就活ノウハウ

監査法人の社風とは?就活成功のためのチェックポイント

「監査法人の就職活動で、どういった社風が合うのか分からない」

公認会計士試験に合格し、企業研究を始めたばかりでそう感じてはいませんか?

今回の記事では、公認会計士試験に合格した就活生の方に向けて、以下の内容を解説します。

  • 監査法人の社風の種類
  • 各法人の社風の特徴
  • 自分に合った監査法人を選ぶ際のポイント
  • 業界研究と情報収集の方法
  • 社風に合わせた採用選考の対策

大手から準大手、中小の監査法人まで、社風によって自分に合う法人は異なります。


自分に合う社風選びを通して、自分にぴったりの監査法人を見つけたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

なぜ社風が法人選びで大切なのか

なぜ社風は就職活動の法人選びで最も大切なのでしょうか。

以下で、次の2点について紹介します。

  • 社風が法人選びで重要な理由
  • 法人による社風の違い

では、ひとつずつ見ていきましょう。

社風が法人選びで重要な理由

公認会計士試験に合格した就活生にとって、就職活動の次なるステップは法人選びです。

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大手から準大手、中小まで監査法人が数多い中で、自分に合った就職先を見つけるのは簡単ではありません。

法人選びで社風が大切な理由は、法人の価値観や働く環境、人間関係などをわかりやすく表しているからです。たとえば、監査法人の中には、職員同士のコミュニケーションが活発でオープンな社風が魅力とされるケースもあるでしょう。そのため、自分の価値観や働き方に合った法人を見つけるためには、社風を調べることが重要です。

仕事のやりがいや自己成長をしながら、長く気持ちよく勤務できる社風を持つ監査法人を選びましょう。

法人による社風の違い

監査法人ごとにさまざまな社風があります。職員の自主性や創造性を重視する風通しのよい社風の法人もあるでしょう。例として、規模の小さい監査法人の場合、職員同士の距離感が近く、個々の職員の意見が尊重され、自由な発想で新しいプロジェクトに取り組む姿勢を求める可能性があるかもしれません。

一方で、組織内の統一感やトップダウンを重視する保守的な社風のところもあるでしょう。

自分の働き方や人間関係、仕事を通じた成長の方向性に合致する社風かどうか見極めると、長期間充実して働ける法人が見つかります。

さらに、各法人のビジョンや成長目標によっても社風は影響を受ける傾向があります。したがって、自分のキャリアパスとマッチする法人を選ぶ際には、経営理念や成長戦略も踏まえた上で社風をチェックするとよいでしょう。

監査法人の社風の種類

監査法人の社風の特徴は、法人規模の種類によって次の3つに分けられます。

  • 大手監査法人の社風の特徴
  • 準大手監査法人の社風の特徴
  • 中小監査法人の社風の特徴

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特に1番目の「大手監査法人の社風」は、国際的な取引と関わるケースも多いため、グローバルな視点で業務を行う傾向があります。

以下、具体的にご紹介します。

大手監査法人の社風の特徴

BIG4とも呼ばれる日本の大手監査法人は次の通りです。

各社とも世界的に広がるネットワークと高い専門性を誇ります。日本国内において、大手監査法人は多くの大手企業の主要な監査業務を担っており、業界のスタンダードとなっていると言えるでしょう。

一般的に、大手監査法人は競争が激しく、高い目標設定とチャレンジ精神が求められる社風が見受けられます。多岐にわたるサービス展開とプロジェクトチームによるサポートが魅力です。

例として、有限責任監査法人トーマツは、職員同士が人間性や才能といった多様性を尊重しながら、協働で被監査会社のための最善策を組み立てていく社風があります。

参照:想像以上に真面目、想像以上に自由|デロイト トーマツの人|デロイト トーマツ グループ|Deloitte

準大手監査法人の社風の特徴

日本で準大手監査法人と呼ばれるのは以下の4法人です。

準大手監査法人は、大手監査法人と比較すると中小企業を対象とした業務が多い傾向なのが特徴です。顧客との距離感が近い点はもちろん、社内もより個人的な人間関係のつながりを重視し、職員同士の連携に力を入れる社風が一般的です。

例えば、豊富な業界知識とベンチャー企業への支援で知られる三優監査法人は、職員一人ひとりの個性に応じたきめ細かなコミュニケーションを通じて、柔軟な働き方や個人の才能を伸ばす社風を持っています。

参照:IPOについて|新卒・キャリア採用情報 – 三優監査法人

中小監査法人の社風の特徴

中小監査法人では、大手監査法人や準大手監査法人に比べてより一段とフラットな組織が目立ちます。職員一人ひとりの意見が尊重される場合が多く、自由でクリエイティブな働き方ができる環境が用意されているところが一般的です。

また、監査法人により業界・業種に特化したサービスに強みを持つ企業も見られます。多くの中小監査法人では、地域企業との密接な関係を築いており、職員同士の強いつながりを通じてフットワークの軽さが特徴です。入所後、早い段階で幅広い経験を積める、大手に比べてより深い税務知識が現場で求められスピーディーにスキルアップできる、といったメリットがあります。

参照:日本公認会計士協会『どこで磨くか どこで輝くか | 中小監査事務所 就職ガイドブック』

社風を判断するチェックポイント

業界研究で社風を判断するチェックポイントは次の3つです。

  • 法人の価値観とビジョンは一致しているか
  • チームワークとコミュニケーションに優れているか
  • 研修制度と福利厚生は充実しているか
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中でも2番目の「チームワークとコミュニケーションに優れているか」という点は、働きやすい人間関係を通じて自己の成長につながる大切な視点です。

以下でひとつずつ解説します。

ポイント1:法人の価値観とビジョンは一致しているか

法人の価値観と自身のビジョンが一致するかどうかは、社風の判断をする際に重要です。なぜなら、組織の目指す方向性を職員の一人として理解し、自分がその中でどういった貢献を通じて活躍できるのかを見極める鍵を握るからです。

専門学校主催の合同説明会や監査法人の各種イベントでの情報収集を通して、法人のビジョンや長期的な経営戦略を把握し、自分のキャリアビジョンと共通点があるか検討しましょう。就職先法人の成長ビジョンと自分のキャリアビジョンがマッチしている場合、働きがいやモチベーションの維持につながります。

ポイント2:チームワークとコミュニケーションに優れているか

さまざまなプロジェクトが進行する監査法人では、業務においてチームワークが求められます。

コミュニケーションがフラットでオープンな空気が特徴の法人なら、メンバー間の信頼も厚く、仕事の効率とクオリティの向上が期待できます。

例えば、大手監査法人をはじめ、業務効率化のため以下のような法人内のコミュニケーション活性化に取り組むケースが一般的です。

  • チームビルディングによる職員のスキルや経験の最大化
  • データ一元化などを通じた各部署間の連携強化
  • 自由な意見交換やアイデアを生み出す法人内のセミナーや交流会の開催

業界研究を通して、法人のHPや口コミサイトでの職員の声などから法人内のコミュニケーション文化を探り、法人内の雰囲気が自分に合うかどうかを確認しましょう。

参照:インタビュー/会計監査:山口千里(PwCあらた有限責任監査法人 中途採用) | PwC Japanグループ

参照:オンボーディング(入社後のサポート) | PwC Japanグループ

ポイント3:研修制度と福利厚生は充実しているか

法人の人材育成への取り組みと働きやすい環境を測る際は、研修制度や福利厚生の充実度も参考になります。職員のスキルアップと働きやすさをサポートするための制度が整っていれば、就職後、長く働き続けたいと感じるポイントになるからです。

具体的には、新卒入所後のOJTや階層別研修、健康支援など、スキルアップとライフバランスをサポートするプログラムが整っている法人がおすすめです。

例えば、準大手監査法人の三優監査法人では、公認会計士としての基礎を固める入所後すぐの新人研修、先輩が寄り添い知識とスキルの定着を図るOJT研修をはじめ、各種休暇制度やキャリア研修制度など、職員一人ひとりのキャリアアップと働き方をサポートする制度が充実しています。

法人選びの際は、候補の監査法人の採用サイトや説明会で研修制度や福利厚生の情報を確認し、ワーク・ライフ・バランスを図りやすい法人かどうかチェックしましょう。

参照:制度|新卒・キャリア採用情報 – 三優監査法人

自分に合った監査法人の社風を見極める方法3つ

以下は、自分に合った監査法人の社風を見極める3つの方法です。

  • 情報収集をする
  • 希望先法人の先輩からアドバイスを受ける
  • 法人説明会等で社風を体感する

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特に3番目の「法人説明会等で社風を体感する」方法は、実際に職場を訪れて職員の仕事ぶりを見ながら社風を肌で感じられるメリットがあります。

では、順番に紹介します。

【方法1】情報収集をする

自分に合った監査法人の社風を判断する際、幅広い情報収集が欠かせません。

具体的には、監査法人の採用サイト、SNS、業界誌など複数の情報源から、応募を検討している法人のビジョンや働く環境を調べましょう。

例えば、監査法人の採用サイトでは、理事長メッセージや経営理念をはじめ社風についての詳細がわかるパンフレットや、実際に働く職員のインタビュー動画が公開されているため、リアルな法人像をつかめます。

【方法2】希望先法人の先輩からアドバイスを受ける

大学のOB・OGとして実際にその組織で働いている先輩からのアドバイスは非常に貴重です。

先輩職員が語る経験を通じて、法人のリアルな働き方や社風を理解できるでしょう。OB・OG訪問の機会に先輩との面談をお願いすると、実際の業務内容やチームの雰囲気について直接話を聞く機会を通じて、より具体的な法人イメージを描けます。

【方法3】法人説明会等で社風を体感する

各監査法人が開催する法人説明会等に参加して、実際の業務を体験しながら法人の社風を感じてみましょう。

例えば、PwC Japan有限責任監査法人の法人説明会等では、座学だけでなく仮想クライアントを設定し情報収集や分析、プレゼンテーションに取り組みます。さらに、現場で活躍しているコンサルタントによるフィードバックや座談会も開催されるため、社風を間近に感じる良い機会となるでしょう。

法人説明会等体験を通じて、実際の業務フローや法人内のコミュニケーションの雰囲気を理解し、自分に合う法人かどうかを判断できます。

参照:インターンシップ&イベント情報 | PwC Japanグループ

監査法人の社風とワークライフバランス

大手監査法人とワークライフバランスの現実

大手監査法人は、その専門性とグローバルなリーチから多忙な職場であると広く認識されています。プロジェクトの締め切りや被監査会社の期待に応えるため、職員はしばしば長時間労働を強いられることがあります。しかし、これらの法人は職員のワークライフバランスを改善するための取り組みも積極的に行っています。

例えば、柔軟な勤務時間の導入、テレワークの選択肢、有給休暇の奨励などがあります。また、健康とウェルビーイングを支えるために、フィットネスクラブの会費補助やメンタルヘルスサポートプログラムを提供している法人も少なくありません。これにより、職員が仕事と私生活のバランスをとりやすくなるよう配慮しています。

しかし、実際の労働状況はプロジェクトや部門によって大きく異なり、全員が同じ程度のバランスを享受しているわけではないのが現実です。特に監査繁忙期は例外なく多忙を極め、ワークライフバランスが犠牲になりがちです。そのため、大手監査法人でのキャリアを検討する際は、このような環境が自分に合っているかを慎重に考える必要があります。

準大手監査法人と中小監査法人の働き方

準大手監査法人と中小監査法人では、職員のワークライフバランスに対するアプローチが異なる傾向があります。これらの監査法人は、一般的には大手監査法人ほどの規模ではないため、職員一人ひとりの負担が大きくなる可能性がありますが、同時により密接な人間関係が形成されやすく、職場の柔軟性が高まることも特徴です。

準大手監査法人は、専門性を維持しつつも、地域社会や特定の業界に根ざしたサービスを提供することが多く、それにより職員にとってもよりバランスの取れた勤務スタイルを実現しやすい環境があります。また、これらの法人では、スタッフのキャリアパスや福利厚生に対するサポートも充実しており、職場の満足度を高めるための努力が見られます。

中小監査法人においては、フラットな組織構造が特徴的で、職員が自らの働き方をよりコントロールしやすいことがあります。小規模ながらも個々のニーズに合わせた柔軟な働き方を提供できるため、家庭と仕事のバランスを求める人には魅力的な選択肢かもしれません。しかしながら、プロジェクトや被監査会社の要求に応じて忙しくなる時期もあり、それに対応するためのサポート体制が整っているかは法人によって異なります。

全体として、準大手監査法人と中小監査法人は、その規模や特性を活かし、職員にとって働きやすい環境を提供することに注力していますが、具体的な働き方は法人の方針や文化に大きく依存します。

社風を志望動機や面接に反映させるコツ

具体的に調べた社風を実際の採用選考で活用するコツは次の3つです。

  • 社風のどこに共感したのかを明確にする
  • 社風で誤解を避けるための質問リストを用意する
  • 志望動機に社風を効果的に組み込む
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中でも、3番目の「志望動機に社風を効果的に組み込む」点は、エントリーシートや面接対策に欠かせない重要なコツと言えます。

では、ひとつずつ見ていきましょう。

社風のどこに共感したのかを明確にする

志望する法人の社風のどこに共感したのかを明確にしておきましょう。自分の就職活動に対するアプローチを具体的にするためにも大切なポイントです。

例えば、ある監査法人のオープンなコミュニケーション文化に共感し、自由な議論を叶える中で自分自身が成長したいビジョンを持っているとします。面接で上手く回答に取り入れて伝えると、自分の適性が採用側が描く人材に近い点をアピールできます。

社風で誤解を避けるための質問リストを用意する

法人研究を進める際、社風についてイメージが先行し、誤解をしてしまうリスクがあります。そのため、事前に質問リストを用意し、面接時にしっかりと面接官に確認すると良いでしょう。

一例として、応募先のフレックスタイム制度に興味を持っているとしましょう。具体的な運用条件や取り組みの実態など、実際の働き方にどう影響するのかを事前にリストアップしておくと、面接でスムーズに質問できます。

志望動機に社風を効果的に組み込む

応募先法人への熱意と法人理解をより具体的に伝えるためにも、志望動機に社風を効果的に組み込むこみましょう。

具体的には、大手監査法人で国際的なプロジェクトを経験したい希望があるとします。法人独自の国際的ネットワークを通じて、自分のキャリアパスにどう影響するのかを、志望動機の中で織り交ぜると、より具体性のある自己PRにつながります。

まとめ:自分に合う監査法人を選んで就活を成功させよう

最後に、今回の記事の内容をまとめてご紹介します。

  • 監査法人の社風は、大手監査法人と準大手監査法人などによって特徴と違いがある
  • 社風の判断チェックポイントは、法人の価値観、チームワーク、研修制度や福利厚生などを参考にする
  • 自分に合う監査法人を選ぶため、情報収集、先輩のアドバイス、法人説明会等などを活用する
  • 社風を志望動機や面接に反映するコツは、法人への共感を明確に表現し、効果的に文章や回答に組み込む

監査法人によってさまざまな社風があり、自分に合った法人を選びが就職活動の成功への鍵を握ります。大手監査法人の国際的なプロジェクトや、準大手監査法人の地域社会への密着したサービスなど、就職後のキャリアパスをイメージしながら社風をチェックしてみましょう。

より自分に合った法人での働き方をつかむためにも、自分の価値観やキャリアビジョンに合った監査法人を見つけ、社風を理解し、就職活動に活かしましょう。気になる監査法人を比較検討し、自分に最適な環境でキャリアを築く第一歩を踏み出してください。