4大監査法人(BIG4)とはどんな企業で、どのような特徴があるのでしょうか?また、どの監査法人を選べば良いのか迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、BIG4の特徴を詳しく解説し、それぞれの監査法人を選ぶ際のポイントについても紹介します。
さらに、BIG4への就職・転職を考えている方に向けて、成功のためのヒントやキャリアパスについても触れていきます。これを読むことで、自分に合った監査法人を見つけ、理想的なキャリアを築くための道筋を描くことができるでしょう。
目次
4大監査法人(BIG4)とは?
日本における4大監査法人は、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、PwC Japan有限責任監査法人の4つの有限責任監査法人を指します。
4大監査法人は、すべてが公認会計士・監査審査会の定義において「大手監査法人」として分類されており、世界の企業規模の大企業の監査業務や税務、コンサルティングを担う海外に本社のある会計事務所である、通称「BIG4」といわれるコンサルティングファームとグループ提携しているのが特徴です。こうした世界的な会計事務所と提携している背景から、日本の4大監査法人も日本国内では「BIG4」と呼ばれています。
4大監査法人(BIG4)の提携先
4大監査法人はそれぞれグローバルな4大会計事務所と提携しています。
- EY新日本有限責任監査法人(アーンスト・アンド・ヤング〈EY〉と提携)
- 有限責任あずさ監査法人(KPMGと提携)
- 有限責任監査法人トーマツ(デロイト トウシュ トーマツのメンバーファーム)
- PwC Japan有限責任監査法人(プライスウォーターハウスクーパース〈PwC〉と提携)
公認会計士・監査審査会は「上場会社を概ね100社以上監査し、かつ常勤の監査実施者が1,000名以上の監査法人」を「大手監査法人」と定義し、上記の4法人がそれに該当するとしています。4大監査法人で日本の上場企業の6割以上を監査先として分け合っているほど大きな法人です。
また、規模や非監査法人数だけでなく、業績においても秀でており、公認会計士試験に合格した人のデビューの場として非常に人気が高い監査法人です。顧客の規模が大きいことから分野ごとの分業制度が進んでおり、各分野を深めていくことができます。
BIG4のそれぞれの特徴
BIG4はそれぞれ異なる特徴を持っています。このセクションでは、各監査法人の特徴と専門分野について詳しく紹介します。
EY新日本有限責任監査法人
日本で初めて有限責任監査法人になったのが、「EY新日本有限責任監査法人」です。直接的な前身となったのは太田昭和監査法人であり、母体となる太田哲三事務所は日本初の監査法人でした。また、その後も多くの監査法人が加わっています。現在の新日本監査法人と改名されたのは2001年のことで、2008年に有限責任監査法人となりました。4大会計事務所のうち、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッド(EY)と提携しています。
2021年には、監査法人の中で初めて経済産業省が定めるDX認定取得事業者を取得しました。DX認定制度とは、経済産業省が定める「デジタルガバナンス・コード」に対応する企業について国が認定するもののことです。新日本監査法人は経営ビジョンの策定や戦略、体制においてDXを推進する準備が整っているといえるでしょう。
有限責任あずさ監査法人
2003年に設立したのが「有限責任あずさ監査法人」です。前身となったのは朝日会計会社で、新和監査法人や井上斎藤英和監査法人と2回にわたる合併を行い、4大会計事務所のひとつであるKPMGと提携しました。2010年には有限責任監査法人へと移行し、現在に至っています。
有限責任あずさ監査法人は、監査や保証業務に加えてアドバイザリー業務に長けているのが特徴です。全国の主要都市に事務所を配置し、約6,000名もの人員を擁しています。また、人材の品質に重点を置いており、人材育成プログラムが充実しているのもポイントでしょう。
有限責任監査法人トーマツ
1968年に何社もの監査法人会計事務所が合同で設立し、翌年、日本で初めて全国規模の監査法人となった等松・青木監査法人が前身の「有限責任監査法人トーマツ」。有限責任監査法人となったのは2009年のことで、4大会計事務所のデロイトトウシュトーマツと提携しています。
現在は全国30箇所に拠点を置き、公認会計士をメインとするプロフェッショナルファームとして活躍しています。また、監査業務以外にも様々なサービスを手がけているのが特徴です。
有限責任監査法人トーマツでは、2004年より紙資料共有機能付きデバイスである「Tohmatsu LINK」を導入しています。監査業務の効率化や高度化が可能な上に、監査対応コストを下げることができるのが特徴です。
PwC Japan有限責任監査法人
4大監査法人の中で、最後に有限責任監査法人に移行したのが「PwC Japan有限責任監査法人」です。移行したのは2016年であるため、比較的最近といえるでしょう。設立したのは2006年6月で、当初より4大会計事務所のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)のメンバーファームとなっています。2015年に法人名称をPwCあらた監査法人に変更した後に、有限責任監査法人に移行しました。また、2023年12月にはPwCあらた有限責任監査法人とPwC京都監査法人が合併、PwC Japan有限責任監査法人となりました。
PwC Japan有限責任監査法人は、AIをはじめテクノロジーを融合した次世代監査を手がけており、デジタル社会となった現代においても信頼のできる取り組みをしているのが特徴です。例えば、AIを活用することで高度な分析が可能となり、ビックデータの解析もできます。業務の効率化という面から見ても、テクノロジーを最大限に活用する業務はこれからの時代に欠かせないものとなるでしょう。
BIG4の選び方:自分に合った監査法人を選ぶポイント
BIG4の中から自分に合った監査法人を選ぶためには、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。ここでは、その選び方のポイントを詳しく解説します。
監査法人選びで重視すべきポイントとは?
監査法人を選ぶ際には、いくつかの重要なポイントがあります。まず、自分がどのようなキャリアを築きたいのかを明確にすることが重要です。BIG4はそれぞれ異なる強みを持っており、提供するサービスや業界においても違いがあります。そのため、自分がどの分野で専門性を高めたいのか、どのようなスキルを身につけたいのかを考え、それに合った監査法人を選ぶことが求められます。
また、各監査法人の企業文化や働き方も、選ぶ際の重要なポイントとなります。自分に合った企業文化や職場環境を選ぶことで、長期的に働きやすい環境を整えることができます。
専門分野とキャリアの方向性を考慮する
監査法人を選ぶ際に考慮すべきもう一つの要素は、専門分野と自分のキャリアの方向性です。BIG4の各社は、それぞれ異なる専門分野を持っており、特定の業界や業務に強みを持っています。たとえば、テクノロジー分野に興味がある場合は、デロイトのデジタル戦略やサイバーセキュリティ分野での強みを活かすことができるでしょう。
一方で、国際的な税務問題やM&Aに関心がある場合は、PwCが適しているかもしれません。
自分がどの分野でキャリアを築きたいのかを明確にし、その分野に強みを持つ監査法人を選ぶことが、将来的なキャリアの成功につながります。
職場環境や企業文化も重要な要素
職場環境や企業文化も、監査法人選びにおいて無視できない要素です。各監査法人は、それぞれ異なる企業文化を持っており、働き方やチームの雰囲気も異なります。たとえば、フラットな組織文化やチームワークを重視する環境を求める場合は、EYやKPMGが適しているかもしれません。
また、ワークライフバランスを重視する働き方を希望する場合は、PwCのフレキシブルな働き方が魅力的に感じられるでしょう。
自分がどのような環境で働きたいのかを考え、それに合った企業文化を持つ監査法人を選ぶことが、長期的なキャリアの満足度につながります。
BIG4への就職・転職で成功するためのヒント
BIG4に就職・転職するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、成功するためのヒントを紹介します。
就職・転職時の選考プロセスの概要
BIG4への就職・転職を目指す際には、まず選考プロセスを理解することが重要です。一般的に、選考プロセスは書類選考、筆記試験、面接といった段階を経て進行します。各監査法人によって選考の進め方や評価基準は異なりますが、共通して求められるのは、応募者の専門知識とコミュニケーション能力です。
また、ケーススタディやグループディスカッションを含む選考もあり、応募者の問題解決能力やチームでの協働能力が試されます。
選考プロセスは非常に競争が激しいため、事前にしっかりと準備を行い、自分の強みをアピールすることが重要です。
求められるスキルと資格
BIG4で求められるスキルや資格は多岐にわたります。特に重要なスキルや資格について説明し、それらがどのように評価されるのかを見ていきます。
監査法人での仕事には、高度な会計知識や財務分析能力が求められるため、公認会計士(CPA)や米国公認会計士(USCPA)などの資格は非常に有利に働きます。
また、英語力や国際的なビジネス知識も重要であり、特にグローバルに展開するBIG4では、国際基準での監査やアドバイザリー業務を担当する機会が多いため、これらのスキルが求められます。
さらに、データ分析やITスキルなど、テクノロジーに関する知識もますます重要になっており、これらのスキルを持つことで他の応募者との差別化を図ることができます。
転職エージェントの活用方法
転職エージェントを活用することで、BIG4への転職を成功させる確率が高まります。エージェントの利用方法や、そのメリットについて詳しく解説します。
転職エージェントは、求人情報の提供だけでなく、応募書類の添削や面接対策など、転職活動全般にわたるサポートを提供してくれます。特にBIG4のような競争が激しい業界では、エージェントを活用することで、自分に合った求人を見つけるだけでなく、選考プロセスをスムーズに進めることができます。
また、エージェントを通じて非公開求人にアクセスできることもあり、これが転職成功の鍵となる場合もあります。
転職活動を効率的に進めるために、エージェントの活用は非常に有効です。
BIG4でのキャリアパス:成長と可能性
BIG4でキャリアを築くことで得られる成長と可能性について、このセクションで詳しく見ていきます。
BIG4で得られるキャリアの魅力
BIG4で働くことには、多くのキャリアの魅力があります。その魅力とは何か、そしてどのような経験が得られるのかについて掘り下げます。
BIG4でのキャリアの最大の魅力は、グローバルな視野と経験を積むことができる点です。国際的なクライアントを相手にすることで、世界中のビジネス文化や規制に精通する機会が得られます。
また、大手企業との取引を通じて、高度なビジネススキルや専門知識を身につけることができるため、キャリアの幅が広がります。
さらに、BIG4で得た経験は、他の業界や企業でも高く評価されるため、将来的なキャリアの選択肢も広がるでしょう。
昇進の仕組みとキャリアパス
BIG4では、明確な昇進の仕組みが整っています。そのプロセスとキャリアパスについて詳しく解説します。
BIG4のキャリアパスは、一般的にジュニアスタッフから始まり、シニアスタッフ、マネージャー、シニアマネージャー、ディレクター、パートナーへと昇進していく段階的なプロセスを経ます。このプロセスでは、業績評価やスキルの習得、リーダーシップの発揮が重要な要素となります。特にパートナー昇進は非常に競争が激しく、高い業績と強力なリーダーシップが求められますが、達成できれば非常に大きな報酬と影響力が得られるため、多くのプロフェッショナルが目指す目標となっています。
BIG4で得られるグローバルな経験
BIG4で働くことで得られるグローバルな経験は、他の業界では得られない貴重なものです。国際的な視野と経験がどのようにキャリアに活かされるのかを説明します。
BIG4は、世界中の多国籍企業やグローバル市場で活動する企業との取引が多いため、国際的なプロジェクトに参加する機会が豊富にあります。これにより、異なる文化やビジネス慣習に対する理解を深めることができ、国際的なビジネスのリーダーとして成長するための基盤が築かれます。
また、海外オフィスでの勤務や、グローバルチームとの協働を通じて、世界中で通用するビジネススキルを磨くことができます。
これらの経験は、将来のキャリアにおいて大きな財産となるでしょう。
まとめ
この記事を通じて、BIG4とは何か、それぞれの特徴、さらに監査法人選びのポイントや就職・転職のヒントについて詳しく解説しました。これらの情報を基に、自分に最適な監査法人を選び、キャリアを成功に導く一助となったでしょうか?
BIG4は、日本の大手監査法人であり、キャリアを築く上で非常に有益な選択肢となります。しかし、どの監査法人が自分に合っているかを見極めることが、将来のキャリアを左右する重要な要素です。自分のキャリア目標や働き方に合った監査法人を選び、成長と成功の道を歩んでください。どの道を選んでも、自分自身の成長と可能性を信じて、チャレンジを続けていきましょう。