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公認会計士の試験合格後の流れ|実務補習や修了考査、関連資格やスキルについて解説

公認会計士の試験合格後の流れ|実務補習や修了考査、関連資格やスキルについて解説

公認会計士の試験を受けるうえで、合格後の流れについて事前に把握しておきたいと考える方も多いでしょう。また、そもそも公認会計士の試験がどういったものか、あわせて把握しておきたいものです。

今回は、公認会計士の試験に合格した後の基本的な流れや、公認会計士の試験に関する情報をまとめています。また、公認会計士の試験合格後に関する以下の内容にも触れているので

「これから公認会計士の試験を受けたい」「公認会計士の試験に合格したけどその後の流れがわからない」という方は、ぜひ最後までご覧ください。

  • 公認会計士の試験合格後のキャリアプラン
  • 公認会計士の試験合格後に必要な実務補習や修了考査について
  • 公認会計士の試験合格後に身につけるべきもの
  • 公認会計士の試験難易度

公認会計士の試験に合格した後の基本的な流れ

公認会計士試験に合格した後は、まず就職活動を行う必要があります。就職活動を行わないと、たとえ試験に合格しても公認会計士として働くことはできません。また公認会計士の試験合格後、修了考査を経てから公認会計士の「開業登録」を行う必要もあります。ここでは、公認会計士試験合格後の流れを、就職活動と開業登録の2つに分けて解説します。

公認会計士の試験合格後から行う就職活動の流れ

公認会計士の試験後から行う就職活動の基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 公認会計士を募集している法人にアプローチ
  2. 面接などの選考
  3. 内定

公認会計士の求人は、試験の合格発表当日からスタートするのが一般的です。募集が開始されたら、説明会の予約やエントリーシートを提出します。募集開始後、およそ10日ほどで面接に進みます。そこで、筆記テストや適性テスト、面接を受けるのが基本的な就職活動の流れです。応募する法人によって多少差は出るものの、内定まではおよそ2週間ほどかかります。

公認会計士の試験合格後から開業登録までの流れ

公認会計士と名乗るためには、試験合格後の開業登録が必要です。

会計キャリアナビ
開業登録とは、公認会計士名簿の登録・日本公認会計士協会の入会を済ませることを指します。

試験合格後から就職活動を含めた、開業登録までの流れは以下を参考にしてください。

  1. 公認会計士試験に合格
  2. 合格発表
  3. 就職活動
  4. 実務要件(業務補助など)
  5. 実務補習
  6. 修了考査
  7. 開業登録

短答式試験に合格後、論文式試験を受験・合格することで公認会計士の試験に合格となります。その後、上述した流れで就職活動を行います。就職後、業務補助などの実務経験を3年ほど積む必要があります。

また公認会計士の試験合格後は、原則3年間は「実務補習所」に通う必要があります。なお、業務補助などの実務経験を積み、実務要件を満たしている場合は実務補習所に通う期間が短縮されることもあります。

実務補習所に3年間通学したら、卒業試験である「修了考査」を受けます。実務補習所や修了考査に関する詳細は、後述する「公認会計士の試験合格後に必要な実務補習・修了考査とは」で解説しています。

修了考査の合格を経て、公認会計士の登録要件を満たしていると証明できる書類を提出し、登録審査会から認められることで、開業登録が完了します。

公認会計士試験合格後の就職先の選択肢とその重要性

公認会計士試験に合格すると、さまざまなキャリアの選択肢が広がります。特に、監査法人への就職が一般的ですが、一般企業や会計事務所でのキャリアもあります。また、独立開業やフリーランスとしての働き方も考慮に入れるべきです。

ここでは、公認会計士試験合格後の具体的な就職先の選択肢と、それぞれのキャリアパスのメリットについて解説します。

監査法人への就職とそのメリット

公認会計士試験合格者の大多数は、監査法人への就職を選びます。監査法人では、会計監査や内部統制の監査など、専門的なスキルを高めることができるほか、チームでの大規模プロジェクトに携わる機会が豊富です。

特に、EY新日本有限責任監査法人、有限責任あずさ監査法人、有限責任監査法人トーマツ、PwC Japan有限責任監査法人のような大手監査法人では、国内外の大手企業や上場企業を対象とした監査に従事でき、キャリアのスタートとして非常に魅力的です。

また、教育制度やキャリアパスが充実しており、シニアスタッフやマネージャーへとステップアップすることが可能です。収入面でも安定しており、若手のうちから高い給与を得られる点もメリットです。

一般企業や会計事務所への就職の可能性

監査法人以外にも、一般企業や会計事務所への就職も可能です。一般企業では、主に経理・財務部門での役割が中心となり、特に大手企業や外資系企業では経理部門の責任者やCFO候補として採用されるケースもあります。

会計事務所では、税務業務や中小企業向けの会計サービスに携わることが多く、クライアントと密接な関係を築ける点が魅力です。

また、企業の内部で働くことで、実際のビジネス運営に直結する視点を持つことができるため、将来のキャリアパスに幅が広がる可能性があります。ただし、監査法人に比べると、給与や待遇が劣る場合がある点は考慮する必要があります。

キャリア選択における独立開業やフリーランスの将来的な展望

将来的に独立開業やフリーランスを目指す公認会計士も少なくありません。特に、税理士登録が可能な公認会計士は、独立開業を選択し、個人事業主や中小企業向けに税務・会計コンサルティングを提供するケースが多く見られます。フリーランスとして監査法人や企業から業務委託を受け、柔軟な働き方を実現することも可能です。

独立やフリーランスの魅力は、時間や働く場所を自由に選べる点にあり、ワークライフバランスを重視する方にとって有利な選択肢です。しかし、安定性や集客の面でのリスクが伴うため、監査法人や企業での経験を積んでから独立を検討するのが一般的です。

試験合格後のキャリア選択は、自身のライフスタイルや目指すキャリアに応じて慎重に検討する必要があります。それぞれの選択肢にはメリットとデメリットがあるため、将来のキャリアを見据えた上で、最適な道を選びましょう。

公認会計士の試験合格後に必要な実務補習・修了考査とは

公認会計士の試験に合格しても、すぐ公認会計士登録ができるわけではありません。上述した「公認会計士の試験に合格した後の基本的な流れ」でも触れた、実務補習や修了考査の工程を経る必要があります。ここでは、公認会計士の試験合格後に必要な実務補習・修了考査について解説します。

実務補習

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公認会計士における実務補習とは、試験合格後に一般財団法人会計教育研修機構(JFAEL)が管轄している実務補習所へ通うことを指します。

試験合格後、公認会計士に必要な会計・税務・経営・IT・法規・職業論理といった内容の研修を座学で受けるのが実務補習の内容です。原則3年間の通学が必要ですが、事前にある程度の実務要件を満たしている場合は短縮されることもあります。

また実務補習では、3年間の間で10回の考査と、6度の課題研究提出による一定の点数を獲得する必要があります。なお、実務補習所があるのは東京や東海、近畿や九州の地域です。

修了考査

実務補習で学んだ内容を活かし、公認会計士として名乗るための最後のハードルとなるのが、修了考査です。修了考査では、実務補習で学ぶ会計・税務・経営・IT・法規・職業論理に関する試験を2日間に分けて受験します。試験時間は合計12時間になるため、非常にハードな試験です。毎年12月の第2土曜日・日曜日に行われます。

なお修了考査の合格率は70%で、比較的合格しやすいといえるでしょう。もし不合格だった場合は、1年後の試験を再度受験する必要があります。

公認会計士の試験に合格した後身につけるべきもの

公認会計士の試験後は、基本的な流れを把握するだけでなく、関連資格や求められるスキル・経験を身につけることが大切です。ここでは、公認会計士として活躍するために身につけるべきものについて解説します。

関連資格

公認会計士が身につけておくとよい資格には、「IFRS検定」や、グローバルな範囲での会計業務に役立つ「USCPA」が挙げられるでしょう。これらの資格は公認会計士としてキャリアを積むうえで有利になるのはもちろん、独立開業やフリーランスとして働く場合のクライアント獲得にも役立ちます。

公認会計士に求められるスキル・経験

公認会計士の業務は多岐に渡り、海外の法人や外資系企業がクライアントとなる場合もあります。そのため、ある程度の英語力は身につけておくと良いでしょう。また、中小企業診断士や不動産鑑定士、投資銀行での業務経験なども、公認会計士の業務に活かせる部分があります。とはいえ、語学力以外に関しては別の場所での就業経験が前提となるスキル・経験であるため、公認会計士と名乗ることを長期的なプランとして考えている場合であれば身につけることを検討してみましょう。

公認会計士の試験合格前に関する知識

公認会計士の試験について理解を深めるには、試験後はもちろん試験前に関する知識を得ておくことも大切です。ここでは、公認会計士の試験合格前に関する知識についてまとめています。

公認会計士試験の受験資格

公認会計士の試験には、受験資格はありません。そのため、就職を控える学生の段階でも問題なく受験できるのがメリットです。また学生でなくとも、ある程度年齢を重ねても受験可能であるため、一念発起して公認会計士を目指すこと自体は決して非現実的なことではありません。

受験期間と勉強時間

公認会計士の一般的な受験期間は、1年半から2年とされています。勉強時間に加算すると、1日あたりおよそ5時間です。公認会計士試験に合格するうえで勉強すべき科目には、財務会計論や管理会計論、経営学などが挙げられます。特に財務会計論は公認会計士試験合格に必要なボリュームが多いとされているため、1日の中でもより多く学ぶ必要があるといえるでしょう。

勉強法

公認会計士試験の勉強法には、テキストをベースとしたスタイルが挙げられます。近年は、公認会計士試験の合格をサポートしてくれる通信講座の数も増加傾向にあります。公認会計士の試験を受けるうえで何から始めるべきかわからないという方は、まず通信講座の申し込みから検討してみてはいかがでしょうか。

合格者の年齢傾向

公認会計士試験における合格者の年齢は、平均して25歳前後となることが多いようです。若いうちに公認会計士の試験を受けて資格を取得し、監査法人などで働く人が多いと予想できます。とはいえ、公認会計士はニーズの多い資格であるため、30代以降で試験に合格しても、公認会計士として働くことは可能でしょう。

合格率

2023年を含めた公認会計士の合格率は、以下のとおりです。

2019年(令和1年)2020年(令和2年)2021年(令和3年)2022年(令和4年)2023年(令和5年)
35.8%35.9%34.1%35.8%36.8%

全体を通して30%台と、決して簡単な試験でないことがわかります。

免除制度について

公認会計士の試験は、免除制度が設けられています。具体的には、短答式・論文式に合格していることで翌年の再受験で短答式・論文式それぞれが免除されるというものです。免除はされるものの、期間は2年間に限定されているため注意してください。

公認会計士試験の難易度について

公認会計士試験の合格率が30%台を推移していることからもわかるように、公認会計士試験は難易度の高い試験であると判断できます。その理由には、科目数の多さが挙げられるでしょう。公認会計士の試験は、以下の項目で構成されています。

  • 財務会計論
  • 管理会計論
  • 監査論
  • 企業法(会社法・商法・金融商品取引法)
  • 租税法(法人税・所得税・消費税)

上記に加え、経営学・経済学・民法・統計学のいずれかから1科目を選択して受験する必要があるため、勉強する範囲が非常に広いといえます。加えて、一度の試験で全科目受験する必要があることから、わずかでも準備を怠るだけで合格が遠のく側面もあります。そのため、公認会計士の試験難易度は非常に高いと判断できるでしょう。

まとめ

最後に、今回の記事の内容をまとめてご紹介します。

  • 公認会計士の試験合格後は就職活動を行う必要がある
  • 就職活動も含めた開業登録の流れを把握しておくことも大切
  • 試験に合格し、公認会計士に登録した後のキャリアプランには監査法人への就職や独立開業、フリーランスが挙げられる
  • 公認会計士の試験合格後は会計・税務・経営・IT・法規・職業論理について学ぶ実務補習所に通わなければならない
  • 実務補習所で学んだ内容に関する修了考査の受験・合格も必須
  • 公認会計士試験の合格後は、関連資格や経験、スキルの会得も視野に入れるべき
  • 公認会計士試験を受けるうえでは、受験資格や合格率、試験難易度を把握しておくことが大切

公認会計士の試験に合格したからといって、すぐに公認会計士として働けるわけではありません。就職活動や開業登録を行ったうえで、自身が公認会計士として働く場所や形をしっかり考えなければなりません。

公認会計士の試験合格後、スムーズな就職を目指す場合は、ぜひ三優監査法人からアタックしてみてください。

参考:日本公認会計士協会