企業の選び方

監査法人の離職率が高いって本当?転職理由や就職に失敗しないコツについても解説

監査法人の離職率が高いって本当?転職理由や就職に失敗しないコツについても解説

 「監査法人の離職率が高いって本当?」

「どうして監査法人は辞める人が多いんだろう」

監査法人への就職に興味がある方は、このような疑問を抱くことがあるかもしれません。

公認会計士がキャリアの第一歩を踏み出す際、監査法人は人気の就職先として候補に上がることが多いでしょう。

ですが「監査法人は離職率が高い」という声を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

監査法人の離職率が高いのは本当なのか、なぜ離職する人が多いのかについて知っておかないと、就職後に「思っていたキャリアとは違った」という状況になってしまうかもしれません。

今回の記事では以下について解説します。

  • 監査法人の離職率はどのくらい?
  • 監査法人はなぜ離職率が高いのか?
  • 監査法人を離職する主なタイミング
  • 監査法人離職後の就職先
  • 失敗しない!離職率を考慮した監査法人選びのポイント

自分自身に合った監査法人を選ぶために、ぜひ参考にしてみてください。

それでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

監査法人の業務

まず、監査法人ではどのような業務を行っているのか簡単に解説します。

監査法人で行う業務は主に「監査業務」と「コンサルティング業務」です。

監査業務とは企業の財務諸表を公認会計士がチェックする業務です。

コンサルティング業務では、クライアントの企業が抱えている問題を解決するために、公認会計士の目線からアドバイスします。

監査法人でのキャリアは、一般的にスタッフ、シニア、マネージャー、パートナーという順番で昇進していきます。

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マネージャー、パートナーは管理職となり、マネージャーには早くて8年目で昇格すると言われています。

監査法人の離職率はどのくらい?

監査法人では、10年以内に約50%以上の人が離職するとも言われています。

厚生労働省のデータによれば、令和3年における全業種の離職率の平均は13.9%です。

監査法人の離職率と平均離職率を比較すると、監査法人は高めの離職率の業種であると言えるでしょう。

引用:令和3年雇用動向調査結果の概要

厚生労働省

監査法人はなぜ離職率が高いのか?

監査法人における高い離職率には、業務の多さやワークライフバランスの取りにくさなどが関係しています。

離職する理由について、詳しく見ていきましょう。

激務と責任の重圧があるため

多忙な日々と重い責任が原因で離職する人もいます。

特に大手監査法人では、一流企業や海外ファームとの取引が多く、最新の監査を経験できるメリットがある一方、激務になってしまいがちな傾向があります。

繁忙期には、深夜まで残業があることもあるでしょう。そして年次を重ねれば重ねるほど、自分の担当する業務への責任も重くなっていきます。

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激務や重い責任が負担となり、離職したいと感じる人が出てくるのです。

ワークライフバランスを保つため

ワークライフバランスを見つめ直した結果、監査法人を離職する人もいます。

激務が続くと、ワークライフバランスを保つのが難しくなってしまいます。

監査法人では、専門知識の習得に加え、海外とのやり取りのために英語学習が求められることもあります。

英語を学習するには勤務時間外にも勉強時間を確保する必要があるため、プライベートの時間が削られてしまうのです。

残業時間が少ない、有給休暇が取得しやすいといった理由から、他の企業への転職を選択する人がいます。

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大手監査法人に比べて準大手・中小監査法人ではワークライフバランスを実現しやすい環境が整っていることもあり、大手監査法人から準大手・中小監査法人への転職を検討する人もいるでしょう。

スキルアップのため

監査法人によっては、監査業務のみの経験しか積めない場合もあります。

その場合、他の業界でスキルアップするために転職する人もいます。

例えばアドバイザリー業務に携わりたい場合は、コンサルティングファームのアドバイザリー部門への転職が候補として考えられます。

また、監査法人ではキャリアアップが難しいことが多く、管理職であるマネージャーやパートナーになれるのは一握りです。

監査法人ではキャリアアップが目指せないため、転職して新しいポジションに挑戦したいという人もいるでしょう。

監査法人を離職する主なタイミング

キャリアの節目やライフステージの変化は、離職を考える主なタイミングとなります。

監査法人を離職する主なタイミングについて見ていきましょう。

修了考査後の離職

実務経験を積むために監査法人に就職し、修了考査後に辞めるという人がいます。

公認会計士試験に合格した後は、修了考査に合格しなければ正式な公認会計士になれません。

「監査の実務経験」と「実務補習所での単位取得」という要件を満たして修了考査に合格すると、公認会計士として登録ができるようになります。

実際に、金融庁のアンケートでは監査法人への就職理由として「業務補助等の要件を満たしやすいため」「実務補習所に通所しやすいため」との回答がありました。

引用:合格者アンケート調査結果(金融庁)

金融庁
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修了考査が終わったタイミングで離職し、他の監査法人に転職したり、企業に転職したりするようです。

入社6〜8年目の離職

入社して6~8年が経過すると、多くの公認会計士がマネージャーへの昇格を控え、キャリアの岐路に立たされます。

この時期は業務のやりがいを感じる一方で、責任が重くなり多忙になるため、仕事とプライベートのバランスを考え直すタイミングでもあります。

さらに、同期の中で転職を選ぶ人が増える時期でもあります。

そのため新しいチャレンジを求めて異業種へ転職したり、ワークライフバランスを重視した職場を探したりする人が増える年次といえるでしょう。

また、入社6~8年目になると家庭を持つ人が増えるため、家族や子供のためにプライベートな時間を大切にしたい、仕事とプライベートのバランスを考えたいという理由で離職する人もいます。

入社20年目前後の離職

入社20年目前後は経験豊富で独立に適した時期のため、監査法人を離職する人がいます。

入社20年目になると税務や会計の知識はもちろん、ビジネス全般についてのさまざまな知識があり、自分自身の事務所を開業することが現実的な選択肢となってくるでしょう。

独立のメリットとしては、仕事の内容や取引するクライアントを自分で選べるようになったり、ワークライフバランスを保ちやすくなったりすることが挙げられます。

デメリットとしては、大きな監査案件に関わることが難しくなることや、安定した収入を得るまでに時間がかかることがあるでしょう。

監査法人離職後の就職先

監査法人を離職した後、監査法人の経験を生かしてどのようなキャリアパスを選ぶ人が多いのか、見ていきましょう。

企業への就職

監査法人で培った知識を生かして、監査法人から一般事業会社に転職する人は多いです。

一般事業会社とは、営利を目的とした会社のことを指します。

監査法人出身の公認会計士は、財務や経理関連の部署に配属されることが多く、経理部、財務部、経営企画部、内部監査室などが主な転職先です。

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大手上場企業に転職した場合、監査法人と同等、またはそれ以上の給与を得られる可能性もあります。

コンサルティングファームへの就職

専門スキルを生かして、コンサルティングを行う会社であるコンサルティングファームに転職する道もあります。

公認会計士は会計系コンサルティングファームを選ぶ人が多い傾向にあります。

コンサルティングの仕事は、会計監査の知識に加え、コミュニケーションスキルや柔軟な思考力が必要とされる職種です。

さらに、クライアントを納得させる論理的な提案ができるかどうか、クライアントに寄り添った提案ができるかどうかといったホスピタリティも求められます。

独立する

経験を積んだ公認会計士の中には、独立したりフリーランスとして活動したりする人もいます。

独立する公認会計士は豊富な経験を積んだ人が多く、未経験での独立は難しいと言えるでしょう。

独立すると新規顧客開拓を行うための営業活動をする必要があり、コミュニケーションスキルや人脈が重要になってきます。

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ほかにも、会計事務所、ベンチャー企業CFO、FAS(Financial Advisory Service)、M&Aアドバイザリーなどへの転職先が考えられます。

失敗しない!離職率を考慮した監査法人選びのポイント

失敗しない監査法人選びをするためには、自分のキャリアプランに合っているか考えたり、監査法人ごとの特色を把握したりする必要があります。

離職率を考慮したうえで、監査法人をどのように選ぶべきかについて解説していきます。

公認会計士としてのキャリアプランを考える

後悔しない監査法人選びをするためには、まず自分のキャリアビジョンを明確にして、そのビジョンにあった監査法人を選ぶことが大切です。

例えば最新の監査業務に触れて成長したい、海外で活躍したい、と思う人は大手監査法人がおすすめです。

若手の時期から経験を積みたい、ワークライフバランスを実現したい、という場合は準大手・中小監査法人が向いている可能性があります。

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自分のキャリアプランに合わせて監査法人を選ぶことで、理想のキャリアを実現しやすくなるでしょう。

大手監査法人と準大手・中小監査法人の違いを知る

大手監査法人と準大手・中小監査法人の違いをきちんと知っておくことも、就職を成功させるカギとなります。

それぞれの違いを知っておくことで、就職後に「思っていた業務と違う」ということを防ぎます。

大手監査法人は以下の通りです。

  • 新日本有限責任監査法人(EY)
  • 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte)
  • 有限責任あずさ監査法人(KPMG)
  • PwC Japan有限責任監査法人(PwC)

大手監査法人のメリットは、規模の大きいクライアントを担当できる、監査法人としての知名度が高い、給料が高い傾向にある、海外赴任の希望が出せることなどです。

その一方で激務なことが多く、ワークライフバランスは実現しにくい可能性があります。

大手監査法人に次ぐ規模の準大手監査法人は以下の通りです。メリット、デメリットは大手監査法人と似ていると言えるでしょう。

  • 三優監査法人
  • 仰星監査法人
  • 太陽有限責任監査法人
  • 東陽監査法人

小規模な監査法人である準大手・中小監査法人は小規模なチームで動くことが多いため、若手の頃からさまざまな実務経験が積める、ワークライフバランスを実現しやすいというメリットがあります。

デメリットは海外赴任の可能性が少ない、クライアントの規模が小さい、最新の監査業務に触れにくいといった点が挙げられます。

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監査法人の違いを知って、どの監査法人が自分のキャリアプランに合っているのかを見極めましょう。

まとめ

今回の記事では、監査法人の離職率について解説しました。

記事の内容をまとめると、以下の通りです。

  • 監査法人の離職率は他の業界よりも高い
  • 激務やライフワークバランスを理由に離職する人も
  • 監査法人を離職する人が多いタイミングは修了考査後や入社6年目前後など
  • 監査法人離職後の就職先は企業やコンサルティングファーム、独立など
  • 就職で失敗しないために重要なのは自分の思い描くキャリアプランに合った監査法人を選ぶこと

監査法人は離職率が高い一方で、さまざまな経験が積めるという魅力があります。

監査法人で培ったスキルは、さまざまな業界で生かすことができるため、転職先の候補も数多くあります。

監査法人を選ぶ際は自分の思い描く将来像と合っているかどうかを確認し、理想のキャリアプランを実現していきましょう。