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中堅監査法人の年収はいくら?準大手監査法人の年齢・役職別の年収相場を解説

中堅監査法人の年収はいくら?準大手監査法人の年齢・役職別の年収相場を解説

「大手監査法人は高年収と国際的なプロジェクトが魅力だが、競争も激しそう…」
「中堅監査法人は大手や中小と比べてキャリアパスはどうなんだろう…」

監査法人の選び方は、将来のキャリアに大きな影響を与える重要なステップと言えます。

特に中堅監査法人とも呼ばれる準大手監査法人は、大手監査法人と中小監査法人の間で重要な鍵を握る選択肢となることが多いです。

しかし、実際の年収やキャリアパスはどうなっているのでしょうか。

そこでこの記事では、準大手監査法人での年収の実態から、職位や年齢による年収の違い、さらにはキャリアパスや働き方に至るまで、幅広く解説します。準大手監査法人でのキャリアを検討している方、監査法人選びに迷っている方にとって有益な情報を紹介しますので、ご一読ください。

中堅監査法人の年収とキャリア

準大手監査法人(中堅監査法人)で働く場合の年収やキャリアの特徴を下記で紹介します。

中堅監査法人の年収特性

準大手監査法人での年収は一般的に600〜900万円とされています。この数値はあくまで一例であり、地域や業績、個々のスキルによって異なる点に注意してください。

大手監査法人に比べれば年収は低めですが、中小監査法人と比較するとやや高い傾向にあります。ただ、初任給は多くの監査法人で軒並み30万円前後と横並びです。

具体的には、大手監査法人では年収が1,000万円以上が一般的ですが、準大手監査法人では最高でも900万円程度が相場です。

一方、中小監査法人では就職先やキャリア状況など一定の条件下で年収が高くなることもありますが、準大手監査法人は安定して年収を得られる可能性が高いです。

このように、準大手監査法人は大手と中小の間で「安定した年収を提供する選択肢」と言えるでしょう。特に、大手のプレッシャーが苦手で、でも中小の不安定さも避けたいという方にとっては、準大手監査法人が適している可能性が高いです。

職位・年齢別の年収

準大手監査法人では、職位や年齢によっても年収に大きな違いが出ます。

具体的には、新卒や初任の段階では、年収はおおよそ400万円となる場合が多いです。この段階では基本的な監査のスキルや業界知識を身につける期間と言えます。ある意味、新人としての研修要素も大きいため公認会計士の平均年収に比べると低い数字です。

その後、キャリアを積みプロジェクトリーダーに昇格すると、年収は700万円程度に跳ね上がることが一般的です。この職位段階では、チームをまとめる能力が求められるため、責任に比例して報酬が増加します。

さらに、マネージャーになると年収は900万円以上となる場合が多いです。マネージャーは部門やプロジェクト全体の成功がダイレクトに自身の評価につながるため、高い年収が設定されています。

年齢別に見ても、30代で年収が600万円、40代で年収が800万円程度になる傾向があります。ここで紹介した年収額はあくまで一例ですが、経験とスキル、責任範囲が広がるにつれて、年収もそれに比例して上昇していくのが一般的です。

このように、準大手監査法人での年収は職位と年齢、スキルに密接に関連しています。早い段階でスキルを磨いて責任あるポジションに就けば、それだけ年収も向上する可能性が高いと言えるでしょう。

監査法人の年収比較

監査法人の年収は、法人の規模や業務範囲によって大きく異なる場合があります。

特に大手監査法人と準大手監査法人ではそれぞれ違いがあるため、下記で詳しく紹介します。

大手監査法人と中堅監査法人

大手監査法人と準大手監査法人とでは、年収にも一定の差が出ます。

例えば、大手監査法人に勤める場合、年収は1,000万円以上に達することも多いです。理由として、大手監査法人が手がけるプロジェクトは規模が大きいケースが多く、責任に伴って報酬も高く設定される傾向にあるためです。

一方、準大手監査法人では年収が最高でも900万円程度となります。ただ、サービス範囲が国内中心でプロジェクトの規模が大手に比べて小さくなるため、報酬もそれに合わせて設定されているからです。もちろん、あくまで相場でケースによるため、それ以上稼ぐ公認会計士もいます。

サービス範囲に関しても違いがあります。大手監査法人では、国際的なプロジェクトが多く手がけられています。具体的には、多国籍企業や大規模なプロジェクトが多く、その影響力が全世界に及ぶことが多いからです。

一方で、準大手監査法人は国内中心のプロジェクトが多く、地域密着型のサービスが多い傾向にあります。

結論として、大手と準大手、それぞれにはメリットとデメリットがあります。年収が高いという点では大手が優れていますが、準大手は顧客との距離感が近く、地域に密着したサービスが強みとなっています。求職者や転職者がどのようなキャリアを望むのかによって、最適な選択肢は異なるでしょう。

監査法人の年収を大手中心で調べた下記の記事も参考にしてください。

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大手監査法人の年収はいくら?

中小監査法人と中堅監査法人

中小監査法人と準大手監査法人はともにそれぞれ独自の特性と強みがあります。

特に、年収に関しては一般的に中小監査法人の方が高いとされる場合もあります。例えば、中小監査法人で年収が1,000万円に達するケースも少なくありません。理由として、中小監査法人が、特定の業界に特化してサービスを提供している場合が多いので、業務の専門性が評価され高い報酬が支払われるからです。

また、中小監査法人は規模が小さいため経営層との距離が近く、重責に伴った報酬となるケースも多く見られます。

一方で、準大手監査法人は年収が最高でも900万円程度ですが、サービス範囲は一般的に広く、多様な業界での監査経験を積めます。なぜなら、多くの企業との取引を通して多様な業務に従事する機会が多いからです。

年収が高いという点で中小監査法人が注目されることが多いですが、背景に業界特化型のサービスと独自のビジネスモデルがある点を踏まえておく必要があります。一方で、準大手監査法人は多様な業界での安定したサービス提供が強みです。

会計キャリアナビ
個々のキャリアビジョンや働き方によって選択肢を広く持っておきましょう。

業種別年収比較:監査法人、コンサルティング、事業会社

業種別に公認会計士の年収を比較すると、監査法人、コンサルティングファーム、事業会社で大きな違いが見られます。まず、監査法人では若手スタッフでも平均年収は約600万円から700万円程度とされ、経験を積むにつれてシニアやマネージャーに昇進し、年収は800万円から1,200万円に達することが一般的です。さらに、パートナーに昇進すれば年収は1,500万円を超え、場合によっては2,000万円以上に達することもあります。

一方、コンサルティングファームでは、初任給から年収が高めに設定されている傾向があります。アソシエイトやコンサルタントクラスでも700万円から900万円程度の年収が見込まれ、マネージャーやパートナーといった役職に昇進すれば、年収は1,500万円から2,000万円を超えることも珍しくありません。特に、専門性の高いコンサルティング領域では、クライアントからの高い評価が得られれば、さらに年収を上げることが可能です。

事業会社に転職した公認会計士の場合、年収は企業規模や業種によって大きく変動します。一般的には、初期段階での年収は500万円から700万円程度ですが、経営に近いポジションに就くことで年収が1,000万円を超えることもあります。特にCFO(最高財務責任者)などの役職に就くことで、年収は1,500万円以上を期待できるでしょう。ただし、事業会社の給与体系は監査法人やコンサルティングファームとは異なり、年収の上限が設定されている場合も多く、昇給には限界があることを理解しておく必要があります。

このように、公認会計士が働く業種によって、年収は大きく異なります。それぞれの業種の特性を理解し、キャリアプランに応じて最適な職場を選ぶことが重要です。

中堅監査法人でのキャリアパス

準大手監査法人で働く場合、どのようなキャリアパスが待っているのでしょうか。

昇進機会や研修制度、スキルアップの方向性など、キャリア形成のための具体的なポイントを紹介します。

昇進と役職の特性

準大手監査法人の昇進は主に実績とスキルに基づきます。一般的には、新卒入社後、平均で約5年でプロジェクトリーダーに昇進するケースが多いです。

昇進のスピードは、自身のスキルセットやプロジェクトでの成功が大きく影響します。

スキルアップの研修制度

準大手監査法人は、従業員のスキルアップに力を入れています。

会計基礎からコミュニケーション研修まで、幅広い研修プログラムが用意されています。これによって、監査技術はもちろん、マネージメントやクライアント対応などのビジネススキルアップも可能です。

研修を通じてより高度な監査業務に対応する能力が身につき、昇進やより大きなプロジェクトへのアサインが期待できます。

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このように、準大手監査法人でのキャリア形成は、多角的なスキルアップと実績による昇進が鍵を握っています。

キャリアパスの選択肢:監査法人から他業界への転職

公認会計士として監査法人でキャリアを積んだ後、他業界への転職を選択することは、キャリアの幅を広げるための有力な選択肢となります。監査法人で得た経験は、他業界でも高く評価されるため、キャリアチェンジを考える公認会計士にとっては、多様な転職先が存在します。

まず、コンサルティングファームへの転職は一般的な選択肢の一つです。監査法人で培った財務分析やリスク管理のスキルは、経営戦略や財務アドバイザリーを提供するコンサルティング業務に直結します。特に、M&Aや事業再生といった分野では、公認会計士の専門知識が求められるため、高い年収を期待できることが多いです。

次に、事業会社への転職も多くの公認会計士が選ぶキャリアパスです。事業会社では、主に経理や財務部門での活躍が期待され、企業の財務戦略や内部統制の強化に貢献することができます。さらに、経営に関わるCFO(最高財務責任者)などの役職に就くことで、より大きな責任とやりがいを得ることができます。特に、IPO準備中の企業や急成長中のスタートアップ企業では、公認会計士の専門性が非常に重宝されます。

また、金融業界への転職も魅力的な選択肢です。銀行や証券会社、投資ファンドなどでは、公認会計士の知識がリスク管理や投資分析の分野で役立ちます。これらの業界では、監査法人での経験が評価されるだけでなく、報酬面でも高い水準が期待できることが多いです。

最後に、独立開業して税理士業務やコンサルティングを行うことも一つの選択肢です。自分自身のペースで働けるだけでなく、クライアントとの密な関係を築きながら業務を進めることができ、ワークライフバランスを重視する方にも適しています。

このように、監査法人での経験を活かして他業界へ転職することで、さらに多くのキャリアチャンスが広がります。自分のキャリアビジョンに合わせて、最適な選択肢を選ぶことが重要です。

働き方とワークライフバランス

準大手監査法人での働き方とは、どのようなものでしょうか。
下記で業務の範囲から勤務時間、ワークライフバランス支援制度を中心に職場環境の特徴を紹介します。

業務の範囲・専門性

準大手監査法人では、国内外の多種多様なクライアントとの取引があります。そのため、業務の多様性と専門性を同時に高められます。

そして、産業別や技術別の専門家も在籍しており、高度な知識とスキルを求められるプロジェクトにも対応可能です。

勤務時間・フレキシブル制度

一般的な勤務時間は一例として9:00から18:00までの8時間労働です。ただ、法人によっては勤務時短制度やフレックスタイムなど勤務制度も導入されています。

特に準大手監査法人の中にはコアタイムがなくリモートワークも可能なケースもあり、個々のライフスタイルに合わせて働きやすい環境を求めた就活方法もおすすめです。

ワークライフバランス支援制度

準大手監査法人の中には従業員が長く安心して働けるようにワークライフバランスを重視し、産休・育休制度やノー残業デーなど、多くの支援制度が用意されています。

就職先によって仕事とプライベートのバランスをより良く保ちながら、充実したキャリア形成を実現できるでしょう。

地方移住と監査法人での働き方

地方移住と監査法人での働き方は、近年のリモートワークの普及やワークライフバランスの重視に伴い、注目を集めています。特に、都市部の喧騒から離れ、自然豊かな環境での生活を望む人々にとって、地方移住は魅力的な選択肢です。しかし、監査法人で働くにあたり、地方でのキャリアがどのように展開されるのかは、事前に理解しておく必要があります。

まず、地方の監査法人や支社での勤務は、首都圏や大都市に比べてクライアントの規模や業種が異なることが多いです。地方には、中小企業や地元に根ざした企業が多く、監査業務もその規模や業種に応じて多様です。これにより、地方で働く公認会計士は、幅広い業務経験を積む機会が増えると同時に、地域に密着した経済活動に貢献するやりがいを感じることができるでしょう。

また、地方で働くメリットとして、通勤時間の短縮や住環境の改善が挙げられます。大都市に比べて通勤ラッシュが少なく、通勤時間が短くなることで、プライベートの時間をより充実させることができます。さらに、地方ならではの自然環境やゆったりとした生活リズムは、心身のリフレッシュに大きく寄与するでしょう。

しかし、地方移住には注意点もあります。例えば、キャリアの成長機会が都市部ほど多くないと感じる人もいるかもしれません。特に、特定の業種や大規模企業との関わりが少ない地方では、専門的なスキルを磨く機会が限られる場合があります。そのため、地方での勤務を選ぶ際には、自身のキャリア目標やスキルアップの機会を慎重に考慮することが重要です。

さらに、地方におけるリモートワークの活用も一つのポイントです。リモートワークが可能な監査法人であれば、都市部のクライアントを担当しつつ、地方での生活を享受することが可能です。このような働き方は、都市部と地方のメリットを同時に享受できるため、多くの公認会計士にとって魅力的な選択肢となるでしょう。

総じて、地方移住と監査法人での働き方は、豊かな生活を求める公認会計士にとって有望な選択肢です。自身のキャリアとライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことで、充実した生活を送ることができるでしょう。

中堅監査法人のメリット

準大手監査法人で働く魅力は何でしょうか。下記のメリット3つが挙げられます。

  • 成長機会
  • 顧客との密な関係
  • 課題と対処法

次で準大手監査法人に就職するメリットを紹介します。

成長機会

準大手監査法人では、個々のスキルセットを着実に拡充できます。

様々な業界や規模のプロジェクトへの参加を通して、幅広い経験と知識を積めるからです。また、チーム内で多様なプロジェクトが展開されているため、多角的なスキル習得にもつながります。

顧客との密な関係

準大手監査法人は、中堅の法人規模ならではの手厚いサポートが魅力です。顧客が法人や従業員そのものに魅力を感じ、愛着を覚える顧客ロイヤリティも高まる傾向にあります。そのため、取引先とのより密接なコミュニケーションでやりがいを感じるシーンも多いです。

また、大手に比べてプロジェクト規模が小さく顧客と密接にコミュニケーションを取る機会が多いため、顧客ニーズに応じた柔軟な対応が可能です。自己の力量に応じてきめ細かな業務により独自の信頼を得る喜びを感じられます。

課題と対処法

様々なメリットがある準大手監査法人ですが、法人としてのリソースは大手監査法人に比べて少ない場合も踏まえておきましょう。

例えば「海外勤務のチャンスが少ない」「特定の高度な研修プログラムへの参加機会が限られる」などが考えられます。

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そのため、個々の従業員は戦略的に自身のスキルアップを特化させるため、効率的に働く必要があります。

もちろん、主体的に業務にチャレンジできる環境を上手く活用すれば、しっかりとしたキャリアアップが目指せます。

まとめ

ここまで、準大手監査法人(中堅監査法人)の年収や働き方について紹介しました。

この記事のポイントは以下の3点です。

  • 準大手監査法人でのキャリアは多様で成長機会も多い
  • 年収は大手や中小と比較してもバランスがとれている
  • ワークライフバランスは保ちやすい環境が整っている

準大手監査法人での働き方は、多様なキャリアパスと成長機会が魅力です。年収に関しても、大手と中小の監査法人と比較して、バランスの取れた報酬が期待できます。

また、フレックスタイムや時短など勤務制度やワークライフバランス支援制度が充実している法人もあり、プライベートとのバランスも十分取れるでしょう。

このような特長のもと、準大手監査法人で生き生きと活躍する先輩の後ろ姿を追い掛けてみましょう。

参考:日本公認会計士協会