた法人に他が追随する流れが、この数年続いてきました。

背景には人の取り合いがあります。公認会計士の登録者数は2026年3月末で37,715人まで増えた一方、監査法人に所属する人は14,915人にとどまります※1。資格を取っても監査法人以外へ進む人が増えている構図です。

一般企業の経理責任者やコンサルティング会社など、選択肢が広がったぶん、監査法人は待遇で引き止める必要が出てきました。初任給の上昇は、その結果として見るのが正確です。

そもそも大手と準大手という区分は、審査会が規模で分けたものです。給与の格付けではありません。

区分 審査会による定義 該当する法人
大手監査法人 上場国内会社を概ね100社以上被監査会社として持ち、常勤の監査実施者が1,000名以上 有限責任あずさ監査法人/有限責任監査法人トーマツ/EY新日本有限責任監査法人/PwC Japan有限責任監査法人の4法人
準大手監査法人 大手監査法人に準ずる規模 仰星監査法人/三優監査法人/太陽有限責任監査法人/東陽監査法人の4法人
中小監査法人 大手・準大手以外の監査法人 上記8法人以外のすべて

表2:監査法人の3区分(出典※1)

就職情報サイトでときどき見かける「中堅監査法人」という区分は、この分類には存在しません。見るべきは大手・準大手・中小の3つ。

初任給が並んでいるなら、次に見るべきは中身です。準大手の採用や働き方は準大手監査法人の採用市場で整理しています。

2027年7月1日に予定されている合併について

三優監査法人と仰星監査法人は、「監査法人BDO Japan」の創設に向けて合併することで基本合意しました。合併予定日は2027年7月1日です。

  • 両法人は対等の精神に基づいて合併します。法令上の手続としては、仰星監査法人を存続法人、三優監査法人を消滅法人とする合併方式が想定されています。
  • 合併後の規模は業務収入 約110億円(2026年6月期見込)・人員822人(非常勤を含む)・被監査上場会社192社と公表されています。いまのどちらの法人よりも大きな規模になります。
  • 2027年に入所する人は、2027年7月1日に所属する法人の名称が変わります。初任給や待遇の条件は、各法人がいま公表している募集要項が基準です。

この記事で準大手4法人(太陽・三優・東陽・仰星)として並べているのは、2027年6月30日までの区分です。

出典:三優監査法人「「監査法人BDO Japan」の創設に向けた検討について」(2026年7月27日公表・2026年8月31日確認)

額面の数字だけを見ると判断を誤ります

同じ月36万5千円でも、固定残業代が入っていれば、その分だけ実質の基本給は下がります。額面の大小より、中に何が含まれているかを先に確かめてください。

今回確認できた6法人は、いずれも固定残業代なしで、時間外勤務手当は別に支給する形でした※2※3※4※5※6※7。業界全体を見れば、固定残業代を含んだ額面を提示する法人もあります。

手当の扱いも法人によって違います。ある大手は月36万5千円の中に首都圏手当2万円とワークサポート手当(東京)1万円を含むと明記しています※4。含む書き方か、別途支給かで、実態は変わります。

確認する項目 募集要項で見るポイント 見落とすとどうなるか
固定残業代の有無 「固定残業代なし」か「みなし◯時間分を含む」か 残業しても手当が増えない前提で入所してしまう
勤務地による差 首都圏と地区で金額が分かれていないか 地方配属で想定より1万8千円前後低くなる
手当が含まれるか 首都圏手当・地域手当が額面の内か外か 手当込みの額面と手当別の額面を同列に比べてしまう
賞与の回数と時期 年2回か年3回か、決算賞与があるか 初年度に賞与が何回入るかを読み違える
入所日と試用期間 1月か2月か、試用期間の条件が変わるか 初年度の在籍月数を数え間違える

表3:募集要項で必ず確認する5項目

固定残業代を引くと、額面の順位が入れ替わります

額面の高さは、固定残業代が入っているかどうかでほぼ説明がつきます。内訳まで公式の募集要項に載せている3法人を、額面順と基本給順の両方で並べてみます。

法人 額面(月額) 内訳 固定残業代を除いた基本給 額面順→基本給順
Forvis Mazars Japan有限責任監査法人※9 490,000円 固定残業代30時間分89,400円を含む 400,600円 1位→2位
史彩監査法人※10 440,000円以上 固定残業代なし・時間外は別途支給 440,000円以上(全額) 2位→1位
RSM清和監査法人※11 416,667円〜 みなし時間外手当40時間分101,351円を含む 315,316円 3位→3位

表4:額面の内訳を公式に公開している3法人(2026年8月に各法人の公式採用ページで確認)

額面で見ると、Forvis Mazars Japanが史彩を5万円上回ります。固定残業代を引くと、この2法人はそのまま入れ替わります※9※10。

RSM清和の416,667円は、大手の365,000円を5万円上回る額面です。ところが基本給は315,316円で、大手を約5万円下回ります※11。額面の順番と、時間あたりの価値の順番は一致しません。

大手・準大手の365,000円や350,000円には固定残業代が含まれていません※4※5。残業した分は別に払われるので、額面がそのまま基本給になります。

求人サイトの「初任給が高い監査法人ランキング」は、たいてい額面順です。並べ替える軸を変えるだけで、順位は変わります。

初任給には出てこないお金と、無い手当

監査法人は毎月の手当が少なく、その代わりに実務補習所の費用や協会の登録費用を法人が持つ形が中心です。この部分は初任給の数字に現れないため、比べるときに抜け落ちます。

公式の募集要項で確認できた6法人の諸手当欄に共通して並ぶのは、時間外勤務手当、通勤手当、出張手当、休日勤務手当※2※3※4※5※6※7。住宅手当や家賃補助を挙げている法人はありませんでした。

毎月の資格手当という形も見当たりません。ただし資格取得の報奨金を用意する法人はあります※7。手当が無いことと、資格に対する支援が無いことは別です。

むしろ効いてくるのが、合格後にかかる費用の扱いです。実務補習所の費用と公認会計士協会の登録費用・年会費を全額負担すると明記している法人もあります※4。

項目 募集要項で確認できた内容 初年度への効き方
実務補習所の費用 全額を法人が負担すると明記する法人あり※4/修了考査向けの専門学校授業料や受験料を補助する法人あり※6 数十万円単位の自己負担が消える
協会の登録費用・年会費 全額を法人が負担すると明記する法人あり※4 毎年かかる固定費が下がる
試験休暇 修了考査などのための休暇制度を置く法人あり※3※6※7 有給を削らずに勉強時間を確保できる
転居費用の補助 100キロ以上の転居で30万円を支給する法人あり※7 地方から出てくる場合の初期費用を圧縮できる
住宅手当・家賃補助 確認した6法人の諸手当欄に記載なし 家賃は自分で持つ前提で試算する
毎月の資格手当 確認した6法人の諸手当欄に記載なし。資格取得報奨金の例はあり※7 合格後も月給が自動で上乗せされるわけではない

表5:初任給の外側にあるお金(2026年8月に各法人の公式採用ページで確認)

在学中に合格した場合の扱い

学生のまま合格した人は、卒業まで非常勤として契約し、卒業後に正職員へ切り替える運用があります※6。この期間は契約条件が別に決まるため、初任給の金額がそのまま当てはまるわけではありません。

試用期間の長さも法人ごとに違います。確認できた範囲では3か月の法人と6か月の法人があり、就業条件は変わらないと明記している例もありました※4※5※6※7。

初任給から1年目の年収がどう決まるか

初年度の年収は、月給に加えて賞与の回数と入所月で決まります。同じ初任給でも、年3回賞与の法人と年2回の法人では、1年目に受け取る回数が変わります。

入所日も効いてきます。ある大手は2027年2月1日を入所日として明記しています※4。1月入所の法人であれば、その年に在籍する月数が1か月多くなります。

賞与の支給月も法人ごとに違います。6月と12月の年2回が多いなか、6月・8月・12月の年3回という例もありました※5。合格発表から初任給、初回賞与までの流れは下の図のとおりです。

賞与の月数を出している法人なら、年収を概算できます

賞与が月給の何か月分かを公表している法人なら、月給×(12+賞与月数)で年収の目安を出せます。公式の募集要項で月給と賞与の月数を両方確認できたのは、中小の5法人でした。

法人 月給 賞与 月給×(12+賞与月数)
監査法人A&Aパートナーズ※12 366,000円以上(論文式全科目合格) 5.2ヵ月(3年平均) 約630万円
新創監査法人※13 36万円以上(合格者1年目) 年2回・標準2ヶ月/2025年度実績4.6か月 標準 約504万円/実績 約598万円
監査法人Growth※14 360,000円以上 年2回・標準4か月+決算賞与 約576万円+決算賞与
ESネクスト有限責任監査法人※15 360,000円 年2回・年間4ヶ月以上+決算賞与 約576万円以上+決算賞与
アーク有限責任監査法人※16 350,000円(首都圏手当10,000円含む・前年実績) 年2回・年間4ヶ月(前年実績) 約560万円

表6:賞与の月数を公表している5法人と、月給×(12+賞与月数)で出した年収の目安(2026年8月に各法人の公式採用ページで確認)

この式で出るのは、月給と賞与だけを足した通年の金額です。決算賞与と時間外勤務手当は入っていません。手取りではなく額面の話でもあります。

入所した年はもっと低く出ます。1月または2月の入所なので、初年度に在籍する月数が12か月に届かないからです。

年俸で出している法人もあります。監査法人コスモスは公認会計士試験合格者を年俸制500万円以上とし、その16分の1を毎月支給して残りを賞与時に支給すると書いています※17。

大手と準大手は、賞与を「年2回」「年3回」という回数でしか書いていません。公式の募集要項を確認した6法人のうち、月給の何か月分かを載せている法人は0でした※2※3※4※5※6※7。回数だけでは金額に換算できません。

逆に、賞与の月数だけを出して月給を載せていない法人もあります。監査法人アヴァンティアは定期賞与を年2回・前年度実績で各2か月分以上と書いていますが、月給の金額は載せていません※18。この場合も同じ式は使えません。

年収を概算できるかどうかは、法人の規模ではなく、どこまで数字を出しているかで決まります。気になる法人が月数を出していないなら、説明会で直接聞くのが早いです。

額面から税と社会保険料が引かれた手取りは、また別の話になります。月ごとの手取りと初年度の年収は公認会計士の初任給と1年目の手取りで計算しています。賞与の条件だけを詳しく知りたい方は監査法人の賞与はいつ・いくらへ。

初任給が横並びなら、何で法人を選ぶか

同じ給与でも、働く時間と任される仕事の中身は区分によって違います。金額が並んでいるからこそ、時間あたりの価値と経験の中身で比べる価値があります。

審査会の資料では、大手監査法人の年間平均執務時間は概ね2,000時間前後で推移し、近年は緩やかに減っています。準大手はそれより低い水準です※1。同じ月36万5千円でも、割ってみると数字が変わります。

担当する被監査会社の数も区分で大きく違います。法定監査を受ける会社のうち監査法人が担当する4,117社の内訳は、次のとおりです※1。

もうひとつ、1年目の中身が変わりつつあります。監査サンプルの抽出や帳票の突合せ、調書の下書きといった若手の定型作業はAIによる代替が進み、下積みの期間が短くなってきました※1。

同じ初任給でも、何を任されるかは法人のIT投資で変わります。説明会でAIやITツールの使いどころを聞くと、その法人の温度がわかります。

勤務時間の設定も一律ではありません。9時30分から17時30分の法人が多いなか、10時から18時という法人もありました※7。始業と終業の時間帯がずれているだけで、1日の実働時間はどちらも8時間です。朝型か夜型かで、通いやすさの感じ方は変わります。

入所したあとの給与は、年次と役職で上がっていきます。スタッフ、シニアスタッフ、マネージャー、シニアマネージャー、パートナーの5段階です。

ひとつ知っておきたいのが、マネージャー以上は年俸制で賞与がないという点。役職別の年収カーブは監査法人の年収を年齢・役職別に整理した記事にまとめました。

準大手を志望するなら、太陽・三優・東陽・仰星の4法人が対象です。中小まで視野を広げるなら中小監査法人の年収もあわせてご覧ください。

法人ごとの初任給を調べたいときは

法人単位の金額を並べて見たい場合は、専用の一覧記事のほうが早いです。この記事は区分ごとの相場と読み方に絞っています。

どの記事を読むにしても、最後は志望する法人の募集要項に当たってください。金額は毎年11月の合格発表に向けて改定されます。

2027年に入所する人向けの金額は、これから各法人が公表します。今の水準から据え置きか、わずかに上がるかというあたりを見ておけば大きくは外れません。

よくある質問

監査法人の初任給は大手と準大手で違いますか?

ほとんど差がありません。公式の募集要項で確認できた範囲では、大手の首都圏が月36万5千円、準大手が月35万円から36万5千円でした※2※3※4※5※6※7。初任給で法人を選ぶ材料にはなりにくい水準です。

初任給に残業代は含まれていますか?

今回確認できた6法人は、いずれも固定残業代なしで時間外勤務手当を別に支給する形でした※2※3※4※5※6※7。業界全体では固定残業代込みの額面を提示する法人もあるため、募集要項の但し書きまで目を通しておくと安全です。

地方の事務所だと初任給は下がりますか?

下がる法人があります。大手のうち2法人は首都圏と地区で金額を分けており、その差は1万8千円から2万円※2※3。勤務地が選べるかどうかも含めて見ておきたいところです。

1年目の年収はどのくらいになりますか?

月給に賞与と時間外手当が加わります。賞与の月数を公表している中小5法人で月給×(12+賞与月数)を計算すると、通年でおよそ504万円から630万円になります※12※13※14※15※16。大手と準大手は賞与の月数を公表していないため、同じ計算ができません。入所が1月か2月かで在籍月数が変わるため、初年度はこの金額より低く出ます。具体的な金額は1年目の手取りを扱った記事で計算しました。

初任給が高い法人を選べば得ですか?

額面が高くても、固定残業代が含まれていれば時間あたりの単価は下がります。額面の内訳と、年間の執務時間をあわせて見ないと判断できません。中小は法人ごとの色が濃いため、一括りにせず個別に確認するのが確実です。

まとめ

監査法人の初任給は、2026年時点で首都圏の月36万5千円前後が中心。大手と準大手のあいだに実質的な差はありません。

見るべきは額面ではなく中身です。固定残業代の有無、手当が含まれるか、勤務地で分かれるか、賞与が年何回か。この4つを募集要項で確かめれば、数字の意味がそろいます。

初任給で差がつかないなら、法人選びの軸は別のところにあります。執務時間、担当する被監査会社の規模、任される範囲。そこを見比べてから、説明会で質問をぶつけてみてください。

参考文献・出典