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USCPAを取得して中小監査法人へ就職!有資格者として働く利点や年収の傾向について

USCPAは中小監査法人への就職に有利?

大手監査法人、準大手監査法人に該当しない監査法人のことを中小監査法人といいます。中小監査法人への就職を有利にする方法として、USCPAの取得が挙げられます。USCPAの概要や採用におけるニーズを把握し、中小監査法人への就職を現実的なものにしたいと考える方も多いのではないでしょうか。

今回は、USCPAと中小監査法人に関連する、以下の内容について解説します。

  • USCPAの概要
  • 中小監査法人におけるUSCPA取得者の採用ニーズ
  • 中小監査法人がUSCPA取得者に求めること
  • USCPA取得者が中小監査法人で行う業務
  • USCPA取得者が中小監査法人で働くうえでの年収
  • USCPA取得者が中小監査法人に就職するメリット

USCPAを取得することは、中小監査法人で働くうえでのさまざまな利点につながります。資格取得は監査法人としてのキャリア・ビジョンをより明確にすることにもなるため、本記事で紹介する内容をぜひ参考にしてください。

USCPAとは

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USCPAとは「米国公認会計士(U.S. Certified Public Accountant)」のことです。

米国公認の資格ということもあり、取得することでグローバル視点のキャリア形成やキャリアアップのしやすさが実現します。

USCPAはアメリカで実施される資格試験ではあるものの、日本での受験も可能です。ただし、州によって受験資格・条件が異なる場合や、日本での受験が認められていない州もあるので注意してください。

USCPAの資格を取得し、米国公認の会計士になるまでの基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 試験勉強
  2. 出願
  3. 試験場所の選択
  4. 受験
  5. ライセンス申請・取得

USCPAは公認会計士と比べて取得難易度が高くないため、USCPAの取得をきっかけに監査法人でのキャリア形成を進めてみてはいかがでしょうか。

中小監査法人におけるUSCPA取得者の採用ニーズ

中小監査法人は大手監査法人と比べて規模が小さいことから、USCPA取得者を大量に採用して育成するというニーズはあまりありません。また、大手監査法人は年間を通してUSCPA取得者を募集していますが、中小監査法人はUSCPA取得者の採用枠が空いたタイミングで募集を開始する傾向にあります。

さらに中小監査法人は即戦力の人材を求めていることが多いため「USCPAを取得している」だけでは採用に至らない可能性があるでしょう。USCPAを取得しており、かつ監査法人の仕事に直結するその他の資格や関連する経験などを有していないと、USCPA取得者として中小監査法人に採用される可能性は低いといえます。

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中小監査法人がUSCPA取得者に求める知見

中小監査法人はUSCPA取得者に対し、以下の知見を求める傾向にあります。

  • IFRS
  • 英語力
  • 開示

狭き門といわれるUSCPA取得者の中小監査法人勤務を実現するうえで、参考情報としてお役立てください。

IFRS

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IFRS(International Financial Reporting Standards)とは、国際会計基準審議会により策定される「国際財務報告基準」のことです。

国際的な視点ということで、USCPAとセットで求められることがあります。FRSの理解を深めることはアメリカ圏はもちろん、EU圏の企業に対して有益なサービスを提供することにもつながるので、USCPAとあわせて学んでおくと良いでしょう。

英語力

USCPAはアメリカ基準の資格と認識されているため、ビジネスレベルの英語力をあわせて会得しておく必要があります。英語が読める・書けるだけではなく、会話として使用できるレベルまでに会得しておかないと、USCPA取得者を採用するメリットがないと判断されるかもしれません。海外での勤務やアメリカの駐在を経験しているUSCPA取得者が多い側面もあるため、現地での会話と遜色ないレベルの英語力は必須といえるでしょう。

開示

USCPAとあわせて、開示の知見を身につけておくことで中小監査法人への就職が有利になります。開示の知見を効率的に得るためには、財務諸表や計算書類について体系的に理解を深められる日商簿記検定1級の勉強をするのがおすすめです。

USCPA取得者が中小監査法人で行う業務

USCPA取得者は、中小監査法人で以下の業務を行う傾向にあります。

  • 会計監査
  • アドバイザリー

実際にUSCPA取得者として中小監査法人で働くうえで、参考にしてください。

会計監査

監査法人の規模を問わず、USCPA取得者には会計監査が業務として求められています。監査法人の多くが提供する監査業務は、法定監査・任意監査に分類されているのが特徴です。

昨今は企業活動が国際化しており、海外のグループ会社の監査は、アメリカ基準の知見を持ったUSCPA取得者に一任されることが多い傾向にあります。したがって、USCPA取得者として中小監査法人に就職する場合に行う可能性がある業務と認識しておくべきといえるでしょう。

アドバイザリー

USCPA取得者に対し、アドバイザリー業務を一任する中小監査法人もあります。監査業務だけでなく会計全般のアドバイザリーをサービスとして提供するのが、昨今の監査法人における傾向です。

「USCPA取得者だからアドバイザリー業務が必要」というよりは、監査法人全体の業務として必要という認識の方が良いかもしれません。とはいえ、経営全般の知見を有し、かつ英語力も身につけていれば、USCPA取得者だからこそ良質なアドバイザリーサービスを提供できる場合もあるでしょう。

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中小監査法人でUSCPA資格を活かすための戦略

中小監査法人でUSCPA資格を最大限に活用するには、実務に直結するスキルやキャリア形成の方向性を明確にすることが重要です。USCPAはグローバルな知識を証明する資格ですが、日本国内の監査業務や被監査会社との連携においては、追加で求められるスキルや準備が必要です。

以下では、USCPA資格を活かすための具体的な戦略を3つの観点から解説します。

業務に関連するスキルの習得

USCPA資格取得者が中小監査法人でスムーズに業務に適応するためには、日本の会計基準(JGAAP)や日商簿記検定などの知識が欠かせません。特に日商簿記2級以上を取得することで、日本特有の財務諸表や計算書類の扱い方を理解でき、現場での即戦力としての評価が高まります。

また、開示業務の基礎を学ぶことも重要です。USCPA試験で得たアメリカ基準の知識を活かしつつ、日本企業向けの財務情報開示に対応するスキルを身に付けることで、業務の幅が広がります。このように、USCPA資格と国内会計スキルを融合させることが、キャリアの土台を強化する鍵となります。

求められるソフトスキル

中小監査法人は被監査会社との距離が近いことが特徴です。このため、USCPA資格取得者には高度なコミュニケーション能力が求められます。例えば、被監査会社の課題を理解し、専門的な内容をわかりやすく説明する力は、信頼関係の構築に不可欠です。

また、柔軟な問題解決能力も評価されるポイントです。中小監査法人では、大手と比べて多様な業務を担当することが多いため、状況に応じた対応力が必要とされます。これらのソフトスキルを意識的に向上させることで、USCPA取得者としての価値をさらに高めることができます。

キャリア形成を見据えた法人選び

USCPA資格取得者が中小監査法人で成功するためには、自身のキャリア目標に合致した法人を選ぶことが重要です。中小監査法人は規模や被監査会社の特性が多岐にわたるため、英語力を活かせる環境や国際業務に特化した法人を探すことがポイントです。

例えば、海外進出企業を多く抱える法人では、USCPA資格と英語力を活かした業務に携わる機会が豊富です。また、将来的に大手監査法人やグローバル企業への転職を視野に入れる場合、中小監査法人での実績を活用することで、スムーズなキャリアアップが可能となります。

以上の戦略を参考に、中小監査法人でのキャリアを成功に導くための準備を進めましょう。USCPA資格を取得していることを強みとし、それに必要なスキルや法人選びを意識することで、より充実した職場環境を実現できます。

USCPA取得者が中小監査法人で得られる年収の傾向

中小監査法人の平均年収は、残業代や賞与も含めて1,000万円ほどとされています。この数字はあくまで、スタッフからパートナーまで、全役職を集約しての平均年収です。USCPA取得者である場合、平均年収である1,000万円以上を超える年収を得られるのでしょうか。

結論、USCPAを取得しているからといって中小監査法人に就職してすぐ年収の基準が上がるわけではありません。USCPAを取得して日本の中小監査法人に就職すると、多くの場合、役職は通常の就職と同様にスタッフから始まります。

とはいえ、USCPA取得者であることがアドバンテージになる業務を一任されれば、周囲とは異なる評価がされやすくなります。USCPAを取得していることが、年収アップにつながる可能性は0ではありません。あくまで監査法人としての一般的なキャリアを重ねながら、USCPAを活かした業務に従事して年収を上げる認識を持っておきましょう。

USCPA取得者が中小監査法人で働く利点

ここでは、USCPA取得者が中小監査法人で働く8つの利点を紹介します。

  • 会計監査としての経験値を積める
  • 語学力を活かせる
  • グローバル企業の実態を把握できる
  • 人脈を形成しやすい
  • 年収を上げやすい
  • キャリアアップしやすい

ここで紹介した利点を、USCPAを取得したうえで中小監査法人で働く際のモチベーションにしてください。

会計監査としての経験値を積める

USCPA取得者は未取得者と比べて国際基準の業務を任されやすいため、周囲とは異なる経験値を積みやすいのが特徴です。たとえ初年度でも、USCPAを取得していることが評価され、公認会計士のサポート役を任されることもあるでしょう。会計監査の経験値を効率的かつ順調に積み重ねるうえでは、USCPAの取得は非常に有効な手段です。

語学力を活かせる

アメリカ基準の資格であるUSCPAを取得していれば、未取得者よりも英語力がある程度高い状態で業務をスタートできます。海外企業との関わりを持ちやすくなるため、就職する監査法人の新たなクライアント獲得に一役買えることもあるでしょう。

グローバル企業の実態を把握できる

USCPA取得者は海外を基準とした業務やクライアントと関われる機会が多いため、昨今注目されるグローバルの視点を身につけやすいのが特徴です。英語圏のクライアント担当者と関わることで、自身の英語力をさらに底上げすることにもつながります。グローバル企業に関する知見を理解し、かつさらなる知見を身につけようと考える姿勢は、海外を視野に入れた中小監査法人でも重宝されるでしょう。

人脈を形成しやすい

中小監査法人は大手と比べてクライアントとの距離が近い傾向にあるため、人脈を形成しやすいのが特徴です。大手よりも人脈が形成しやすいことに加え、USCPAを取得していることで英語圏のクライアントやグローバル企業との関わりを増やしやすい側面もあります。監査法人で働く人材としてのキャリアや実績には人脈形成が重要視されるため、USCPA取得をきっかけにした人脈形成を意識してみましょう。

年収を上げやすい

中小監査法人は大手と比べて個人の裁量が大きいため、年収を上げやすいといえます。基準となる金額こそ大手より少ないものの、年収を「上げる」といった意味では効率的といえるでしょう。さらにUSCPAを取得していることで周囲とは異なる業務を担当させてもらえるため、年収アップにつながる評価がされやすくなります。

キャリアアップしやすい

大手監査法人でのキャリアアップは「狭き門」とされているのに対し、中小監査法人は比較的キャリアアップがしやすいとされています。加えてUSCPA取得者であれば、USCPAの知見を活かした経験や実績が評価され、より早いペースでキャリアアップできるでしょう。

まとめ

最後に、今回の記事の内容をまとめて紹介します。

  • USCPAとは米国公認会計士の資格
  • 中小監査法人においてのUSCPA取得者の採用ニーズは決して高くない
  • 中小監査法人の多くはU SCPA取得者に対してIFRSなど幅広い知見を求めている
  • USCPA取得者は中小監査法人で会計監査・アドバイザリー業務を主に行う
  • USCPA取得者であることが評価されて年収が上がる可能性はある
  • USCPA取得者が中小監査法人に就職することでさまざまなメリットがある

USCPAの取得は、中小監査法人における就職はもちろん、就職後のステップアップをスムーズにすることにもつながります。海外を視野に入れた働き方が注目される昨今において、アメリカ基準の資格であるUSCPAを取得することは、大きなメリットがあるといえるでしょう。

中小監査法人をターゲットに就職を検討する際は、就職活動の成功確率を上げる手段としてUSCPAの取得を目指すのもおすすめです。今回紹介した内容を、USCPAの取得はもちろん中小監査法人への就職を現実的にするうえでの参考にしてください。

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参考:日本公認会計士協会