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【2024年最新】監査法人の年収・満足度ランキングを公開!選び方も徹底解説

「どの監査法人が人気なのかランキングで知っておきたい」「準大手監査法人や中小監査法人を選ぶメリットは?」「監査法人を選ぶ基準は?」などお悩みではありませんか。

今回の記事では公認会計士試験を突破した就活生に向けて、以下の内容を解説します。

  • 監査法人業界の全体図と動向
  • カテゴリ別の監査法人ランキング
  • 海外10大会計事務所との関係図
  • キャリア作りに必要な監査法人の選び方

BIG4と呼ばれる大手監査法人を就職先に選ぶ方は多いですが、ご自身が描くビジョンを実現するためには、準大手監査法人なども視野に入れて検討する必要があります。

また、最近は大手監査法人の独占ではなく準大手・中小監査法人のシェアも少しずつ広がりを見せている状況で、監査法人業界の動向も徐々に変化している状態です。

超難関とされる公認会計士試験を突破したみなさんが、最適な就職先を見つけるためにも、ぜひ今回の記事を参考にしてください。

BIG4を含む監査法人の全体観と分類

PC画面

最初に監査法人の全体像と分類について整理しておきます。

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BIG4と呼ばれる大手監査法人を目指す方は多いと思いますが、近年は業界内の流れに変革も出ています。

業界全体図の比較と動向

監査法人業界は、知っての通り大手監査法人(いわゆるBIG4)が大きなシェアを占めています。BIG4だけで業界全体の監査業務を半分近く担当している状況です。

規模感で比べても、大手監査法人の次に位置する準大手監査との間には大きな差があります。2020年度の総売上で比較しても、売上高4位であったPwCあらた有限責任監査法人と5位の太陽有限責任監査法人には400億円近くの差がある状態です。big4は世界四大会計事務所(グローバルファーム)とそれぞれ提携している関係もあり、準大手や中小の監査法人よりも抱えているクライアントは多岐に渡っています。

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市場全体としては監査業務の依頼数は増加傾向にあり、大手を中心に企業側も監査先を選別している状況です。

近年は監査の厳格化が進み、監査工数が増えたことで、監査報酬の値上げ・社内体制の整備・人員整理など対応すべき内容が増え、大手監査法人もクライアントを選ぶ必要性が出ています。したがって、準大手や中小監査法人にはチャンスが生まれ、ジリジリと取引数を伸ばしている状況です。

金融庁の令和5年版モニタリングレポートの統計でも、IPOにおける監査業務のシェアは大手監査法人が高いとしつつも、準大手・中小監査法人のシェアが増加している傾向にあると記載しています。

そもそも15年前に起きた東芝の会計不正事件がきっかけで、監査が年々厳格化している状況ですので、今後も大手監査法人だけでなく、準大手や中小監査法人の動きには注目していく必要があるでしょう。

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業界全体の流れを踏まえつつ、自分の価値観やキャリアに合わせた選択ができる指標として、後ほど監査法人ランキングを詳しく解説していきます。

大手監査法人の一覧

大手監査法人は次の4法人です。

  • 有限責任あずさ監査法人
  • 有限責任監査法人トーマツ
  • EY新日本監査法人
  • PwCあらた有限責任監査法人

公認会計士の就職先として多くの方が目指している監査法人であり、在籍する公認会計士やパートナーの数は準大手や中小監査法人よりも圧倒的に多いといえます。

準大手監査法人の一覧

準大手監査法人は次の5法人です。

  • 三優監査法人
  • 太陽有限責任監査法人
  • PwC京都監査法人
  • 仰星監査法人
  • 東陽監査法人

規模感は小さくなるものの、準大手監査法人も次第に認知度は高まりつつあります。

中小監査法人の一覧

代表的な中小監査法人は次の3法人です。

  • アーク有限責任監査法人
  • ひびき監査法人
  • 監査法人A&Aパートナーズ

中小監査法人は200以上存在しますが、準大手に次ぐ売上の高い監査法人が上記の3法人です。

金融庁が出している会計監査の在り方に関する懇親会(令和3事務年度)の資料にも記載がありますが、大手監査法人から中小監査法人へ会計監査人を変更する傾向もあります。2020年6月期と2021年6月期で比較しても、大手から中小監査法人へ会計監査人を異動した件数は49件にも及び、需要は高まりつつあるでしょう。

監査法人の人気ランキングは?一番人気があるのは?

パソコン画面を見ながらミーティングをしている男性の手

公認会計士試験を突破した就活生から人気があるのは、大手監査法人です。

全体の数値で見ると、おおよそ大手監査法人の採用者数は合わせて1000〜1200名程度採用、準大手・中小で合わせて500〜600名程度採用しています。

一方で、公認会計士試験の突破者数が2022年度で1400名程度であり、その内の8割〜9割は就職に進みますが、準大手だけでは枠がそもそも小さいこともありほとんどの方が大手監査法人を希望することになります。

ちなみに、監査法人別の人気度についてはどの視点を切り取って判断するかによって異なるでしょう。

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各データを細かく統計し、カテゴリに分けてランキングを作成しました。総合的判断ができるよう四大監査法人だけでなく、準大手や中小も含めた結果にしていますので一つの指標として参考にしてください。

カテゴリ別!監査法人ランキング表

オフィス街

では本題として、知っておくべきカテゴリ別の監査法人ランキングを見ていきます。

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業務及び財産の状況に関する説明書類や金融庁データなど一次情報をメインに統計したランキングです。

監査法人売上ランキング

順位監査法人売上高(単位:百万円)
1位有限責任監査法人トーマツ138,814
2位有限責任あずさ監査法人111,098
3位EY新日本監査法人106,431
4位PwCあらた有限責任監査法人56,458
5位太陽有限責任監査法人14,256
6位PwC京都監査法人6,735
7位東陽監査法人4,649
8位仰星監査法人4,144
9位三優監査法人3,749
10位アーク監査法人1,892
※2022年度の5月〜6月決算発表のデータを元に作成

今回集計している売上高には「監査証明業務」「非監査証明業務」の2つを含んでいます。

監査法人の規模感で比較するならば、大手監査法人+太陽有限責任監査法人がやはり強い形です。特に、有限責任監査法人トーマツは前期比+ 12.2%を達成し、同じ大手監査法人の中でも頭一つ飛び抜けているといえます。

監査法人営業利益ランキング

順位監査法人営業利益(単位:百万円)
1位PwCあらた有限責任監査法人1,787
2位太陽有限責任監査法人1,556
3位有限責任あずさ監査法人1,352
4位有限責任監査法人トーマツ977
5位EY新日本有限責任監査法人286
※2022年度の営業利益データを元に作成

営業利益に関しては、大手監査法人+太陽有限責任監査法人の5社のみ記載しています。

大手監査法人に限っては、業務収入は増加しているにも関わらず、営業利益が前年比よりも下がっている状態となります。

要因として、監査業務増加に伴い賃金アップ・人件費増加の影響を大手監査法人は強く受けていますので、利益減少に繋がっている形です。

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監査業務の厳格化により、当面はこの流れが続く可能性があります。

ちなみに、大手監査法人の中でも営業利益に関しては有限責任あずさ監査法人がトップでしたが、近年ではPwCあらた有限責任監査法人が追い抜いている状況です。

監査法人クライアント企業(IPO)ランキング

順位監査法人IPO件数(2022年度)
1位EY新日本有限責任監査法人22件
2位有限責任監査法人トーマツ16件
太陽有限責任監査法人16件
4位有限責任あずさ監査法人8件
5位仰星監査法人7件
PwC京都監査法人7件
7位監査法人A&Aパートナーズ3件
8位かがやき監査法人2件
9位PwCあらた有限責任監査法人1件
ひびき監査法人1件
監査法人銀河1件
三優監査法人1件
有限責任大有監査法人1件
東邦監査法人1件
東陽監査法人1件
アーク有限責任監査法人1件
普賢監査法人1件
みおぎ監査法人1件
2022年度データ

EY新日本有限責任監査法人が群を抜いてシェアを獲得していますが、太陽有限責任監査法人や仰星監査法人のように、準大手監査法人も上位に食い込んでいることが分かります。

以前は大手監査法人がIPO監査先として8割占めていたものの、次第に準大手・中小監査法人がシェアを伸ばしている状態です。特に、2020年頃から変化は大きく、今や大手監査法人も50%前後のシェアに留まっているなど業界構図は変化しています。前年比と比べても大手監査法人のシェア率は9%減少した結果です。

日本公認会計士協会や金融庁の後押しもあり、引受証券会社やベンチャーキャピタルからIPO監査においては大手以外でも問題ないという風潮も出ています。さらに大手監査法人出身者が準大手や中小監査法人に流れている状況も合わせ、今後のIPO監査のシェア率は注目すべき点でしょう。

監査法人平均年収ランキング

順位監査法人平均年収
1位有限責任あずさ監査法人812万円
2位有限責任監査法人トーマツ798万円
3位EY新日本有限責任監査法人797万円
4位PwCあらた有限責任監査法人767万円
5位太陽有限責任監査法人747万円
※2023/8月時点

各監査法人による具体的な平均年収は公開されていませんので、勤務経験者が情報提供をしているopenworkにて、平均年収が記載されているデータのみまとめています。

現状、有限責任あずさ監査法人が頭一つ飛び抜けて812万円と高水準の年収です。準大手監査法人である太陽有限責任監査法人とは大きな差が発生しています。

基本的に会計士はどこも高い給与水準にはなると思いますが、平均で見ていくと大手監査法人のほうが年収は高い傾向です。スタート時は各監査法人でそこまで差がない可能性がありますが、キャリアを積み役職等がつくタイミングから、大手監査法人と準大手・中小監査法人の給与水準に差が生じると思われます。

福利厚生などの待遇面にも違いがあるので、興味を持った監査法人の募集要項は細かくチェックし、予測を立てておくのも必要です。

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今回の数値はあくまで平均年収の数値になるため、最終的には個人によって差が出ることになるでしょう。

監査法人満足度ランキング

順位監査法人満足度
1位PwCあらた有限責任監査法人3.9
2位有限責任監査法人トーマツ3.75
3位有限責任あずさ監査法人3.7
4位太陽有限責任監査法人3.67
5位PwC京都監査法人3.58
6位三優監査法人3.47
7位EY新日本有限責任監査法人3.35
8位Mazars監査法人3.2
9位監査法人アヴァンティア3,19
10位監査法人コスモス3.18
※2023/8月時点

企業口コミサイトopenworkにて、総合評価の点数が高い順でランキングにしました。評価項目は以下の通りです。

  • 待遇面の満足度
  • 社員の士気
  • 風通しの良さ
  • 社員の相互尊重
  • 20代成長環境
  • 人材の長期育成
  • 法令順守意識
  • 人事評価の適正感

満足度に関しては、必ずしも規模感や知名度だけではなく、太陽有限責任監査法人や三優監査法人のように、準大手や中小監査法人でも高い数値を獲得しております。

特に、風通しの良さや人事評価の適正感などは大手監査法人よりも準大手監査法人のほうがポイントは高い印象です。

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反対に、法令遵守意識は大手監査法人が総じて高い結果でした。

監査法人クライアント数ランキング

順位監査法人総クライアント数
1位EY新日本有限責任監査法人3,735社
2位有限責任あずさ監査法人3,482社
3位有限責任監査法人トーマツ3,242社
4位PwCあらた有限責任監査法人1,157社
5位太陽有限責任監査法人1,120社
6位PwC京都監査法人287社
7位東陽監査法人267社
8位仰星監査法人267社
9位三優監査法人218社
10位ひびき監査法人134社
※2023/8月時点

クライアント数は規模感に左右されるため、大手と準大手・中小監査法人では大きな差が発生します。大手監査法人ではEY新日本有限責任監査法人と有限責任監査法人トーマツのみが前期比を超えた結果です。

尚、大手監査法人から中小監査法人へ監査人を変えた企業は、2022年6月までの1年間で228件過去最多の数値になっています。大手監査法人の監査報酬の増加、企業側の継続監査期間の対応、企業規模に合わせた監査法人の選定など、複数の要因が絡み合っていると思われます。

世界の監査法人ランキングと国内の監査法人の関係性は?

世界地図と握手

国内の監査法人と世界の会計事務所との関係図は以下となります。

世界10大会計事務所提携先の監査法人
デロイト・トウシュ・トーマツ(アメリカ)有限責任監査法人トーマツ
プライスウォーターハウスクーパース(イギリス)PwCあらた有限責任監査法人/
PwC京都監査法人
アーンスト・アンド・ヤング(イギリス)EY新日本有限責任監査法人
KPMG(オランダ)有限責任あずさ監査法人
BDO(ベルギー)三優監査法人
RSM(イギリス)RSM清和監査法人
グラントソントン・インターナショナル
(イギリス)
太陽有限責任監査法人
ネクシアインターナショナル(イギリス)仰星監査法人
クロウ・グローバル(アメリカ)東陽監査法人
ベーカーティリー・インターナショナル
(イギリス)
監査法人日本橋事務所/監査法人グラヴィタス/如水監査法人

当然、ネットワークが広い会計事務所であれば、世界中のクライアントへサービスを提供できることになるので、提携先は一つの指標になるといえます。

加えてノウハウやスキルの共有、人材面での交流もあるため、今後の成長性やキャリアについても大きな影響を受ける形になるでしょう。

監査法人は自分なりに優先順位をつけて選ぶ

天秤

ここまで読み進めると、就職先の監査法人を選ぶには業界全体の流れを把握しつつ、各監査法人の特徴と自分なりの考えや価値観をすり合わせる大切さが伝わったと思います。

判断する項目は多いですが、選び方のポイントを4つ見ていきましょう。

キャリアプランと成長スピード

将来性を考えてキャリアの選択肢を多く持ちたいのであれば、大手・準大手監査法人にメリットがあります。

単純に、規模が大きいだけに監査法人内でステップアップを狙いやすい点もありますし、海外事務所と提携していれば海外へ出向するチャンス、省庁や大手事業会社への出向など選択肢を多く持つことが可能です。

ただし、公認会計士であれば将来的に独立を目指したい方もいるはず。独立するとなれば、大手で1つの専門分野を磨いていくよりは、監査やアドバイザリーなど多方面の力を早く身に付けられる準大手・中小監査法人を選ぶのが近道です。

大手監査法人では監査業務の量も多いため分業になりますが、準大手・中小監査法人では、一人一人の存在が大きく、多岐に渡って業務を遂行する傾向にあります。

例えば、三優監査法人では少数精鋭のチームを組んで監査を行うため、若手の内から任される仕事の範囲が広くクライアント先の裁量権ある人物と近い距離で業務を遂行できます。早い段階で難易度が高い勘定科目にも挑戦できるため、大手監査法人よりも数倍の早さで知識と技量アップを目指すことも可能です。

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公認会計士として重要なステップを決めるポイントになるので、納得いく答えが出るまで追求するべきでしょう。

組織体制

組織体制によって、入社後に関わる業界や範囲が違うため、各監査法人がどんな組織体制をとっているのかは意外と重要なポイントです。

大手監査法人であれば事業部門を設定し、入社後はどこかの事業部門に配属される形になります。異動がない限り、特定分野の業務を遂行していくことになるので、ゆくゆくは専門性を持った人材へと成長していく可能性が高いでしょう。

一方、準大手や中小監査法人は垣根を超えたプロジェクトや多方面の業界を担当することが多いので、マルチ人材へと成長していく形です。

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ご自身が希望する働き方と照らし合わせていくと、未来像がハッキリしていくと思います。

年収

公認会計士として働く以上、年収が気になる方も多く、就職において重要なポイントです。

実は初任給に限っては大手・準大手監査法人の間にはそこまで差が発生しません。賞与に関しても年2回〜3回と似たようなシステムを組んでいます。

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大手監査法人は残業時間が多いとランキングでも紹介しましたが、年収額と実働時間のバランスを見ておくのも非常に大切でしょう。

知名度

長く監査法人業界に身を置くのであれば、就職した監査法人の知名度は将来に影響する可能性はあります

例えば、将来的に転職を視野に入れているなら、大手監査法人の経歴があるのとないのでは選択肢は大きく変わってきます。また、独立を考えているならば、クライアントへ営業する際も知名度のある監査法人での経験が伝えられれば説得力も増しプラスに働くケースもあるでしょう。

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とはいえ、準大手や中小監査法人では「幅広い範囲の業務を担当」「クライアントのキーパーソンと関わりを持てる」など別のメリットもあるので、単に知名度がある監査法人が正解ともいえません。

まとめ:自分に合う監査法人を選ぼう

最後に今回の記事をまとめてご紹介します。

  • 大手監査法人が大きくシェアを占めているものの、最近は準大手・中小監査法人のシェアも増加している
  • キャリアや成長スピードをにおいては、準大手や中小監査法人を選ぶことでスキルアップが早くなり、多方面の知見や技量を早く習得できる
  • 単に名が知れている監査法人に就職すればいいのではなく、公認会計士として自身の求める方向性を実現できる監査法人を選ぶべき

公認会計士として気持ちよくスタートを切るためにも、ご自身が将来的にどうしていきたいのかをある程度明確に決めたうえで、監査法人を選ぶことが大切なのではないでしょうか。

ぜひ、今回紹介した監査法人業界の動向やランキングを参考にしてみてください。