監査法人は、公認会計士に人気の就職先となっています。
そんな監査法人に就職する前にぜひチェックしておきたいのが「年間休日」です。
年間休日は、自分が監査法人でどのようなキャリアを築き、ワークライフバランスを保っていきたいかを考える上でとても重要な要素となってきます。
今回の記事では、以下の内容について詳しくご紹介します。
- そもそも監査法人の業務って?
- 年間休日をチェックすべき理由
- 監査法人の休日制度・年間休日数
- 年間休日を考慮した監査法人選びのポイント
- 大手監査法人の年間休日比較
監査法人でキャリアを積んでいきたいと考えている方は、監査法人の年間休日や休日制度をしっかりチェックしていきましょう。
目次
監査法人の業務って何?年間休日をチェックすべき理由とは
監査法人の年間休日制度について知る前に、まず監査法人ではどのような業務を行っているか見てみましょう。
監査法人の業務を知ると、年間休日の取りやすさやどの時期に休みがとりやすいかが把握しやすくなります。
監査法人の仕事内容
監査法人では、主に「監査業務」を行っています。
企業や地方公共団体など、幅広いクライアントの財務諸表等が会計基準等に従って適正に作成されているかについて意見を表明するのが、監査法人の主な業務です。
監査法人就職の際に年間休日をチェックすべき理由
監査法人への就職を考える際、年間休日をチェックすることは、単に休暇の日数を把握できるだけでなく、ワークライフバランスやキャリアパスを考えるうえでとても重要になってきます。
監査法人の仕事は、特に繁忙期には多忙を極めることが多く、働きすぎが体調不良の原因になることも珍しくありません。
そのため、体を壊さず健康を保ちながら効率的に働くためには、休日の取得がとても大切です。
また、休日を活用して新たな学習に時間を割くことができれば、スキルアップの機会にもなります。
監査法人の休日制度・年間休日数を解説
一般的な会社では年間およそ120〜140日の休日休暇制度が設けられていることが多くなっています。では、監査法人の場合はどうでしょうか。
まず一般企業の実際のデータを見ていきます。厚生労働省の出している就労条件総合調査年間によると、年間休日総数の企業平均は110.7日、労働者1人平均は115.6日となっています。
このデータより、平均の年間休日はおよそ110〜120日前後であるといえるでしょう。
厚生労働省
監査法人もこのデータと同じく、年間120〜140日の休日休暇制度を採用しているところが多くなっています。
休日・休暇には、土曜日や日曜日、祝日のほか、年末年始、有給休暇、慶弔休暇といった休暇が含まれることもあります。
さらに、監査法人によっては、監査法人が認めた臨時休日や配偶者出産休暇、試験休暇などが設けられていることもあるので、就活の際は採用サイトの「休日・休暇」の欄をチェックするようにしましょう。
監査法人の休みやすさは?
監査法人での休みやすさは、監査法人によって異なりますが、一般的には多くの企業と同程度、またはそれ以上に休日・休暇を取得しやすい環境が整っていることが多いです。
グローバルファームと提携している監査法人では、グローバル基準に準じた休日制度が採用されていることがあり、休日がしっかり取れる傾向にあります。
ですが3月決算会社を担当している場合、繁忙期である4〜6月頃は残業が増え、この時期は休みを取りにくくなるでしょう。
一方で、 8月や11月は仕事が少ない閑散期になることが多く、休日を取りやすい監査法人が多くなります。
閑散期には、1週間や1ヶ月の休みを取れるケースもあります。休暇の取得にはチームや個人のスケジュール管理が必要になりますが、比較的長めの休暇が取りやすい業界といえるでしょう。
年間休日と繁忙期・閑散期のバランス
監査法人での年間休日は、多くの方にとって就職・転職を考える際の重要なポイントです。しかし、単に年間休日の数字だけで判断するのは不十分です。監査法人では、特に繁忙期と閑散期がはっきりしているため、季節ごとの仕事量やスケジュール管理によって休みやすさが変わることも少なくありません。
ここでは、年間休日と繁忙期・閑散期のバランスについて詳しく解説します。
繁忙期にはどのくらい休めるのか?
日本企業の多くは3月決算であるため、企業の決算時期に合わせて4月から6月頃が繁忙期となり、この期間には通常以上の業務量をこなす必要があります。
そのため、この時期に長期休暇を取るのは難しいです。監査法人での仕事はチームで進められるため、メンバー同士のスケジュール調整が不可欠ですが、繁忙期中に短い休みを確保するには、前もって計画を立てておくことが重要です。
なお、繁忙期の間は残業も増える傾向にあるため、平日の予定も無理なく調整するよう心掛けると良いでしょう。
閑散期に長期休暇を取得するポイント
一方で、監査法人には閑散期もあります。多くの監査法人では、繁忙期を終えた8月や11月が比較的業務量の少ない時期とされ、この時期に長期休暇を取りやすい環境が整っています。閑散期は計画的に休みを取りやすい時期であり、監査法人でも事前にスケジュールを組んで長期休暇を取得することを奨励しているところもあります。
このため、年間休日数を確認する際は、閑散期に休みやすいかどうかも合わせて確認すると良いでしょう。事前に上司やチームのメンバーに相談することで、休暇の取りやすさがさらに向上することも期待できます。
監査法人のスケジュール管理術
監査法人での勤務では、年間を通して計画的なスケジュール管理が求められます。四半期や内部統制監査など監査のスケジュールに基づき、次の繁忙期・閑散期を意識して計画を立てることで、年間休日を有効に活用できます。
例えば、繁忙期前の業務を効率的に進めることで、繁忙期中でも一定のペースを保ち、閑散期の休暇に備えることが可能です。また、各個人が自己管理を行うだけでなく、チーム全体でスケジュールを調整し合う文化も重視されています。
こうしたスケジュール管理は、監査法人で働くうえで年間休日を最大限に活用するための重要なスキルといえるでしょう。
就活の前に要チェック!年間休日を考慮した監査法人選びのポイント
就職活動を行うときは、自分が望むキャリアとワークライフバランスを実現できる監査法人を選ぶことが重要です。
監査法人の違いを知り、自分の目指すキャリアプランやライフプランに合った監査法人はどこなのかを確認しましょう。
監査法人の規模による違いを知る
まず、監査法人の規模による違いを見ていきます。
大手監査法人は、以下の通りです。
- 新日本有限責任監査法人(EY)
- 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte)
- 有限責任あずさ監査法人(KPMG)
- PwC Japan有限責任監査法人(PwC)
大手監査法人はクライアントの規模が大きく、12月決算の会社も扱っているため、繁忙期が上半期に集中する傾向にあります。
以下は準大手監査法人です。
- 仰星監査法人(Nexia)
- 三優監査法人(BDO)
- 太陽有限責任監査法人(Grant Thornton)
- 東陽監査法人(Crowe)
大手・準大手監査法人以外が中小監査法人です。中小監査法人はグローバルファームと提携していないことが多いため、クライアントは国内企業が中心となる場合が多いです。
中小監査法人と準大手監査法人は3月以外を決算月としている企業の監査も担っており、3月決算が多いものの比較的決算月はばらける傾向にあります。
自分の目指すキャリアプランやライフプランを考える
大手監査法人では最新の監査技術に触れたり、海外で経験を積む機会があったりするため、グローバルなキャリアを望む人におすすめです。
ただし大手監査法人では上半期に繁忙期が集中することが多く、この期間は仕事中心の生活となるでしょう。
一方、大手監査法人以外の準大手監査法人や中小監査法人は比較的休みが取りやすい傾向にあります。
4月から5月にかけては業務が忙しくなりますが、年間を通じてワークライフバランスを大切にしたい方には準大手監査法人や中小監査法人がおすすめです。
大手監査法人の年間休日比較
大手監査法人の公式HP募集要項を参考に、年間休日を比較していきます。
大手監査法人ごとの休日休暇制度を比較することで、それぞれの監査法人の特色や働き方の傾向を把握できます。
新日本有限責任監査法人(EY)
休日・休暇など | 土曜日、日曜日、国民の祝日(ただし法人が指定する祝日は除く)、年末年始、創立記念に係る休日、その他法人が認めた臨時休日、有給休暇(法定以上)、慶弔休暇、配偶者出産休暇、妊活休暇(無給)、看護・介護休暇、ボランティア休暇、試験休暇(実務補習所修了考査など) |
引用:募集要項
新日本有限責任監査法人(EY)
幅広い休暇制度があり、ワークライフバランスを重視しているという特徴があります。
有限責任監査法人トーマツ(Deloitte)
休日・休暇 | 土曜、日曜、祝祭日、年末年始休暇、年次有給休暇、受験有給休暇、慶弔休暇、産前産後休暇、通院休暇(母性健康管理)、配偶者出産休暇、育児休暇、育児参加奨励休暇、介護休暇、看護休暇、通院等特別休暇、トーマツ休日、更年期不調による休暇、生理休暇、ボランティア休暇、DFV(Domestic & Family Violence)休暇、犯罪被害休暇、転勤支度休暇、公民権行使のための休暇など |
引用:募集要項
有限責任監査法人トーマツ(Deloitte)
通院等特別休暇や生理休暇など多様なライフイベントに対応する休暇制度が充実しており、従業員のニーズに配慮していることがわかります。
有限責任あずさ監査法人(KPMG)
休日 | 土・日曜、祝祭日、創立記念日、年末年始 |
休暇 | 年次有給休暇、リフレッシュ休暇、慶弔休暇、ボランティア活動休暇、裁判員等休暇、試験休暇、子の看護休暇、配偶者出産休暇 |
休業 | 産前産後休業、育児休業、介護休業、フレキシブル・ワーク・プログラム(妊娠・出産・育児・介護を理由とする休業や時短勤務)あり |
引用:募集要項
有限責任あずさ監査法人(KPMG)
年次有給休暇やリフレッシュ休暇など、従業員の健康とワークライフバランスを考慮した休暇制度が用意されています。
PwC Japan有限責任監査法人(PwC)
休日休暇 | 土、日曜、祝祭日、年末年始(12月29日~1月3日)、PwC Japan Group day 年次有給休暇(年20日)、リフレッシュ・ヘルスケア休暇(年5日)、メディカル休暇、慶弔休暇、試験休暇、出産特別休暇(有給)、育児特別休暇(有給)、介護特別休暇(有給)、子の看護休暇、公傷休暇など |
PwC Japan有限責任監査法人(PwC)
従業員の健康や家庭の事情に配慮した休暇制度が特徴です。
まとめ
今回の記事では、監査法人の年間休日についてご紹介しました。
記事の内容を簡潔にまとめると、以下の通りです。
- 監査法人の業務は主に監査業務
- 繁忙期は4〜6月頃、閑散期は8月や11月の傾向
- 年間休日はワークライフバランスやキャリアパスを考えるうえで重要
- 年間120〜140日の休日休暇制度を採用していることが多い
年間休日数や休日の取りやすさは、公認会計士のワークライフバランスに大きな影響を与える要素です。
自分が監査法人でどのようなキャリアを築いていきたいかを考え、自分に合った休日・休暇制度の整った監査法人を選びましょう。